マイルストーンズ (マイルス・デイヴィスのアルバム)
『マイルストーンズ』(Milestones) (CL 1193) は、アメリカ合衆国のジャズ・トランペット奏者マイルス・デイヴィスのスタジオ・アルバムで、「最初の偉大なクインテット (first great quintet)」と称されるマイルス・デイヴィス・クインテットにメンバーを追加したセクステットによって録音された。本作は、1958年にコロムビア・レコードからリリースされた[7]。 背景![]() テナー・サクソフォーン奏者のジョン・コルトレーンがデイヴィスのグループに復帰した1958年は、モーダル・ジャズのアルバム『マイルストーンズ』と『カインド・オブ・ブルー』(1959年)の時期に当たっており、これら2作は、いずれも1950年代のモダン・ジャズを本質を表した作例と考えられている。当時のデイヴィスは、長調と短調以外の音階、すなわちモードに実験的に取り組んでいた[8]。 デイヴィスは、「ウォーキン」にも似たブルース曲である「シッズ・アヘッド」で、トランペットとともにピアノを弾いている。アンサンブルのパッセージと、ソロではトランペットを吹いてるが、ガーランドが不在だったため、サクソフォーン奏者たちのソロでは伴奏のピアノを弾いている。「ビリー・ボーイ」は、ガーランドとリズム・セクションのソロをフィーチャーした曲である[9]。 評価オールミュージックの五つ星レビューで、トム・ジュレックは『マイルストーンズ』を、ビバップとポストビバップの流れにおいてブルースを取り上げた古典的アルバムであるとし、「記念碑的 (memorable)」なタイトル曲「マイルストーンズ (Milestones)」は。ジャズにモダニズムを導入し、その後のデイヴィスの音楽を方向付けたと述べている[3]。ポップマターズ (PopMatters) のアンディ・ハーマン (Andy Hermann) は、このアルバムが、『カインド・オブ・ブルー』より攻撃的なスウィング感を見せ、サクソフォーン奏者コルトレーンとキャノンボール・アダレイが参加した最初のセッションの様子を伝えるショーケースとなっており、二人の異なるスタイルが、「互いを自由に解き放ち、それぞれを偉大な高みにまで押し上げている (feed off each other and push each musician to greater heights)」と評している[10]。All About Jazz のジム・サンテラ (Jim Santella) は、デイヴィスが選んだパーソネルについて、このセクステットが長続きしなかったもののその質は「至高 (the very best)」だったと述べ、『マイルストーンズ』は、ジャズの歴史を形作る一助となる重要なアルバムのひとつ (a seminal album that helped shape jazz history)」だとしている[11]。 『The Penguin Guide to Jazz』は、コア・コレクションの一部として提案するアルバムに本作を選んでおり、このアルバムを、「非常に偉大なモダンジャズのアルバムのひとつ (one of the very great modern-jazz albums)」と評している[6]。 ステレオ音源での登場と、その経緯『マイルストーンズ』は、当初、モノラルでリリースされ、その後、そのモノ音源から電子的にチャンネル分けされた疑似ステレオでもリリースされた[12]。 収録曲
トラック3–9 は、1958年2月4日録音、トラック1–2は、同年3月4日録音。 パーソネル
脚注
外部リンク |
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