『マスケティアーズ/三銃士』(マスケティアーズ/さんじゅうし、原題:The Musketeers)は、アレクサンドル・デュマ・ペールの小説『三銃士』を原作に、BBCが新解釈に基づいて制作したイギリスの歴史劇テレビドラマシリーズ[1]。2014年1月19日から放送された[2]。2015年1月2日からシーズン2[3]、2016年5月28日からシーズン3が放送されている[4]。各シーズンは10話からなる。2016年に、シーズン3を以て完結することが報じられた[5]。
イギリス以外でも180以上の国と地域で放送された[6]。日本ではHuluで字幕版・吹替版共に配信されている[7]。2016年4月3日からは『マスケティアーズ パリの四銃士』(マスケティアーズ パリのよんじゅうし)のタイトルでNHK総合テレビで放送された[8]。さらに、BS日テレにてシーズン1が2018年4月より、シーズン2が2018年6月より放送。
内容
あらすじ
舞台は17世紀のパリ。ルイ13世に仕えるフランス王国直属の銃士隊マスケティアーズは、マスケット銃と剣で王を守護し、またパリの治安維持に働いていた。その中心人物が三銃士のアトス、アラミス、ポルトスの三人であった。しかしアトスを名乗る人物が民間人を殺害。その息子であった青年ダルタニアンはアトスへの復讐心を抱え、1630年にパリへやって来て彼ら三人と出会い、アトスへ決闘を申し込む。その直後にアトスはリシュリュー枢機卿の指揮する親衛隊に逮捕され、殺人罪と強姦罪に基づく処刑を言い渡される[8]。アトスが真犯人でないことを知ったダルタニアンは三銃士との仲間意識が芽生え、コンスタンスの家で下宿し、見習いとして銃士への昇格を目指す[1]。彼ら四人は愛と欲望の巣食うパリで陰謀に立ち向かっていく[8]。
作風
1話完結型のエピソードで構成される。各エピソードにゲストキャラクターが登場し、それにより銃士たちの過去や人格が掘り下げられていくほか、第2話以降で四銃士以外の王宮の物語も動き始める進行になっている[9]。
登場人物
銃士隊
- ダルタニアン
- 演 - ルーク・パスカリーノ(日本語吹替:宮野真守)
- 銃士隊のルーキー。他の銃士よりも若いこともあり、真っ直ぐな性格で、激情を抱えたり無鉄砲な行動に出たりしてしまうところがある[10]。
- フランスの片田舎ガスコーニュ出身の貧乏貴族。父の死去の仇討目的でパリに向かい、アトス、ポルトス、アラミス達と出会う。後に銃士隊に入隊し、短気な青年から徐々に勇敢で正義感溢れる人物へと成長し、国王ルイ13世より正式な銃士に任命される。自身が下宿する下宿屋の女主人であるコンスタンスに次第に惹かれるようになる。
- アトス
- 演 - トム・バーク (日本語吹替:福田賢二)
- 銃士隊のうち最年長でリーダー的存在。性格は冷静かつ真面目である一方、心に闇を抱えている面がある[10]。寡黙であり、物事を背中で語る傾向がある[1]。
- 正義感の強い人物で的確な判断力、洞察力、戦闘知識で数々の窮地を脱しており、銃士隊長トレヴィルの信頼も厚く、他の銃士たちにとっては兄貴分として慕われているが、非常に酒癖が悪い。かつての名はラフェール伯爵という貴族で、領民からも慕われる立派な荘園の領主であったが、愛する妻の裏切りに遭い失望し、貴族の名誉の為、妻に処刑を命じた過去があり、その罪悪感から伯爵の身分を放棄し銃士となった。しかし、銃士達と行動していくうちに、悲しい過去に打ち勝つようになった。シーズン3では銃士隊の隊長になっている。
- アラミス
- 演 - サンティアゴ・カブレラ(日本語吹替:中村悠一)
- 頼れるスナイパー。戦闘では狙撃や早撃ちなど銃を使用した攻撃を得意としており、命中率は銃士隊一である。最も女性に人気があり、様々な女性と浮名を流すプレイボーイだが、一方で立場の弱い女性や子供の安全を最優先にするなど義侠心に満ち溢れた人物であり、銃士達からも信頼が厚い。これは過去に教会で聖職者になる為の勉強をして培ったものであり、博愛の精神により慈悲深い性格となった。王妃から授かったロザリオを常に身に付けており、徐々に王妃と惹かれ合って行くが、それが次第に大事件へと発展していく。シーズン3では修道士になっていたが、ある事件がきっかけで銃士隊に復帰する。
- ポルトス
- 演 - ハワード・チャールズ(日本語吹替:三宅健太)
- 銃士隊の中でも怪力の存在。豪放な性格であるが、傷つきやすい面もある[10]。
- 厳つい風貌だが陽気でユーモラスがあり、情け深く仲間想いの人物である。子供の頃はパリの貧民街でムーア人の母に育てられた。貧民街の仲間から盗人の頭目になることを進められるが、貧困を理由に悪党になることを拒み、真っ当に国務を果たす銃士になることを決心し、度重なる努力と剣術や格闘術といった実力で銃士になった。
- トレヴィル隊長
- 演 - ヒューゴ・スピアー(日本語吹替:東地宏樹)
- ダルタニアン父子と同じくフランスのガスコーニュ地方出身で、王宮に仕える銃士隊の隊長。正義感に溢れた誠実な性格で、面倒見もよく、部下達からは父親的存在として慕われている。国王(ルイ13世)からも信頼されているが、ある事件を境に、国王に疎んじられ、隊長の資格を剥奪されてしまう。シーズン2では枢機卿亡き後、王の顧問団入りを要請されるが、王の誘いを断り不信感を与えてしまう。一方で戦闘経験がない領民を立派な兵隊として鍛え上げたり、少人数で大勢の敵を撃破する戦略を立てたりと指導者としての確かな実力を持っている。シーズン3では陸軍卿に昇進し、フランス王室を陰ながら支える大きな存在となってゆく。
