「フォーチュネイト・サン 」(Fortunate Son )は、アメリカ合衆国のロックバンドであるクリーデンス・クリアウォーター・リバイバル の楽曲。4作目のスタジオ・アルバム『ウィリー・アンド・ザ・プアボーイズ 』の発売に先駆け、1969年9月にシングル『ダウン・オン・ザ・コーナー 』のB面曲として発売された[ 4] 。
ビルボード チャートが集計手法を両面ごとに切り替えた1週間後の1969年11月22日には全米チャート 14位を記録し、3週間後の1969年12月20日には3位となった[ 5] 。1970年12月にはアメリカレコード協会 によってゴールドディスク に認定された[ 6] 。ピッチフォーク・メディア が発表した「1960年代の偉大な曲200」(The 200 Greatest Songs of the 1960s )では第17位に選出された[ 7] 。
概要
この曲は、デイヴィッド・アイゼンハワー に触発されたものである。ドワイト・D・アイゼンハワー 元大統領の孫のデイヴィッドは、1968年、リチャード・ニクソン 大統領の娘のジュリー・ニクソン と結婚した[ 8] 。ジョン・フォガティ はローリング・ストーン 誌に対して次のように語っている。
ジュリー・ニクソンがデイヴィッド・アイゼンハワーの周りをうろついていることだけで、彼らが揃いも揃って戦争に係わるつもりが無かったのは明らかだった。1968年、アメリカの大半は軍人達が士気高く戦っていると信じていて、80%の人々が戦争を支持していた。しかし注意深く事態を見守っていた人々は、アメリカがどうしようもないトラブルに向かっているのを知っていた。
この曲はベトナム戦争 期に高い人気を誇り、ベトナム戦争を題材とした映画 やビデオゲーム でもしばしば使用された。歌詞は議員や富豪の息子といった「幸運な息子」(Fortunate Son)ではなく、今まさに徴兵されようとしている人々の視点から歌われる。フォガティは、1999年12月31日のリンカーン記念館 における「アメリカのミレニアム」ショーにて、ビル・クリントン 大統領の前でこの曲を歌い、その様子は全米に中継された。
「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500 」では、2004年版で第99位[ 10] 、2021年版で第227位にランクインした[ 11] 。
2007年に発表したフォガティのソロ・アルバム『Revival』収録の「I Can't Take It No More」はイラク戦争 に対する反戦歌 で、暗にジョージ・W・ブッシュ 大統領を示す為に「幸運な息子」という歌詞が含まれる。
2020年、新型コロナウイルスの流行 により各国で外出禁止の措置がなされる中、フォガティは3月24日から自宅で撮影したライブ演奏を精力的に配信。家にとどまることと手を洗うことを訴えている。4月にはトーク番組『ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア 』において本作品の演奏が放映された[ 12] 。
カバー
この曲は多くの歌手によってカバーされたが、次の歌手・バンドによるものが良く知られている。
ザ・スクリーミング・ジェッツ は1996年のシングル『サクリフェイス』のB面としてリリースした。ワイクリフ・ジョン のカバー版は、2004年の映画『クライシス・オブ・アメリカ 』のクレジットで使用された。2004年4月28日にはスリーター・キニー が「ジョージ・W・ブッシュに捧ぐ」として、WedRock慰問コンサートで歌った。このバージョンは後のライブアルバムに含まれた。イヴァン・ネヴィル は2005年にオールスターファンクバージョンを歌い、これはハリケーン・カトリーナ の水害に対する復興支援アルバム『Our New Orleans』に含まれた。アメリカのポップパンクバンド、フェニックス TX は、2005年のアルバム『Purple Reign in Blood』にライブカバーバージョンを収録した。マイ・ケミカル・ロマンス は、2007年のブラック・パレード・ツアーで歌った。サーファーとしても知られるドノヴァン・フランケンレイター もEP盤アルバム『Recycled Recipes』および『5 Amp Blues』にスローアコースティックバージョンを収録した。トッド・スナイダー は2008年のEP盤アルバム『Peace Queer』にこの曲を収録した。2010年、サンタナ はアルバム『ギター・ヘヴン〜グレイテスト・ロック・クラシックス〜 』にこの曲を収録した。このバージョンではクリード のスコット・スタップ がボーカルを務めている。2011年には、ザ・ゴースト・インサイド がビデオゲーム『HOME FRONT 』のサウンドトラック向けにカバーした。2012年には、『アメリカン・アイドル 』第12シーズンに出演したスカイラー・レイン によって歌われた。
メディアでの使用
ビデオゲーム
『バトルフィールド ベトナム 』ではゲーム中で再生可能なBGMの一つに設定されており、ゲーム開始時のイントロでも使用されている。『バトルフィールド バッド カンパニー2 』のDLCである『バトルフィールド:バッドカンパニー2 ベトナム』のE3発表用トレイラーでも使用され、ゲーム内のメインメニューや車両のラジオでも使用されている。『コール オブ デューティ ブラックオプス 』ではケサンの戦い を描くエピソード「SOG」の開始時に使用される。ただし、このエピソードの日付は1968年1月21日と設定されているため、1969年11月2日の『ウィリー・アンド・ザ・プアボーイズ 』リリース以前に当り、時代考証としては間違っている。『HOME FRONT 』では、「ゴールデンゲート」のエピソードでこの曲が使用される。カバー版は2007年にDLCとしてリリースされた。2010年にはCCRによるマスターレコーディングバージョンも利用できるようになった。『ギターヒーロー ウォリアーズロック 』でも使用された。『グランド・セフト・オートV 』では次世代機版、PC版を追加したラジオでも使用されている。『マフィアIII 』では車内のラジオや店内でも使用された。『ウォッチドッグス2 』ではオープニングで使用されている。『BioShock Infinite 』でも使用された。
テレビ・映画
1994年の映画『フォレスト・ガンプ/一期一会 』では、フォレストとバッバがベトナムに送られ、ヘリコプターに搭乗するシーンで使用されている。2007年の映画『ダイ・ハード4.0 』ではカーラジオからこの曲が流れ、登場人物の若者が「古臭いロックンロール」と評するシーンがある。また、エンドロールにも使用されている。アニメ『アメリカン・ダッド 』のエピソード「In Country...Club」ではベトナム戦争の光景を模したシーンで使われる。その他、ベトナム戦争映画の撮影を題材とした2008年の映画『トロピック・サンダー/史上最低の作戦 』でもBGMの1つとして使用された他、2012年の映画『バトルシップ 』ではエンドロールに使用された。2016年の映画『スーサイド・スクワッド 』ではBGMの1つとして使用された。
