ベストメンバー規定(ベストメンバーきてい)とは、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)やVリーグにおいて、常時「その時点における最強のチーム」をもって試合に臨まなければならないとする規約・規定の通称である。
Jリーグ
内容
Jリーグ規約第42条に以下の記述がある。下線部は平成30年1月30日改正時に削除された記述(詳細後述)。
- 第42条〔最強のチームによる試合参加〕
- Jクラブは、その時点における最強のチーム(ベストメンバー)をもって前条の試合に臨まなければならない。なお、第40条第1項第1号から第4号に定める公式試合における当該チームの詳細に関しては、「Jリーグ規約第42条の補足基準」に定めるものとする。
— Jリーグ規約(平成29年1月25日改正)より抜粋
この、「Jリーグ規約第42条の補足基準」は、2012年(平成24年)4月に導入されたもので、具体的に以下のようなものであった。
- 第1条
- J1リーグ戦およびリーグカップ戦における先発メンバー11人は、プロA契約選手または外国籍選手を合計6名以上含まなければならない。ただし、アマチュア選手、プロB契約選手およびプロC契約選手は、当該外国籍選手に含まない。
- 第2条
- (1) J2およびJ3リーグ戦における先発メンバーは、当該試合直前のリーグ戦5試合(以下「直前5試合」という)の内、1試合以上先発メンバーとして出場した選手(以下「直前5試合先発選手」という)を6名以上含まなければならない。
- (2)~(6)略
- 第3条
- Jクラブの役職員、チームスタッフ(Jリーグ規約第47条に定める意味を有する)およびその他のJクラブ関係者は、公の場において、最強のチーム (ベストメンバー )をもって試合に臨んでいることへの疑義を招く発言をしてはならず、発言した場合は、Jリーグ規約に基づく制裁の対象となり得る。
— Jリーグ規約第42条の補足基準(平成27年1月20日改正)より抜粋
第42条の補足基準は出場選手の基準以外に、代表選出や負傷欠場などの例外規定や、規定に違反した場合の罰則も定めていた。規約の全文については#外部リンクを参照。
規約制定の経緯
「ベストメンバーをもって公式戦に臨まなければならない」とする規約第42条はJリーグ発足当初からあったが、「どのようなメンバーがベストか」という定義は存在せず、もちろん違反した場合の罰則もなかった。強制力を持った補足基準が制定されたのは、2000年にアビスパ福岡の監督を務めていた、ネストール・オマール・ピッコリの発言がきっかけである。
この年の4月、1ヶ月でリーグ戦とヤマザキナビスコカップを合わせ8試合をこなすという過密日程にあったピッコリは、下位カテゴリであるJ2クラブが相手となるナビスコ杯での対湘南ベルマーレ戦において、事前に「メンバーを入れ替え、控え選手で戦う」という発言を行い、実際に先発メンバー11人中10人を直近のリーグ戦から入れ替えた(具体的なメンバー構成などの詳細は、ピッコリの記事を参照)。
ところが、Jリーグはピッコリの発言が報道された当初から、「カップ戦の権威が薄れる」として強く問題視。これを発端として、規約は改正され、「直前5試合に先発出場した選手を6人以上」という「ベストメンバー」の基準と、2000万円以下の罰金、リーグ戦の勝ち点剥奪、翌年のリーグカップ出場権剥奪などの罰則を定めた補足基準が制定された。ベストメンバー規定の存在が強くクローズアップされるようになったのは、この基準制定以降である。
なお、ベストメンバー規定が適用されるのは、当初はJリーグが主催するリーグ戦とナビスコカップのみであり、日本サッカー協会主催の大会である天皇杯全日本サッカー選手権大会は適用の範囲外だった。しかし、天皇杯でメンバーを落とすクラブが続出したことから、2009年より規約第42条を改正、天皇杯にもベストメンバー規定が適用された。ただし、補足基準は天皇杯の適用範囲外であり、天皇杯で補足基準で定めた出場選手条件を破っても、特に罰則は存在しない。
AFCチャンピオンズリーグ出場チームと日本代表を3人以上輩出したチームは規定を緩和される事になった
[1]。
批判
ベストメンバー規定の主な目的は、totoなどに絡む八百長試合・無気力試合の防止、スター選手のプレーを目的に観戦に訪れるファン・サポーター、または資金を提供してくれるスポンサーへの配慮などである。しかし、そもそもが主観的な概念である「ベストメンバー」というものをルールで定義し、更に違反した場合に罰則を強いるベストメンバー規定には、サポーターやサッカーメディアから強い批判が存在する。
専門誌などで主に指摘されている問題には、以下のようなものがある。
- 負傷選手などに関する例外規定があるとはいえ、負傷まではいかない疲労の蓄積、または戦術的な面による選手の入れ替え(ターンオーバー)を、全く想定していない。欧州をはじめとする他国のサッカーリーグでは、試合に応じて選手を大幅に使い分けるターンオーバーはごく普通に行われており、世界的に見ても異質なルールである。
