マーキュロ (日本の女性アイドルグループ)
マーキュロは、日本の6人組女性アイドルグループ。サブカル系アイドルレーベルサークルライチを主宰し、自身も所属している[1]。2022年結成[2]。 音楽性やビジュアル、コンセプトにおいてはネオ・ヴィジュアル系やサブカルの影響下にある。音楽ライターの冬将軍は、マーキュロは地雷系のアイドルによるシーンを確立した存在であると位置付けている[3]。 概要「サブカル系」を標榜する6人組アイドルグループとして2022年5月に結成、同年6月に正式デビュー[2][注釈 1]。同年8月に新メンバーとして雅楽代カミテ(うたしろかみて)が加入し7人体制となる[5]。2024年9月に芥タマキ(あくたたまき)が脱退し[6]、以後6人体制で活動している。 2023年10月、自身が主宰となるサブカル系アイドルレーベル「サークルライチ」を設立[1]。同レーベルは2024年9月までに8つの姉妹グループやソロアイドル1名・塾生[注釈 2]を擁する規模となった[8][9]。 →詳細は「サークルライチ」を参照
音楽性楽曲ジャンルは主に2000年代初頭のネオ・ヴィジュアル系やネオ・ナゴムを彷彿とさせるV-ロックである[10]。歌詞においては希死念慮や自傷行為を包み隠さず表現している[11][12]。また、そうした負の感情・要素に加えて、ネオ・ヴィジュアル系の構成要素である、帝国主義やエロ・グロ・ナンセンスといった後述のサブカルに通じる退廃的・耽美的な要素をアイドルに落とし込んでいる[10][13]。 作詞作曲を手掛けているのは元ペンタゴンの緑川拓[14]、元xTRiPxのYoshito Abeや元RAZORの哲也、ミオヤマザキのtakaなど、ヴィジュアル系バンド出身のバンドマンらである[13]。また、メンバーが作詞を行う場合もあり、特に芥タマキは在籍中に複数の作詞曲がある[2][15]。 コンセプトグループ名はマーキュロクロム液に由来し、「病んだ傷(心や想い)を治す(共感)存在(代弁者)になれるような歌詞や楽曲」をコンセプトとしている[2]。 メンバーの衣装は、ヴィジュアル系ファッションに由来する[16]。また、音楽ライターの冬将軍は、メンバーそれぞれの衣装やビジュアルから想起されるヴィジュアル系のバンドマンとしてYOMI、武瑠、IKÜZÖNE、Manaといった名前を上げている[10]。 名称やビジュアルなどにおいては劇団東京グランギニョルおよび漫画『ライチ☆光クラブ』[注釈 3]といったサブカルからの影響を受けている。東京グランギニョルの代表作に『マーキュロ』があるほか、主催対バンイベント「グラン・ギニュルー」の名称は東京グランギニョルに関連している[12]。また、主催定期公演や単独全国ツアーのタイトルに「アブノーマル★(ヒカリ)倶楽部」を用いており[17][18]、メンバー珖夜ゼラ(こうやぜら)の活動名「ゼラ」は『ライチ☆光クラブ』の主人公の名前と同じである[19]。イベントフライヤーやアーティスト写真にも東京グランギニョルの宣伝美術を手がけた丸尾末広の影響が見られ[10]、2024年8月に開催した『芝居構成単独公演 残酷劇「赤マント」』では実際に丸尾末広本人によりフライヤーデザインが提供された[20]。 ワンマンライブではバックバンドを迎えてのバンドセット公演を行なっているほか、プロ劇団をゲストに迎え、芝居パートを交えて楽曲を披露する芝居構成公演のように、アイドルとしては新しい、「歌って踊るだけではない表現」を行なっているのも特徴的であるとされる[11][12]。 音楽ライターの冬将軍は、自身が地雷系ロックと呼ぶ、「ゴシックな雰囲気を携えながら重苦しい愛、共依存を歌ってるグループ」にマーキュロを分類し[14]、マーキュロの登場によって地雷系のアイドルによるシーンが確実に出来上がったと評価している[3]。 略歴前史コンカフェで働いていた我執キル(がしゅうきる)がシンデレラ宣言!(当時)のSUZUなどのアイドルの友人との交流からアイドルに興味を持ち、現在のプロデューサーと面談の機会をもったところからマーキュロの企画が始まる[21]。 キルが自身の働くコンカフェの客であった翠城ニア(すいじょうにあ)、同僚であった珖夜ゼラを順に誘い2人がグループ立ち上げに参加[21][22][23]。さらに翠城が所属していたアイドルグループのメンバーである芥タマキ、紫月レンゲ(しづきれんげ)がオーディションで合格し、グループの原型ができあがっていった[23][24][25][注釈 4]。 2022年5月22日、渋谷CLUB QUATTROにて開催された『MiiS東名阪主催イベント-knot-』東京公演にて、藍咲ユウリ以外の5名による初ライブ[27]。 