2018年
マリッツァ・コレイア (Maritza Correia、1988年 12月11日 - )は、プエルトリコ ・サンフアン 出身の元女子競泳 選手。専門は自由形 。競泳においてオリンピック のメダル獲得と世界記録 (及びアメリカ記録)樹立を達成した史上初のアメリカ黒人 女子選手であり、オリンピックのアメリカ代表 に選ばれた史上初の黒人女子選手である。結婚後はマリッツァ・マクレンドン (Maritza McClendon)として知られる。
経歴
生い立ち
ガイアナ人 の両親であるヴィンセントとアンの下、プエルトリコ のサンフアン に3人兄妹の末っ子として生まれる[ 1] [ 2] 。水泳を始めたきっかけは7歳の時に医師から重度の脊柱側弯症 と診断され、治療のために水泳 か体操 を勧められたからだった[ 3] 。9歳の時に家族でアメリカ合衆国 のタンパ に移住し[ 1] 、兄ジャスティンの背中を追ってブランドン・ブルーウェーブスイムクラブ(Brandon Blue Wave Swim Club )に入会した[ 4] 。
高校時代
高校はタンパ・ベイ工業高校 (英語版 ) に進学すると、18歳以下のカテゴリーにおいて50m自由形の全米チャンピオンに輝いたほか、100m自由形の4回を含む5つの種目で計6回フロリダ州 チャンピオンに輝くなど輝かしい実績を残した[ 5] 。
大学時代
1999年、全額の奨学金 を得てジョージア大学 に進学し、同大学初のアメリカ黒人競泳選手となった[ 6] 。
2000年3月、NCAA 選手権(全米学生選手権)400mメドレーリレー決勝でジョージア大学の第4泳を務め、第1泳のコートニー・シーリー (英語版 ) 、第2泳のクリスティ・コワル (英語版 ) 、第3泳のキーガン・ウォークリー(Keegan Walkley )と共に3分57秒46の短水路世界新記録(当時)を樹立した[ 7] 。これによりコレイアは世界記録 及びアメリカ記録を保持する史上初のアメリカ黒人女子選手となった[ 8] 。
2000年、全米オリンピック選考会では代表入りの最有力候補だったにもかかわらず、100m自由形で18位、200m自由形で34位に終わった。その結果5,6ヶ月鬱状態に陥り、コレイアは本気で現役引退を考えたが、コーチやチームメイト、母親の説得や励ましによって4年後のオリンピック出場を目指すことにした[ 4] [ 8] [ 5] 。
2002年、NCAA選手権50y 自由形で21秒69を記録し、エイミー・ヴァン・ダイケン の持つアメリカ記録21秒77を塗り替えて優勝した[ 9] 。これによりコレイアは個人種目のアメリカ記録を保持する史上初の黒人女子選手となった[ 8] 。コレイアは100y自由形でもジェニー・トンプソン の持つアメリカ記録47秒61を塗り替える47秒56で優勝したほか[ 10] 、200yフリーリレーと400yフリーリレーでもアメリカ新記録樹立と優勝に貢献して4冠を達成した[ 11] [ 12] [ 13] 。
大学在籍中にNCAAタイトルを11回獲得、オール・アメリカ (英語版 ) に27回選出、男女通じて史上初のカンファレンス 選手権自由形全種目優勝など輝かしい実績を残し、2005年に社会学 の学位 を取得して卒業した[ 3] 。
NCAAタイトル[ 14]
2000年 - 200m自由形、400mフリーリレー、400mメドレーリレー
2001年 - 800yフリーリレー
2002年 - 50y自由形、100y自由形、200yフリーリレー、400yフリーリレー
2003年 - 50y自由形、100y自由形、200yフリーリレー
カンファレンス選手権(SEC 選手権)の自由形全種目優勝[ 14]
50y自由形 - 2002年、2003年
100y自由形 - 2001年、2002年、2003年
200y自由形 - 2000年
500y自由形 - 2000年
1650y自由形 - 2000年
2001年世界選手権
福岡 で開催された世界選手権 に出場すると、4×100mフリーリレー決勝で第3泳を務め(スプリットタイム54秒94)、第1泳のコリーン・ラン (英語版 ) (56秒15)、第2泳のエリン・フェニックス (英語版 ) (54秒68)、第4泳のコートニー・シーリー (英語版 ) (55秒03)と共に銀メダルを獲得した[ 15] 。リンゼイ・ベンコ (英語版 ) が膝を故障したため出番が回ってきた100m自由形では準決勝に進出し、8位と0秒17差の9位で惜しくも決勝進出を逃した[ 16] 。4×100mメドレーリレーでは予選で第4泳を務めて全体2位での決勝進出に貢献した[ 17] 。予選だけの出場に終わったがアメリカが2位に入ったためコレイアも銀メダルを獲得した。
2003年世界選手権
バルセロナ で開催された世界選手権 の4×100mフリーリレー予選に出場し、第4泳を務めて全体6位での決勝進出に貢献した[ 18] 。予選だけの出場に終わったがアメリカが優勝したためコレイアも金メダルを獲得した。これによりコレイアは世界選手権 で金メダルを獲得した史上初のアメリカ黒人女子選手となった[ 8] 。
2004年全米オリンピック選考会
