株式会社ミドリ十字(ミドリじゅうじ、英文・GREEN CROSS CORPORATION)は、かつて存在した日本の大手医薬品メーカー。本社は大阪府大阪市城東区中央一丁目に存在した。
会社概要
- 創業当時の製品は乾燥人血漿、血液型判定用血清、クエン酸塩加人全血液の3品目。本社工場では乾燥人血漿、血液型判定用血清が、大阪と神戸の採血プラントではクエン酸塩加人全血液が製造された。その後、ライシャワー事件を発端として売血批判が巻き起こり、それによって路線転換を迫られ、血液製剤や人工血液、医薬品への移行を模索。
- 1964年(昭和39年)8月28日、血液銀行の業務を日本赤十字社へ一本化する閣議決定に基づく行政指導を受け、業務内容と商号を変更。新商号は、創業以来の社章が「緑十字形」であったことに由来する「ミドリ十字」となった[1]。
- 韓国にあるGREEN CROSS(公式サイト)は、ミドリ十字と同様の「緑十字に白抜き」の社章を使用(ミドリ十字は「APAM」、韓国のものはハングルで「緑十字」)し、業務内容も似ているが、関係はない。なお、韓国GREEN CROSSは台湾緑十字(こちらはミドリ十字との合弁)とパートナーシップを結んでいる。
薬害エイズ事件後の動向
- 1998年(平成10年)4月1日、当社は吉富製薬と合併した。当時、当社は薬害エイズ事件の影響で業績が悪化しており、実質上の救済合併であった。なお、当社は血液製剤の企業として安定した収益があったため、合併先には大手製薬会社の名前も取りざたされた。
- その後、吉富製薬はウェルファイド株式会社に商号を変更。さらに医薬品業界の大規模な再編が進む中で、ウェルファイドは三菱東京製薬と合併し、三菱ウェルファーマ株式会社となった。その後、2007年(平成19年)10月1日、三菱ウェルファーマと田辺製薬が合併し、現在の田辺三菱製薬となった。
沿革
製造・販売していた血液製剤による問題
- 薬害エイズ事件(非加熱血液凝固因子製剤によるHIV感染)
- 1986年(昭和61年)4月、大阪医科大学附属病院における肝臓病治療の際に、止血を目的とした非加熱血液製剤(クリスマシン)の投与によって、患者がヒト免疫不全ウイルスに感染、後天性免疫不全症候群で死亡した事について、ミドリ十字の代表取締役だった松下廉蔵・須山忠和・川野武彦が業務上過失致死容疑で逮捕・起訴された(薬害エイズ事件におけるいわゆる「ミドリ十字ルート」)。1986年(昭和61年)1月に加熱製剤の日本における販売が開始され、「十分な供給量を確保することが可能となったにもかかわらず、非加熱製剤の回収などの措置を講じなかった」としてミドリ十字の3被告人に、2000年(平成12年)2月それぞれ禁固刑に処す旨の実刑判決が下った。これに対し3被告人は控訴したが、川野武彦が公判中に死亡し公訴棄却、残る2名には2005年(平成17年)6月に上告棄却となり、有罪判決が確定している。
- 薬害エイズ事件での、和解に基づく金員支払という損害を会社に与えたとして、株主代表訴訟が、1996年(平成8年)7月及び8月に起こされていた。2002年(平成14年)3月13日に、ミドリ十字の旧役員9名は連帯して和解金1億円を支払うこと、株式会社ミドリ十字を吸収合併した「三菱ウェルファーマ株式会社」が、薬害エイズ事件の調査検討し、薬害事件の再発防止策の提言を取りまとめることなどを骨子とした和解が成立した。
- 薬害肝炎(フィブリノゲン製剤等による肝炎感染)
- フィブリノゲン製剤(販売名:フィブリノーゲン-BBank、フィブリノーゲン-ミドリ、フィブリノゲン-ミドリ、フィブリノゲンHT-ミドリ)や、非加熱血液凝固第Ⅸ因子製剤(販売名:クリスマシン)の投与により、多くの人々がC型肝炎に感染した。
主な製品
- プラスマネート
- クリスマシン
- セファロチンナトリウム注
- ヴェノグロブリン
- ヒストブリン
- トリコシード錠
- コーナイン
- AHF
- サヴィオゾール
- ウロキナーゼ
- NAPP錠
- COPP
- コンコエイト
- ヤギフラキシン錠
- カシワドール
- フィブリノーゲン-ミドリ
- フルオゾール(パーフルオロケミカルを使用した代替血液)
- HIPROKIE36(ハイプロッキースリム、健康食品のラーメン)[6]
事業所一覧
- 1998年(平成10年)3月31日終了時点
- 本部・支店
- 東京本部事務所
- RI商事部
- 札幌支店
- 青森支店
- 仙台支店
- 新潟支店
- 宇都宮支店
- 千葉支店
- 東京東部支店
- 東京西部支店
- 埼玉支店
- 横浜支店
- 静岡支店
- 名古屋支店
- 金沢支店
- 京都支店
- 大阪支店
- 神戸支店
- 高松支店
- 広島支店
- 福岡支店 - 閉鎖済、後に解体。
- 熊本支店
- 生産拠点(いずれも閉鎖済、後に解体)
- 関連会社
関連項目
脚注
参考文献
外部リンク