6月10日のライブより藍咲ユウリ(あいさきゆうり)が参加する[28]。 6月24日、Spotify O-EASTにて『IDOL CONTENT EXPO @ O-EAST アイコン生誕10周年祭 』に出演。このライブを「始動ライブ」としており、同日付で正式にデビューする[2][29]。 8月21日、新メンバーとして雅楽代カミテが加入し、8月28日にお披露目された[5]。 12月23日、WOMB LIVEにて始動半周年記念ワンマンライブ『秘密サークル』を開催[30][31]。 2023年6月11日から23日にかけて、デビュー1周年を記念したツアー「一周年東名阪単独公演『見世物小屋』」を開催。6月11日大阪FANJ、6月18日名古屋X-HALL、6月23日東京Spotify O-WEST[32][33]。 6月26日、デビュー1周年記念ワンマンライブとなる『見世物小屋』追加公演「帝都編」を恵比寿LIQUIDROOMにて、自身初のバンドセットで開催[34][35]。 7月3日、デビュー1周年を記念してファンクラブ「秘密サークル」を開設[36][37]。 9月16日から11月21日にかけて関東ツアー『失楽園』を開催。関東地方1都6県を回る[38]。 10月1日、マーキュロ発のレーベル「サークルライチ」を設立。第2期生グループとして東京拠点のクララ・マグラ、ベロティカ、大阪支部となるガラチアの結成を発表[1]。 11月21日、Spotify O-EASTにて関東ツアー『失楽園』ファイナル公演を開催。バンドセット公演かつ、共演に虚飾集団廻天百眼を迎え、演劇パートを交えた初の「芝居構成」公演[12][39]。 12月2日から翌年1月14日にかけて、5大都市ワンマンツアー『アナタの傷を魅せてください』を開催。福岡・大阪・名古屋・東京・沖縄の5都市を回る[40]。 2024年2月から6月にかけて、『アナタの傷を魅せてください』ツアーの追加公演となる「5大都市ワンマンツアー『アナタの傷を魅せてください、共に生きよう』」を開催。名古屋・福岡・大阪・札幌(2公演)・東京の5都市を回る[41]。 6月24日、Zepp DiverCityでデビュー2周年記念ワンマンライブとなる「5大都市ワンマンツアー『アナタの傷を魅せてください、共に生きよう』東京編」を開催[42][43]。 8月10日から9月15日にかけて、サークルライチ[注釈 5]とOTONA CHILD.(オトナチルドレン)[注釈 6]共催によるスプリットツアー「『教育実習』ツアー編」に参加[44][45][46]。東名阪福の4都市を回った。 8月28日、LINE CUBE SHIBUYAにて『芝居構成単独公演 残酷劇「赤マント」』を開催。バンドセット公演かつ、劇団PSYCHOSISを迎えた芝居構成公演であった[47]。 8月30日、芥タマキが本人の意思により9月11日付で脱退することを発表[6]。 9月11日、ゲストにAVAM、GILTY × GILTYを迎えた主催スリーマンライブ『病み鍋』を開催。芥タマキのラストライブであり、同日のライブおよび特典会をもってグループを脱退した[48][49]。 9月15日から12月9日まで、全国12都市を回る自身最大規模の全国ツアー「単独巡業『超アブノーマル★(ヒカリ)倶楽部』」を開催[50]。 12月9日、EX THEATER ROPPONGIで「単独巡業『超アブノーマル★(ヒカリ)倶楽部』」ファイナル東京公演を開催[18]。 メンバー一覧現メンバー
元メンバー
詳細芥タマキ埼玉県出身[63]。マーキュロ加入前は上述の通り翠城、紫月と同じグループで活動していた。 自身では、グループ内において歌唱力が高い方であると自負している[24]。デスボイスを操る「シャウト担当」である[65]。 作詞家としても活動しており、マーキュロおよびサークルライチ所属グループに複数の作品を提供している[66]ほか、外部のアイドルグループへの作詞提供例もある[67]。 2024年9月11日のライブをもって自身の希望によりグループを脱退。理由は精神面や体調面を考慮したものであるとしている[68]。 珖夜ゼラビジュアルはボーイッシュなスタイルで、「(他のボーイッシュなアイドルのように)カッコいいでバチバチにキメるのではなく、(背が低いことを活かして)ショタのアイドルの線を目指そう」と心掛けている[22]。 アイドルとしてのキャリアはマーキュロが初めてである[22][11]。 翠城ニア埼玉県出身[53]。マーキュロ加入前は上述の通り芥、紫月と同じグループで活動していた。 