- Jリーグは若手選手の育成・出場機会確保に積極的に取り組んでいるが、ベストメンバー規定が障害となって若手選手の思い切った起用がやりづらい。ベストメンバー規定を維持したまま、クラブに若手選手の起用を強いるJリーグの姿勢は矛盾している。
- そもそも、「どの選手がベストであるか」を決める権利はクラブの監督・スタッフにしか存在しないはずであり、リーグがベストメンバーを定義すること自体が現場への越権行為である。
- ベストメンバー規定により出場選手の固定化を強いる一方で、Jリーグの日程は年を追うごとに過密化の一途をたどっている。先に取り組むべきは、ベストメンバー規定よりも日程改革である。
これらの問題以前に、「天皇杯にもベストメンバー規定が適用されるのに、基準や罰則は適用されない」「カップ戦にもベストメンバー規定が適用されるのに、基準となる『直前の5試合』にはカップ戦が含まれず、リーグ戦の出場実績のみが加味される」など、規約の内容自体にも曖昧な点が多い。後述する初の規定違反事例は、このルールの曖昧さによる解釈ミスが原因になって起こっている。
また、2009年から天皇杯でも適用されるようになったとはいえ罰則はないため、翌2010年にはこの規程に従わないクラブが続出。この結果、天皇杯でのベストメンバー規定は有名無実化している[2][3]。
この流れに対し、2010年7月にJリーグチェアマンに就任した大東和美は、個人的な意見としながらもこの規定の存在自体に否定的な発言をしている[4]。
具体的な事例
2007年・川崎フロンターレ
2007年川崎の事例(背番号詳細は選手一覧参照)
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関塚隆
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2007年、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)への参加に伴う過密日程を強いられていた川崎フロンターレは、9月19日のACL準々決勝・対セパハンFC戦(フーラッドシャフル)から中3日の9月23日に行われたJリーグ・対柏レイソル戦において、選手の疲労を考慮し、セパハン戦の先発メンバーから8人を入れ替えて臨んだ。このメンバーには、リーグ直前5試合の先発メンバーが6人以上含まれており、ベストメンバー規定には抵触していなかったが、結果的に試合は0-4の敗戦に終わった。
ところが試合後、当時Jリーグ専務理事だった犬飼基昭は、規定に違反していないにもかかわらず、川崎の選手入れ替えと大敗を問題視。「サポーターに対する裏切り」と強く批判した。川崎のサポーターは犬飼の言葉に反発し、9月30日の対ヴァンフォーレ甲府戦において、「犬飼さん、我々は裏切られていません」というメッセージを掲げ、クラブの姿勢を支持した[5]。
2008年・大分トリニータ
2008年大分の事例(背番号詳細は選手一覧参照)
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2008年11月6日、3日前の11月3日にナビスコ杯決勝戦を戦ったばかりの大分トリニータは、天皇杯4回戦・対サガン鳥栖戦にナビスコ杯から先発メンバー10人を入れ替えて臨み、0-2で敗れた。天皇杯はそもそもベストメンバー規定の適用範囲外の大会であり、特にルールに違反した行為ではなかったが、日本サッカー協会会長の犬飼基昭はこれに激怒。大分に対し、翌年の天皇杯への出場権剥奪まで示唆し、大分の溝畑宏社長が、犬飼に謝罪する事態に発展した[6]。
天皇杯はベストメンバー規定の適用外であることに加え、リーグ戦が佳境に入る時期と開催が重なることから、優勝争いや残留争いにかかわるクラブがリーグ戦を優先してメンバーを入れ替えることは、これ以前から恒常的に行われていた。しかしこの大分の事例がきっかけとなり、2009年度からは罰則を伴わない形で、天皇杯にもベストメンバー規定が適用されている。
2009年・サンフレッチェ広島
2009年広島の事例(背番号詳細は選手一覧参照)
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ペトロヴィッチ
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2009年6月3日のナビスコ杯・対大分トリニータ戦において、サンフレッチェ広島は若手選手に出場機会を与える目的から、直前のリーグ戦から先発メンバー10人を入れ替えて臨み、2-2で引き分けた。ところがこの後、Jリーグはこの日の広島の先発メンバーのうち10人が「直前のリーグ戦5試合で先発」というベストメンバー規定の基準を満たしていないと判断。9月15日の理事会において、広島に対し1000万円の制裁金を科した[7]。これが、ベストメンバー規定違反による初の罰則適用事例となった。