フランス王国
- アンヌ王妃
- 演 - アレクサンドラ・ダウリング(日本語吹替:清水理沙)
- フランス国王ルイ13世の妻。勇敢な一面もあり、美しく聡明で慈悲深く、優しい女性。スペイン出身で、政略結婚によりフランスに嫁ぐ。夫であるルイ13世との不幸せな政略結婚の寂しさから、王宮では常に孤独を感じている。枢機卿の策略で命を狙われ危機に晒される度に、銃士隊達に護られ、危機を脱している。銃士隊の中でも身を挺して護衛したアラミスに対しては恋心を抱くようになる。過去に流産をし、長年子宝に恵まれなかったが、シーズン2からは王太子の母となり、更に芯の強い女性へと成長してゆく。
- ルイ13世
- 演 - ライアン・ゲイジ(日本語吹替:河本邦弘)
- フランス国王。王妃との夫婦関係は冷め切っており、母親のマリー・ド・メディシスとも確執がある。銃士隊長のトレヴィルとリシュリュー枢機卿を信頼している。我儘な子供のような性格で、その単純さから、時に周囲を困らせるが、王の立場として時に思い切った決断をする面もある。シーズン2では王太子に恵まれ、シーズン3では子煩悩ぶりもみせる。
- リシュリュー枢機卿
- 演 - ピーター・カパルディ(日本語吹替:大塚芳忠)
- シーズン1の悪役。フランスの宰相でルイ13世を操って政治を行う、様々な事件の黒幕である。冷酷無比な人物で、フランス王宮に害がある存在と見なせば躊躇なく処罰するなど、人々に恐れられている。人並外れた洞察力を持ち、怪しいと感じたら徹底的に調べ上げるなど情報収集にも秀でている。ルイ13世の甥アンリやアンヌ王妃の暗殺命令など、国務のためなら標的とした相手を狡猾な手段で陥れたり、処罰を命じたりする。シーズン2第1話では過酷な国務が原因で心臓発作を患い死亡したことが説明されている。
- ロシュフォール伯爵
- 演 - マーク・ウォーレン(日本語吹替:堀内賢雄)
- シーズン2の悪役。かつて枢機卿の腹心で国務としてスペインでスパイとして潜入していたが、捕まり5年間監獄に幽閉されていた過去を持つ。枢機卿に匹敵するほどの政治力、洞察力、情報収集力が優れており、ルイ13世からも「親友」と呼ばれるほど絶大な信頼を寄せているが、実はスペインのスパイであり、最終的には国王を殺害しフランスを乗っ取ろうと目論んでいる。そのために、有力な貴族や大臣、王族を暗殺し、銃士隊長のトレヴィルを除名処分させ、殺害を謀るなど枢機卿以上に冷酷で凶悪、狡猾、嫉妬深い人物である。またアンヌ王妃にねじ曲がった好意を寄せており、王妃とアラミスの関係に不信感を持ち、2人を陥れようとする。
- フェロン総督
- 演 - ルパート・エヴェレット
- シーズン3の悪役。パリ軍事総督。先代の国王と侍女との間にできた庶子で、ルイ13世とは異母兄弟であり、ブルボン家の遺伝により背骨に異常があり杖をついて歩いている。
- マルショー
- 演 - マット・ストーキー
- シーズン3の悪役。親衛隊隊長。フェロン総督とグリモーの命令のもと、ことごとく銃士隊の邪魔をする。
- ガストン
- 演 - アンドレ・フリン
- ルイ13世の実弟でオルレアン公。王位を狙っている。
- マルグリット
- 演 - シャーロット・ソルト(日本語吹替:小林希唯)
- 王妃の侍女で王太子の乳母。アラミスと関係を持ち、それを知られたロシュフォールに操られ、徐々に自らを苦しめていく。
パリ市民
- コンスタンス・ボナシュー
- 演 - タムラ・カリ(日本語吹替:花村さやか)
- ダルタニアンが下宿する宿屋の女主人。性格は勝気で男勝りなところがある。当初はその性格もあってダルタニアンと馬が合わなかったが、次第に彼と惹かれ合い[1]、既婚者であるために結ばれない恋に悩み続ける。シーズン2ではダルタニアンの推薦と王妃の任命により王妃の侍女となり、王妃を側で支える存在となる。
- ジャック・ミシェル・ボナシュー
- 演 - ボー・ポラージ
- コンスタンスの夫。プライドが高く、妻を粗末に扱う。嫉妬深く、妻の浮気を疑っており、気を引くために自殺未遂を起こす。
- ルメー
- 演 - エド・ストッパード(日本語吹替:坪井智浩)
- 教授であり、医師。誠実で真面目な性格。コンスタンスに惹かれるが、ロシュフォールの策略で悲劇的な運命を辿る。
- シルヴィ
- 演 - タリッサ・テイセリア
- パリの難民地区に住む女性。裏では王政を非難する政治活動を行っている。後にアトスと恋仲になる。
スペイン王国
- ドン・フェルナンド・ペラレス
- 演 - ウィル・キーン(日本語吹替:大滝寛)
- スペインの大使。ロシュフォールと同じくスペインのスパイであり、国務によりロシュフォールの行動を監視するように命じられていた。外交官なだけあって、権力はあるものの強気な口調と尊大な態度で物申すため、ルイ13世からは嫌われている。しかし、実際は戦争を望んでおらず、トレヴィルに故郷が恋しいとつぶやき平和に暮らしたいと主張するなど、根っからの悪人ではない。上記の性格によりロシュフォールとは折り合いが悪い。
その他
- ミレディ・ド・ウィンター