元々コンカフェで働いていた我執キルのファンの立場であり、店舗に通ううち次第にプライベートでも交流を持つようになり、マーキュロに誘われて加入が決まった[23]。 子どもの頃からONE OK ROCKなどのラウド系の邦ロックバンド、L'Arc〜en〜Ciel、VAMPSなどのヴィジュアル系バンドのファンであり、マーキュロ立ち上げ時にコンセプトの説明を受けた際も、ヴィジュアル系要素に理解を示し、「めっちゃやりたい!」と感じたと語っている[23]。 紫月レンゲ東京都出身[55]。マーキュロ加入前は上述の通り翠城、芥と同じグループで活動していた。活動当初から現役の服飾系大学生であったが、のちに両立に悩み大学を休学している[25]。 芥タマキ脱退後はデスボイスパートを引き継いでいる[11]。 元々ヴィジュアル系の音楽を好んでおり、キズやザアザアのファンであった。アイドルではAKB48のファンであった[25]。 我執キル最初にプロデューサーと面談し、グループができるきっかけになったメンバーである[21]。プロデューサーからは「1番ぶっ飛んでいる」[21]、珖夜ゼラからは「ちょっと何言ってるかわからない、面白い人」と評されている[22]。 アイドルとしてのキャリアはマーキュロが初めてである[21]。 藍咲ユウリ赤と青のツートンカラーのヘアスタイルで[10][70]、自身ではそれをグループ内での自身の役割を模索し、唯一無二を求めた結果であるとしている[69]。 ドがつくほど真面目な性格で、MCを担当したり、挨拶の号令をかけたりなどの立ち回りをすることが多く、自身ではそうした面を指して「生徒会長っぽい」役割である、と評している[69]。 雅楽代カミテ2022年8月21日に加入、同28日にステージデビュー[5]。 加入のきっかけはスカウトである。元々いわゆる「キラキラ系」アイドルグループのオーディションを受けていたところにマーキュロから声がかかり、ライブの見学を経て興味を持ち、「トントン拍子で」加入が決まった[71]。 メンバー内唯一の非喫煙者であり、黒髪で比較的メイクも薄いなど清楚なスタイルを貫いており、プロデューサーからは「染まらなくていいんだよ。」「こういう中に1人黒髪の子がいても面白いんじゃないかな、清楚な子がいてもいいんじゃないかな。」と言われている[71]。一方で、言いたいことははっきり言う性格を指してメンバーからは「なんだかんだメンタルは、カミテが1番マーキュロだよね」とも評されている[71]。 アイドルとしてのキャリアはマーキュロが初めてである[71]。 作品シングル
配信個別の出典がないものはApple MusicおよびTuneCore Japanを参照[2][15]。
ライブ・イベントワンマンライブ
単独公演『アブノーマル★(ヒカリ)倶楽部』定期単独公演。 毎公演、特定の楽曲の振り付けを観客にレクチャーした後に披露する「振り講座編[17]」、1人のメンバーの歴代衣装を全員で着用する「衣装博覧会[74]」などの企画を設定して開催される。 主催対バン『グラン・ギニュルー』マーキュロ主催と銘打たれた対バンライブイベント[75]。タイトルは東京グランギニョルおよびその元ネタであるグラン・ギニョール(見世物小屋)に由来する。 『東京絶対帝都』主催対バンライブイベント。 vol.1は4組[注釈 8]で開催されたが、回を重ねながら規模を拡大し、多い場合には10〜20組前後が出演する長時間の対バンイベントとなっている。 『グラン・ギニュルー』と異なり明確に「主催」とは打ち出していないものの主催の立場である[77]。サークルライチ発足後は主催をサークルライチに移管しており、マーキュロが出演しない場合もある[78]。 →詳細は「サークルライチ § ライブ」を参照
その他のライブ『教育実習』2024年6月9日にサークルライチとOTONA CHILD.(オトナチルドレン)[注釈 6]の共催による対バンライブとして第1回を開催[79]。同年8月から9月にかけて、全国ツアーに規模を拡大した「ツアー編」が開催された[44]。 『双生児』不定期に開催しているMAD MEDiCiNEとのツーマンライブ[80]。楽曲交換や衣装交換を行う場合がある[80]。 『相合傘』不定期に開催しているTENRINとのツーマンライブ。楽曲交換や衣装交換を行う場合がある[81]。 『共依存』不定期に開催しているAVAMとのツーマンライブ。楽曲交換や衣装交換を行う場合がある[82]。 脚注注釈
出典
関連項目外部リンク
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