広島は5月20日のナビスコ杯・対横浜F・マリノス戦において、ベストメンバー規定の範囲内で選手を入れ替えており、この試合が「直前のリーグ戦5試合」に含まれるならば、大分戦の先発メンバーも規定に抵触しないと判断。事前にJリーグ側に規定の解釈について確認しており、その時点では「抵触しない」という回答を得ていた[8][9]。Jリーグの側にも規定解釈に関するミスがあったとして、制裁金は規約上の上限である2000万円から減額され、Jリーグの側も役員に対して戒告・減給などの処分が下っている[10]。
2012年・ヴィッセル神戸
2012年神戸の事例(背番号詳細は選手一覧参照)
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安達亮(代行)
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2012年6月27日のナビスコ杯・対横浜F・マリノス戦において、ヴィッセル神戸は、直前のリーグ戦から先発メンバー9人を入れ替えて臨み、3-2で勝利した。Jリーグはこの日の神戸の先発メンバーのうち7人が「直前のリーグ戦5試合で先発」というベストメンバー規定の基準を満たしていないとして裁定委員会に諮問し、当該試合直前のリーグ戦5試合(J1リーグ戦第11節〜第15節)及び当該試合後のリーグ戦5試合(J1リーグ戦第16節〜第20節)により評価したが、当該試合で基準を満たしていなかったメンバーを主力メンバーとして起用しているとは認定できなかったとして、9月18日に、神戸に対し、けん責(始末書提出)及び制裁金1,000万円の制裁を科した[11]。ベストメンバー規定違反で制裁金を課されるのは、上記の広島に次いで2例目となった。
神戸の運営会社である株式会社クリムゾンフットボールクラブは、「誤認識によってあってはならない事態を引き起こしたことは、遺憾。先発メンバーの確認を徹底し、再発防止に努めていきたい」とコメントし、クラブの処分として、叶屋宏一代表取締役社長、高橋悠太常務取締役チーム統括本部長、岡本健太郎強化担当にそれぞれ減俸10%1ヶ月の処分を行った。なお、監督の西野朗は、シーズン途中の5月19日に就任しており、この試合が公式戦6戦目(うち、リーグ戦は3試合)であった。西野は、「ルールはルール。迷惑をかけて申し訳ない」と受け入れながらも「自分の中では早々にトライしたいものもあったので、(ベストメンバーかどうかは)意識をしていなかった」「これを機に制度が再検討されれば、それはそれで良いと思う」とコメントした[12][13]。
制裁基準の撤廃
2018年11月20日に行われたJリーグの理事会において、「クラブの強化方針・強化施策の選択肢拡大(クラブ内での競争促進)」と「若手選手の育成を目的とした出場機会の創出」を理由に、Jリーグ規約第42条の補足基準を撤廃すると共に、関連する記述が削除された[14]。「Jクラブは、その時点における最強のチーム(ベストメンバー)をもって前条の試合に臨まなければならない」とするJリーグ規約第42条そのものは残存するため、ベストメンバー規定自体は制裁の対象になることにかわりはないが、違反したとしても制裁金が科されるということはなくなった[15]。
海外事例
イングランドのプレミアリーグには、「全てのリーグ戦において、各参加クラブは、最強チームを出さなければならない。」と定める規定(ルールE20)が存在する。2009-2010シーズンには、この規定に違反したなどとしてウルヴァーハンプトン・ワンダラーズFCに罰金処分が下されている。この処分に対しては、過去にも試合ごとにメンバーが大きく違っていたが問題になっていない事例が散見されており、その処罰基準が不明確であるという批判がある。
Vリーグ
内容
Vリーグ機構規約[16] 第4章 競技 - 第1節 公式試合に下記の通り定められている。
第19条(最強のチームによる試合参加)
- 参加チームは、その時点における最高の状態、最強のメンバーをもって第17条[17]、第18条[18] の試合に臨まなければならない。
適用事例
サントリーサンバーズは2012年3月10日のVリーグ最終戦前の一戦(対JTサンダーズ)において、レギュラーメンバーで戦い [1] 3-0で勝利した。翌日の対豊田合成トレフェルサ戦において、メンバーを総入れ替えし、前日の控えメンバーをスターティングメンバーとして試合に臨み [2]、0-3で敗れた。サントリーはすでに四強入りを決めていたが、対戦相手であった豊田合成とJTは入替戦出場がかかる6・7位を争っていた経緯があり、最終的に豊田合成は6位となり入替戦を免れた。
サントリーサンバーズの行為に対して、Vリーグ機構は4月17日に次の制裁を科すと発表した[19]。
# 譴責(始末書提出)
- 制裁金 30万円
- Vリーグ機構社員(所属チームのこと)並びに主催者である大阪バレーボール協会に対し、謝罪を行うこと。
- 再発防止策をまとめ、同年5月31日までに提出すること。
- 大阪府内を中心に社会貢献活動に尽力し、バレーボール界並びにVリーグ機構の信頼回復に努めること。
19条による制裁は1994年のVリーグ開始以来、初めての事例である。
脚注
外部リンク
PDFファイルにつき閲覧注意。