100m自由形で54秒77の4位(2位と0秒35差)[ 19] 、50m自由形で25秒15の3位(2位と0秒04差)となり[ 20] 、この結果アテネオリンピック 4×100mフリーリレーのアメリカ代表 に選出された。過去にオリンピック競泳 アメリカ代表 に選出された黒人選手は2000年シドニー大会 のアンソニー・アービン (男子選手)しかおらず、コレイアはオリンピック競泳アメリカ代表に選出された史上初の黒人女子選手となった[ 21] [ 8] 。
2004年オリンピック
アテネ で開催されたオリンピック の4×100mフリーリレー予選に出場すると、第4泳を務めて54秒74のスプリットタイムをマークし、第1泳のアマンダ・ウィアー (英語版 ) (54秒50)、第2泳のコリーン・ラン(55秒42)、第3泳のリンゼイ・ベンコ(54秒80)と共に全体2位で決勝に進出した[ 22] 。予選だけの出場に終わったがアメリカが2位に入ったためコレイアも銀メダルを獲得した。これによりコレイアはオリンピックの競泳メダルを獲得した史上初のアメリカ黒人女子選手となった[ 8] 。
現役引退
2004年アテネオリンピックの前から始まっていたという肩の痛みにキャリア終盤は悩まされながらも競技を続けていたが、2007年を最後に現役を引退した[ 5] [ 8] [ 23] 。
水泳の普及活動
シグマ・ガンマ・ロー (英語版 ) のメンバーであるコレイアはSwim 1922のスポークスウーマン を2013年から務めている。Swim 1922はシグマ・ガンマ・ローとアメリカ水泳連盟 (英語版 ) が提携して2012年に立ち上げたプログラムで、全米各地で黒人などの有色人種に水泳のレッスンを行い溺死率を低下させることを目標としている[ 24] [ 6] [ 1] 。
人物・家族
成績
世界大会
世界水泳連盟 のウェブサイト 参照[ 26]
年
大会
場所
種目
結果
記録
泳順
備考
アメリカ合衆国 代表
1999
世界短水路選手権
香港
100m自由形
13 準決勝13位
55秒42
200m自由形
19 予選19位
2分02秒25
400m自由形
20 予選20位
4分19秒64
800m自由形
04 4位
8分43秒11
4x100mフリーリレー
13 予選失格
DSQ
4泳
4x200mフリーリレー
08 8位
8分13秒64
1泳
4x100mメドレーリレー
10 予選10位
4分12秒11
4泳
2001
世界選手権
福岡
100m自由形
09 準決勝9位
55秒60
4x100mフリーリレー
02 銀メダル
3分40秒80
3泳
4x200mフリーリレー
04 予選4位
8分05秒02
4泳
[ 注釈 1]
4x100mメドレーリレー
02 予選2位
4分05秒07
4泳
2003
世界選手権
バルセロナ
4x100mフリーリレー
06 予選6位
3分43秒14
4泳
2004
オリンピック
アテネ
4x100mフリーリレー
02 予選2位
3分39秒46
4泳
世界短水路選手権
インディアナポリス
4x100mフリーリレー
01 予選1位
3分37秒76
2泳
2005
ユニバーシアード
イズミル
50m自由形
01 金メダル
25秒38
[ 27]
4x100mフリーリレー
01 金メダル
3分43秒97
2泳
大会記録[ 27]
4x100mメドレーリレー
01 金メダル
4分07秒00
4泳
[ 27]
2006
世界短水路選手権
上海
50m自由形
08 8位
25秒23
100m自由形
03 銅メダル
53秒54
4x100mフリーリレー
04 4位
3分37秒70
1泳
4x100mメドレーリレー
02 銀メダル
3分55秒65
4泳
全米オリンピック選考会
年
場所
種目
結果
記録
備考
脚注
2000
インディアナポリス
100m自由形
18 予選18位
56秒86
[ 28]
200m自由形
34 予選34位
2分04秒59
400m自由形
51 予選51位
4分24秒04
2004
ロングビーチ
50m自由形
03 銅メダル
25秒15
[ 29]
100m自由形
04 4位
54秒77
200m自由形
42 予選42位
2分04秒72
記録
樹立した短水路世界記録
樹立した短水路アメリカ記録(個人種目)
自己ベスト
世界水泳連盟とSwimRankings.net参照[ 26] [ 32]
種目
記録
日付
大会
場所
備考
長水路
50m自由形
25秒15
2004年7月7日
全米オリンピック選考会
ロングビーチ
100m自由形
54秒77
2004年7月7日
全米オリンピック選考会
ロングビーチ
200m自由形
2分02秒08
2002年8月12日
全米選手権
フォートローダーデール
短水路
50m自由形
24秒49
2006年4月8日
世界短水路選手権
上海
100m自由形
53秒54
2006年4月7日
世界短水路選手権
上海
200m自由形
1分57秒33
2000年3月16日
NCAA 選手権
インディアナポリス
脚注
注釈
出典
^ a b c d e “Maritza Correia McClendon ” (英語). uniquecoloring.com . Unique Coloring. 2024年8月29日 閲覧。
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外部リンク