Wellbutrin XLの錠剤
ブプロピオン (bupropion) は、ノルエピネフリン・ドーパミン再取り込み阻害薬 (英語版 ) (NDRI) として作用する抗うつ薬 の一種で、ニコチン拮抗薬 である[ 1] [ 2] 。ブプロピオンは化学的にはアミノケトン類に属し、その構造は食欲減退薬 のジエチルプロピオン に類似している。アメリカでは抗うつ薬ウェルブトリン (Wellbutrin)の商品名で知られ、後発医薬品 も多く出ている。後にブプロピオンには禁煙 補助剤としての効果があることが判明し、商品名ザイバン (Zyban)で市場に出された。日本では販売されていない。
2007年には、アメリカ の2018万4000の小売店において4番目に多く処方された抗うつ剤である[ 3] 。
歴史
ブプロピオンはバロウズ・ウェルカム(Burroughs Wellcome、現在のグラクソ・スミスクライン )のNariman Mehtaによって1969年 に発明され、1974年にはアメリカ により特許 が承認された[ 4] 。1985年 の12月30日にアメリカ食品医薬品局 (FDA)から抗うつ薬 としての認可を受け、 ウェルブトリン(Wellbutrin)という名称で販売された[ 5] 。しかし、当初の推奨される投薬量(400 – 600 mg)で著しい発生率で発作が現れたために1986年 に使用が停止された。その後、発作の危険性は用量に依存することが分かり、ブプロピオンは1989年に最大推奨量 450 mg/day として再認可された。
1996年には、1日に2回の服用を意図したウェルブトリンSRと呼ばれるブプロピオンの徐放性製剤が、FDAにより認可された[ 6] 。2003年には 1日1回の服用を意図したウェルブトリンXLと呼ばれる別の徐放性製剤が認可された。ウェルブトリンSRとXLはアメリカ国内で、カナダ ではSRのみが入手できる。1997年には、禁煙時の離脱症状である気分の落ち込みを防ぐ目的で、ブプロピオンの徐放性製剤がニコチン置換薬以外で初めての禁煙補助剤として、ザイバン(Zyban)という名称でFDAより認可され[ 6] [ 7] 、アメリカにおける『臨床ガイドライン:喫煙と依存症の治療』で第一選択薬の一つに挙げられている[ 8] 。
同様に2006年には、ウェルブトリンXLが季節性情動障害 の治療への使用が認可された[ 9] 。
日本 では認可を目指して治験 が最終段階のフェーズⅢまで行われたが、その後開発が中止された[ 10] 。
国際一般名 (INN) では amfebutamone という名称が以前から知られている[ 11] 。
禁忌
グラクソ・スミスクライン では、てんかん 患者、発作閾値を低下させる恐れのある「アルコールやベンゾジアゼピンを含む抗不安薬の急な服用中止を行っている患者」、拒食症 患者、過食症 患者、脳腫瘍患者へブプロピオンを処方するべきではないとしている。FDAにより承認された添付文書[ 12] では、モノアミン酸化酵素阻害薬 (MAOIs)を服用している患者への処方も避け、MAOIsからブプロピオンへ処方を変更する場合には最低2週間空けるべきであるとしている。また、自殺念慮リスクが増加するため肝障害、重篤な腎疾患、重度の高血圧をもつ患者や小児、思春期、青年期、若年成人へは十分注意して処方するべきであるとしている。 ==
1993年に出された症例報告では、ブプロピオンは注意欠陥多動性障害 にトゥレット障害 を併発している小児においてチック を悪化させることがあると報告されている[ 13] 。
副作用
臨床試験では自殺念慮や自殺企図はまれであり、FDAはブプロピオンを含むすべての抗うつ薬に黒枠警告 にて、25歳未満の人では自殺の危険性を増加させる可能性があるという表示を指示した。この警告は、自殺念慮や自殺企図が18~24歳では1.5倍、子供と青年では2倍に増加することを、FDAが統計解析によって見出したことに基づいている。[ 14] この分析は、FDAが11の抗うつ薬における295の試験を結合したものであり、ブプロピオン単独で考えると偽薬との有意な差はない[ 14] 。
ブプロピオン誘発性精神病 は特定の患者集団に生じることがあり、あるいは、以前から存在する精神病症状を悪化させることがある[ 15] 。症状は妄想 、幻覚、パラノイア 、混乱を含む。多くの場合には、これらの症状は服用量を減らしたり、治療を中止するか、抗精神病薬を追加することで軽減あるいは消失する[ 12] [ 15] [ 16] 。精神病を治療するため、抗精神病薬の代わりにベンゾジアゼピン 系薬の追加は、アンフェタミン誘発性精神病のモデルに従った、正当な代用となりうる[ 17] 。精神病症状は、ブプロピオンの高用量、双極性障害や精神病、リチウムやベンゾジアゼピンのような医薬品の併用、高齢、あるいは、薬物乱用のような要因に関連している[ 15] [ 18] 。
合成
ブプロピオンは、3'-クロロプロピオフェノンをブロモ化 し、続けてtert-ブチルアミン で求核置換 することによって合成する[ 4] [ 19] 。
出典
^ Slemmer J E, Martin R M, Damaj M I (2000). “Bupropion is a Nicotinic Antagonist”. J Pharmacol Exp Ther 295 (1): 321–327.
^ Fryer J D, Lukas R J (1999). “Noncompetitive functional inhibition at diverse, human nicotinic acetylcholine receptor subtypes by bupropion, phencyclidine, and ibogaine”. J Pharmacol Exp Ther 288 (6): 88–92. PMID 9862757 .
^ 上位三位は、セルトラリン 、エスシタロプラム およびフルオキセチン である。ブプロピオンの処方量は、 Wellbutrin XL, Budeprion XL, Budeprion SR, Bupropion SR および Bupropion ER の合計から算出している。 “Top 200 Generic Drugs by Units in 2007 ” (pdf). Drug Topics (2008年2月18日). 2008年3月30日 閲覧。 and Verispan (2008年2月18日). “Top 200 Brand Drugs by Units in 2007 ” (pdf). Drug Topics. 2008年3月30日 閲覧。
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^ Staff Writer. "Seasonal affective disorder drug Wellbutrin XL wins approval Archived 2007年6月30日, at the Wayback Machine .." CNN . June 14, 2006. Retrieved on August 19, 2007.
^ [1]
^ The INN originally assigned in 1974 by the World Health Organization was "amfebutamone". In 2000, the INN was reassigned as bupropion . See World Health Organization (2000). “International Nonproprietary Names for Pharmaceutical Substances (INN). Proposed INN: List 83” (PDF). WHO Drug Information 14 (2). オリジナル の2010年2月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100201195838/http://82.77.46.154/gsdldata/collect/whodruginfo/index/assoc/h1463e/h1463e.pdf .
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外部リンク