ホモ・ローデシエンシス (Homo rhodesiensis )は、まず1921年 に南アフリカ 近辺のカブウェ でその頭蓋骨 の化石 が発見された哺乳類 霊長目 ヒト科 の絶滅 種である。この他に、形態学 的に見て同種に分類できる化石が北アフリカ や東アフリカ でも発見された。これらの年代測定 (英語版 ) の結果、30万から12.5万年前の間に生息していたことが判明している。
現在は何人かの科学者 がホモ・ハイデルベルゲンシス の別名と見なしているが[ 1] [ 2] [ 3] 、ホモ・サピエンス・アルカイクス(Homo sapiens arcaicus )[ 4] やホモ・サピエンス・ローデシエンシス(Homo sapiens rhodesiensis )[ 5] という名も提案されている。
発見
頭骨のレプリカ
「カブウェ1」、あるいは「ブロークンヒルの頭骨 」は1921年 にアーサー・スミス・ウッドワード によって、ホモ・ローデシエンシスのタイプ標本 に指定された。現在では、ほとんどの科学者 がホモ・ハイデルベルゲンシス に分類している[ 1] [ 6] 。
頭骨は1921年に北ローデシア のブロークンヒル(現:ザンビア のカブウェ )にある鉛 ・亜鉛 の鉱山 において、スイス人鉱夫のトム・ツウィグラーによって発見された。下顎骨 は無く、頭骨の他に、上顎 、仙骨 、脛骨 、2つの大腿骨 の断片も発見されている。頭骨は発見時には「ローデシア人」と呼ばれていたが、現在では一般的に「ブロークンヒルの頭蓋」、あるいは「カブウェの頭蓋」と呼ばれている。
年代測定 (英語版 ) の結果、ローデシア人は30万から12.5万年前の間に生息していたことが判明している。ブロークンヒルの頭蓋骨の頭蓋腔 (英語版 ) 容積は1230cm3 と推定された[ 7] 。バダら(1974年)はアスパラギン酸 のラセミ化 の程度でこの標本の年代を測定し、110 ka(11万年前)という直接的な年代を定めた[ 8] [ 9] 。
大きな顔高、太い頬骨 、発達した眼窩上隆起 など、ホモ・ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人 )に似た幅の広い顔 を有すると記述され、「アフリカ のネアンデルタール人」として解釈されている。しかし、頭骨の極端な頑健性という点では、最近の研究において現在のホモ・サピエンス とネアンデルタール人の中間の、いくつかの特徴が指摘されている。
別の標本の[ 10] 「ンドゥトゥ湖のヒト科 」は40万年近いものと見られている。クラークは1976年にホモ・エレクトスに分類した。頭蓋腔の内容積の推定値は1100cm3 とされる。フィリップ・ライトマイアはその上溝の形態および隆起の存在から「ンドゥトゥの後頭部はホモ・エレクトスのそれとはまた違うように見えます」と示唆したが、スティンガー(1986年)は厚い腸骨柱はホモ・エレクトスに典型的に見られるものだと指摘している[ 11] 。
分類
ローデシア人の復元
ルパート・マリルはギリシャ のペトラロナ洞窟 (英語版 ) で発見された頭骨とローデシア人の関連性について研究している。現在のほとんどの専門家はローデシア人がホモ・ハイデルベルゲンシスのグループに含まれると考えている[ 4] [ 5] 。
ティム・ホワイト (英語版 ) によると、ローデシア人は現生人類のホモ・サピエンス・サピエンス(狭義のヒト )の直接の祖先にあたるヘルト人 の祖先かもしれないという[ 12] 。頭骨の上顎の歯の10本には虫歯 があり、最も古い既知の虫歯の一つと考えられている。くぼみは死の直前に重大な感染症 にかかっていたことを示しており、死因は歯科疾患の感染が原因になっているか、あるいはもしかすると、慢性的な耳の感染症にかかっていたかもしれないことを意味する[ 1] 。
出典
^ a b c “Kabwe 1 ”. The Smithsonian Institution's Human Origin Program. 2015年10月15日閲覧。
^ Stringer, Chris (2011). The Origin of our Species . Penguin. p. 202. ISBN 978-0-141-03720-2
^ Johansson, Donald; Edgar, Blake (2006). From Lucy to Language . Simon & Schuster. p. 222. ISBN 978-0-7432-8064-8
^ a b H. James Birx (10 June 2010). 21st Century Anthropology: A Reference Handbook . SAGE Publications. p. 48. ISBN 978-1-4522-6630-5 . https://books.google.com/books?id=fsF1AwAAQBAJ&pg=PT48
^ a b Bernard Wood (31 March 2011). Wiley-Blackwell Encyclopedia of Human Evolution, 2 Volume Set . John Wiley & Sons. pp. 761–762. ISBN 978-1-4443-4247-5 . https://books.google.com/books?id=440TmWXToLAC&pg=PT761
^ Begun, David R., ed (2012). “The African Origin of Homo Sapiens” . A Companion to Paleoanthropology . John Wiley & Sons. ISBN 9781118332375 . https://books.google.co.jp/books?id=oIoT1RcFeCwC&pg=PT375&lpg=PT375&dq=kabwe+1+type+specimen&redir_esc=y&hl=ja
^ Rightmire, G. Philip. The Evolution of Homo Erectus: Comparative Anatomical Studies of an Extinct Human Species Cambridge University Press, 1993. ISBN 0-521-44998-7 , ISBN 978-0-521-44998-4 .
^ Bada, Jeffrey L., Roy A. Schroeder, Reiner Protsch, and Rainer Berger. Concordance of Collagen-Based Radiocarbon and Aspartic-Acid Racemization Ages PNAS abstract URL.
^ Amino Acid Racemization Dating of Fossil Bones
^ Rightmire, G. Philip (2005). “The Lake Ndutu cranium and early Homo Sapiens in Africa”. American Journal of Physical Anthropology 61 (2): 245–254. doi :10.1002/ajpa.1330610214 . PMID 6410925 .
^ The Evolution of Homo Erectus: Comparative Anatomical Studies of an Extinct Human Species
By G. Philip Rightmire
Published by Cambridge University Press, 1993
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^ White, Tim D.; Asfaw, B.; DeGusta, D.; Gilbert, H.; Richards, G. D.; Suwa, G.; Howell, F. C. (2003). “Pleistocene Homo sapiens from Middle Awash, Ethiopia”. Nature 423 (6491): 742–747. doi :10.1038/nature01669 . PMID 12802332
関連項目
ヒト科 Hominidaeヒト亜族 Homininae
用語 関連項目 起源