- 演 - メイミー・マッコイ(日本語吹替:林真里花)
- アトスの元妻であり、シーズン1ではリシュリュー枢機卿の手先として銃士達と様々な場面で対立する。シーズン2では、国王の愛人になり、さらに枢機卿の後継者のロシュフォールと協力関係になるも、時に銃士達に協力する場面もみられ、ミステリアスで本性は謎に包まれたままの女性。
- グリモー
- 演 - マシュー・マクナルティ
- シーズン3の悪役。フェロン総督と組み、実行犯として暗躍する。
ゲスト
シーズン1
シーズン2
エピソードリスト
シーズン1
- 敵か味方か Friend and Enemies
- 鮮やかなトリック Sleight of Hand
- 気に食わない任務 Commodities
- 裏切り者 The Good Soldier
- 吹きだまりの帝王 The Homecoming
- 国王の母 The Exiles
- 魔女にされた伯爵 A Rebellious Woman
- 銃士隊と親衛隊 The Challenge
- 王妃の危機 Knight Takes Queen
- 皆は一人のために Musketeers Don't Die Easily
シーズン2
- 危険な男 Keep Your Friends Close
- 庶民になった国王 An Ordinary Man
- 正義の反逆者 The Good Traitor
- 天使が見た悪夢 Emilie
- 嘆きの領主 The Return
- 選べない選択 Through a Glass Darkly
- 姫の秘め事 A Marriage of Inconvenience
- 親父の真実 The Prodigal Father
- 愛と憎しみの炎 The Accused
- 愛に負け、愛に勝つ Trial and Punishment
シーズン3
- 戦利品 Spoils of War
- パリの飢え The Hunger
- 戦友 Brother in Arms
- 王室強盗 The Queen's Diamonds
- シャトレ脱獄 To Play the King
- 最後の闘争 Death of a Hero
- 見掛け倒し Fool's Gold
- 戦争捕虜 Prisoner of War
- 条約 The Prize
- 戦いの行方 We Are the Garrison
日本での展開
2016年にNHK総合で放送された。2016年3月2日に吹替版声優である宮野真守・福田賢二・中村悠一・三宅健太の出席する試写会が東京都渋谷区のNHK放送センターで実施[9]。2016年3月21日に放送直前特別番組が放送され、同年4月3日から第1シリーズの放送が開始された[8]。
NHK総合 日曜23時台枠 |
前番組 |
番組名 |
次番組 |
ダウントン・アビー華麗なる英国貴族の館 (第4シーズン) (2016.1.10 - 2016.3.20)
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マスケティアーズ パリの四銃士 (2016.4.3 - 2016.9.11)
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戦争と平和(2016.9.25 - 2016.11.13)
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2017年2月3日に第1シーズンのDVDとブルーレイが20世紀フォックスからリリースされた。セル版には「マスケティアーズの世界」「四銃士誕生」「衣装」「コンスタンス救出の舞台裏」の4本の特典映像が収録された[1]。同年3月3日には第2シーズンのDVDとブルーレイがリリースされた。セル版には「『マスケティアーズ』の音楽」「撮影の舞台裏(脱走シーン/水中シーン/アクションシーン)」「王妃の居室」「アストロラーベを作る」の4本の特典映像が収録された[11]。
2018年9月1日からはBS日テレで第3シーズンが初放送された[12]。
出典
外部リンク
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主人公 | |
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主な実在の人物 | |
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映画 | |
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テレビシリーズ | |
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舞台 |
- 三銃士 (バレエ、1980)
- 三銃士 (ミュージカル、2003)
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漫画 | |
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日本の関連項目 | |
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