ブリュイ (Bruix)はフランス海軍 の装甲巡洋艦 。アミラル・シャルネ級 。艦名となっているブリュイ はフランス革命 、ナポレオン戦争 時のフランスの提督である[ 1] 。
艦歴
ロシュフォール工廠(Arsenal de Rochefort[ 2] )で建造[ 3] 。1891年11月9日起工[ 2] 。1894年8月2日進水[ 2] 。1896年12月1日就役[ 2] 。同月15日、北方艦隊に編入された[ 4] 。
1897年8月、「ブリュイ」は大統領フェリックス・フォール を乗せロシアのクロンシュタット へ向かう装甲巡洋艦「ポテュオ 」の護衛としてダンケルク より出航する[ 4] 。しかし、出航直後にピストンロッドが破損して中圧シリンダーが損傷し、「ブリュイ」はシェルブール に引き返した[ 4] 。1898年は極東に配備されていた[ 5] 。11月20日、スエズ運河 通過時に右舷側のスクリューを破損した[ 6] 。1899年2月、北方艦隊に編入[ 6] 。1900年6月、再びピストンロッドの修理が必要となった[ 6] 。1901年6月22日、演習のため北方艦隊は地中海へ向かう[ 6] 。6月27日、イギリス汽船「Paddington」が「ブリュイ」の衝角と接触[ 6] 。演習から戻った後、衝角の修理に加えてビルジキール の装着が行われた[ 6] 。1902年には「ブリュイ」は大西洋部隊に編入され、スペイン各地を訪問[ 6] 。6月からは火山災害のあったマルティニーク で救援活動に当たった[ 6] 。1903年、北方艦隊に編入[ 6] 。予備役に置かれた期間を挟み、1907年には再び極東配備となった[ 6] 。「ブリュイ」は1907年1月10日にサイゴン に着いた[ 6] 。5月20日に装甲巡洋艦「シャンジー 」が座礁すると、その救援に向かっている[ 7] 。1909年4月26日にサイゴンを離れて本国へ向かい、スエズ運河通過時にイタリア汽船「Nilo」と衝突した[ 8] 。「ブリュイ」は1912年7月からクレタ島 に配備された[ 8] 。1912年11月8日、「ブリュイ」は座礁したロシア巡洋艦「オレーク 」の離礁作業を支援した[ 8] 。1913年ごろには伊土戦争 中の機雷に触れて沈んだ「Sénégal」の浮揚作業を支援した[ 8] 。
第一次世界大戦
第一次世界大戦勃発時は「ブリュイ」はレバント部隊(Division du Levant)に属していた[ 9] 。
1914年8月22日、モロッコ部隊(Division du Maroc)が編成される[ 10] 。最初は防護巡洋艦2隻であったが、すぐに「ブリュイ」と装甲巡洋艦「アミラル・シャルネ 」、「ラトゥーシュ・トレヴィル 」も加わった[ 10] 。その任務は北アフリカ沿岸やジブラルタル・カサブランカ間での海上交通路保護であった[ 10] 。9月には敵の脅威がなかったことからその戦力は削減され、「ブリュイ」はカメルーン での作戦に従事する[ 10] 。9月25日、「ブリュイ」はドゥアラ へ兵を上陸させた[ 10] 。11月13日にはビクトリア を砲撃した[ 10] 。
1915年になるとスエズ運河 で活動したりナバリノ に配備されたりした[ 8] 。5月14日、ダーダネルス艦隊(Escadre des Dardanelles)が編成され、「ブリュイ」もそこに属すこととなる[ 11] 。フランスとイギリスによる小アジア沿岸封鎖が行われ、「ブリュイ」もそれに従事した[ 11] 。8月21日、スミュルナ 沖で行われたスブラ湾上陸のための陽動作戦で戦艦「シャルルマーニュ 」を掩護した[ 11] 。以後も「ブリュイ」はエーゲ海方面で活動した[ 8] 。
1916年8月、ギリシャ兵の関与も疑われるブルガリアによるギリシャ への攻勢が開始される[ 12] 。8月28日、「ブリュイ」はフランス領事館保護のためピレウス に配置された[ 13] 。
1917年2月26日、ギリシャの臨時政府がサロニカで動員を行い、アテネで抗議活動が起きたためフランス領事が「ブリュイ」に退避した[ 14] 。
1918年1月31日、「ブリュイ」は予備役となった[ 8] 。
1918年11月29日に「ブリュイ」は再就役し、1919年3月からは黒海で活動 してニコラエフ (3月)やオデッサ (4月)からの撤退に参加した[ 15] 。「ブリュイ」は5月22日にコンスタンチノープルからトゥーロンへ向かい、到着後予備役となった[ 15] 。事実上の退役で、1920年6月21日に除籍され、1921年6月21日に解体のため売却された[ 15] 。
要目
排水量:4756トン[ 6]
長さ:全長110.00m、垂線間長106.00m[ 6]
幅:水線幅13.98m[ 6]
吃水:6.06m(艦尾)[ 6]
機関:ベルヴィール式水管缶16基、直立4気筒3段膨張機関2基、2軸[ 16]
速力:19ノット(設計)[ 6]
装甲:装甲帯92mm、甲板40/50mm、司令塔92mm、19cmおよび14cm砲の砲塔92mm[ 17]
