『マウンテン』(Mountain)は、アメリカ合衆国のロック・ギタリストであるレスリー・ウェストが1969年に発表した初のソロ・アルバムである[注釈 1]。
解説
経緯
ウェストはニューヨーク出身で、1960年代中期よりヴァグランツというバンドで活動していた。ヴァグランツは1967年にプロデューサーのフェリックス・パパラルディ[注釈 2]の推薦によってアトコ・レコードとの契約を結んで、パパラルディが提供した曲を彼のプロデュースでシングル発表した[1]。同年、オーティス・レディングの「リスペクト」のカヴァー[2]が東海岸のローカル・ヒットになった[3]。
1969年、彼はクリームのアルバムをプロデュースして大きな業績を挙げたパパラルディ[注釈 3]をプロデューサーに迎えて、初のソロ・アルバムとなる本作を制作した。パパラルディは、本作を自ら設立したウィンドフォール・レコードの第一弾のアルバムとして発表した。
内容
全11曲の収録曲の内訳は、8曲がウェストの単独作もしくはパパラルディ他との共作、2曲がパパラルディとゲイル・コリンズ[注釈 4]の共作、残る1曲はザ・バンドの「火の車」のカヴァー。
パパラルディはプロデュースと共作に加えて、ベースとキーボードを担当した。
本作からは「ミルクとハチミツの夢」[4]、「ロング・レッド」[5]、「サウスバウンド・トレイン」[6]がシングルカットされた。
収録曲
- LP
Side One |
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# | タイトル | 作詞・作曲 | 時間 |
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1. | 「ブラッド・オブ・ザ・サン(Blood of the Sun)」 | レスリー・ウェスト、フェリックス・パパラルディ、ゲイル・コリンズ、ジョン・ヴェンチュラ、ノーマン・ランズバーグ | |
2. | 「ロング・レッド(Long Red)」 | ウェスト、パパラルディ、ジョン・ヴェンチュラ、ノーマン・ランズバーグ | |
3. | 「ベター・ウォッチ・アウト(Better Watch Out)」 | パパラルディ、コリンズ | |
4. | 「ブラインド・マン(Blind Man)」 | コリンズ、パパラルディ、ウェスト、ヴェンチュラ | |
5. | 「ベイビー・アイム・ダウン(Baby, I'm Down)」 | パパラルディ、コリンズ | |
合計時間: | |
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Side Two |
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# | タイトル | 作詞・作曲 | 時間 |
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1. | 「ミルクとハチミツの夢(Dreams of Milk and Honey)」 | ウェスト、パパラルディ、ヴェンチュラ、ランズバーグ | |
2. | 「ストーリーテラー・マン(Storyteller Man)」 | ウェスト、パパラルディ、ヴェンチュラ、ランズバーグ | |
3. | 「火の車(This Wheel's on Fire)」 | ボブ・ディラン、リック・ダンコ | |
4. | 「ルック・トゥ・ザ・ウィンド(Look to the Wind)」 | ウェスト、パパラルディ、ヴェンチュラ | |
5. | 「サウスバウンド・トレイン(Southbound Train)」 | ウェスト、ヴェンチュラ、ランズバーグ | |
6. | 「ビコーズ・ユー・アー・マイ・フレンド(Because You Are My Friend)」 | ウェスト | |
合計時間: | |
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- CD
# | タイトル | 作詞・作曲 | 時間 |
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1. | 「ブラッド・オブ・ザ・サン(Blood of the Sun)」 | レスリー・ウェスト、フェリックス・パパラルディ、ゲイル・コリンズ、ジョン・ヴェンチュラ、ノーマン・ランズバーグ | |
2. | 「ロング・レッド(Long Red)」 | ウェスト、パパラルディ、ジョン・ヴェンチュラ、ノーマン・ランズバーグ | |
3. | 「ベター・ウォッチ・アウト(Better Watch Out)」 | パパラルディ、コリンズ | |
4. | 「ブラインド・マン(Blind Man)」 | コリンズ、パパラルディ、ウェスト、ヴェンチュラ | |
5. | 「ベイビー・アイム・ダウン(Baby, I'm Down)」 | パパラルディ、コリンズ | |
6. | 「ミルクとハチミツの夢(Dreams of Milk and Honey)」 | ウェスト、パパラルディ、ヴェンチュラ、ランズバーグ | |
7. | 「ストーリーテラー・マン(Storyteller Man)」 | ウェスト、パパラルディ、ヴェンチュラ、ランズバーグ | |
8. | 「火の車(This Wheel's on Fire)」 | ボブ・ディラン、リック・ダンコ | |
9. | 「ルック・トゥ・ザ・ウィンド(Look to the Wind)」 | ウェスト、パパラルディ、ヴェンチュラ | |
10. | 「サウスバウンド・トレイン(Southbound Train)」 | ウェスト、ヴェンチュラ、ランズバーグ | |
11. | 「ビコーズ・ユー・アー・マイ・フレンド(Because You Are My Friend)」 | ウェスト | |
合計時間: | |
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参加ミュージシャン
マウンテンの結成
本作の発表後、ウェストとパパラルディは、本作の制作に参加したN.D.スマート(ドラムス)、元ジ・デヴィルズ・アンヴィル[8][注釈 5]、ウイングス[注釈 6]のスティーヴ・ナイト(キーボード)とマウンテンを結成。彼等は7月にフィルモア・ウェストでデビューし、8月にはウッドストック・フェスティバルに出演[10]。その後、スマートに替えてエナジーのドラマーであるカナダ人のコーキー・レイングを迎えて、1970年にウィンドフォール・レコードからデビュー・アルバム『勝利への登攀』を発表した。
マウンテンのコンサートでは、本作の「ブラッド・オブ・ザ・サン」[注釈 7]、「ロング・レッド」[注釈 8]、「ミルクとハチミツの夢」[注釈 9]、「サウスバウンド・トレイン」も演奏された[注釈 10]。
脚注
注釈
出典
引用文献
- Laing, Corky; Takala, Tuija (2019). Letters To Sarah. Helsinki: Polite Bystander Productions. ISBN 978-952-94-1530-4