アメリカのテレビドラマ『Lights Out』の最終話「War」や「Sons of Anarchy」の第108話でも使用される。また『CHUCK/チャック 』の第3シーズンのエピソード「チャック VS ひげヅラ」(Chuck Versus The Beard)でも使用された。
チャート成績
年間チャート
チャート (1970年)
順位
ベルギー (Ultratop Flanders)[ 21]
93
認定
脚注
出典
^ Perone, James E. (January 1, 2001). Songs of the Vietnam Conflict . Greenwood Publishing Group. pp. 60-. ISBN 978-0-313-31528-2
^ Werner, Craig Hansen (2006). A Change is Gonna Come: Music, Race & the Soul of America . University of Michigan Press. pp. 152, 156. ISBN 9780472031474
^ DeCurtis, Anthony (1 November 2005). "John Fogerty Is Closer to Peace With a Label" . The New York Times . The New York Times Company. 2024年2月9日閲覧 。
^ Phull, Hardeep (2008). Story Behind the Protest Song: A Reference Guide to the 50 Songs That Changed the 20th Century . Santa Barbara, California: ABC-CLIO. p. 92. ISBN 9781567206852
^ Whitburn, Joel (1990). The Billboard Hot 100 Charts: The Sixties (25 October 1969 through 27 December 1969) . Menomonee Falls, Wisconsin: Record Research, Inc.. ISBN 0-89820-074-1
^ Murrells, Joseph (1978). The Book of Golden Discs . London: Barrie and Jenkins Ltd.. p. 257. ISBN 0-214-20512-6
^ "The 200 Best Songs of the 1960s" . Pitchfork . Condé Nast. 17 August 2006. 2024年2月9日閲覧 。
^ "The story behind the lyrics and the identity of the "Fortunate Son" " . Snopes.com. 2010年7月21日閲覧 。
^ "Fortunate Son Songfacts" . Songfacts.com. 2010年6月12日閲覧 。
^ "99. Creedence Clearwater Revival, 'Fortunate Son' – 500 Greatest Songs of All Time (2004)" . Rolling Stone . 11 December 2003. 2024年2月9日閲覧 。
^ "227. Creedence Clearwater Revival, 'Fortunate Son' – 500 Greatest Songs of All Time (2021)" . Rolling Stone . 15 September 2021. 2024年2月9日閲覧 。
^ "John Fogerty "Fortunate Son" - A Late Show Presents" . The Late Show with Stephen Colbert . 25 April 2020. 2020年4月29日閲覧 。
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^ "Danish single certifications – Creedence Clearwater Revival – Fortunate Son" . IFPI Danmark. 2024年2月9日閲覧 。 Click on næste to go to page 12090 if certification from official website
^ "Gold-/Platin-Datenbank (Creedence Clearwater Revival; 'Fortunate Son')" (German). Bundesverband Musikindustrie . 2024年2月9日閲覧 。
^ “Italian single certifications – Creedence Clearwater Revival – Fortunate Son ” (Italian). Federazione Industria Musicale Italiana . 2024年2月9日 閲覧。 Select "2021" in the "Anno" drop-down menu. Select "Fortunate Son" in the "Filtra" field. Select "Singoli" under "Sezione".
^ “New Zealand single certifications – Creedence Clearwater Revival – Fortunate Son ”. Recorded Music NZ . 2024年2月9日 閲覧。 [リンク切れ ]
^ "British single certifications – Creedence Clearwater Revival – Fortunate Son" . British Phonographic Industry . 2024年2月9日閲覧 。
^ "American single certifications – Creedence Clearwater Revival – Fortunate Son" . Recording Industry Association of America . 2024年2月9日閲覧 。
外部リンク