兵装:M1887 45口径19cm砲2門(単装)[ 19] 、M1887 45口径14cm砲6門(単装)[ 20] [ 22] 、M1891 50口径65mm砲4門(単装)、M1885 40口径47mm砲8門(単装)、37mm回転砲6門、450mm水上魚雷発射管4門、魚雷8本[ 23]
脚注
^ John Jordan, Philippe Caresse, French Armoured Cruisers 1887–1932 , p. 26
^ a b c d John Jordan, Philippe Caresse, French Armoured Cruisers 1887–1932 , p. 25
^ 『フランス巡洋艦史』69ページ
^ a b c Luc Feron, "The Armoured Cruisers of the Amiral Charner Class", p. 25
^ Luc Feron, "The Armoured Cruisers of the Amiral Charner Class", pp. 25, 27
^ a b c d e f g h i j k l m n o p John Jordan, Philippe Caresse, French Armoured Cruisers 1887–1932 , p. 27
^ Luc Feron, "The Armoured Cruisers of the Amiral Charner Class", p. 24
^ a b c d e f g Luc Feron, "The Armoured Cruisers of the Amiral Charner Class", p. 28
^ John Jordan, Philippe Caresse, French Armoured Cruisers 1887–1932 , p. 219
^ a b c d e f John Jordan, Philippe Caresse, French Armoured Cruisers 1887–1932 , p. 227
^ a b c John Jordan, Philippe Caresse, French Armoured Cruisers 1887–1932 , p. 236
^ John Jordan, Philippe Caresse, French Armoured Cruisers 1887–1932 , p. 240
^ John Jordan, Philippe Caresse, French Armoured Cruisers 1887–1932 , p. 241
^ John Jordan, Philippe Caresse, French Armoured Cruisers 1887–1932 , p. 244
^ a b c John Jordan, Philippe Caresse, French Armoured Cruisers 1887–1932 , p. 254. Luc Feron, "The Armoured Cruisers of the Amiral Charner Class", p. 28
^ John Jordan, Philippe Caresse, French Armoured Cruisers 1887–1932 , pp. 27, 30. Luc Feron, "The Armoured Cruisers of the Amiral Charner Class", p. 14
^ John Jordan, Philippe Caresse, French Armoured Cruisers 1887–1932 , pp. 27, 30
^ 『フランス巡洋艦史』6、147ページ
^ 実口径19.4cm[ 18]
^ 『フランス巡洋艦史』69ページのアミラル・シャルネ級の要目ではM1887またはM1891となっている
^ 『フランス巡洋艦史』6、147ページ
^ 実口径13.86cm[ 21]
^ 『フランス巡洋艦史』69ページ。John Jordan, Philippe Caresse, French Armoured Cruisers 1887–1932 , p. 27
参考文献
『フランス巡洋艦史』世界の艦船増刊第50集、海人社、1998年
John Jordan, Philippe Caresse, French Armoured Cruisers 1887–1932 , Seaforth Publishing. 2019, ISBN 978-1-5267-4118-9
Luc Feron, "The Armoured Cruisers of the Amiral Charner Class", Warship 2014 , Conway, 2014, ISBN 978-1-5911-4923-1 , pp. 8-28