フェリックス・ガタリ
ピエール=フェリックス・ガタリ(Pierre-Félix Guattari、1930年4月30日 - 1992年8月29日)は、フランスの哲学者、精神分析家。精神科医ではない。 人物十代の頃、フェルナン・ウリを介してジャン・ウリと出会い、精神分析を志す。パリ第八大学の精神分析コースにおいて、ジャック・ラカンのもとで学ぶ。1968年五月革命以降、ジル・ドゥルーズに出会う。政治犯救済運動を推進する一方、ブロワ近郊のラ・ボルド病院(ロワール=エ=シェール県)に分析家として勤務し、精神医学改革の運動を起こしてきた。患者を院内活動、クラブ活動に責任ある参加をさせ、集合的主体化の拠点づくりを目指す(制度による精神療法参照)。個人の確立よりも集団と個人のあいだに現れるその局面の主体性を作ろうとした。 入門書として『闘争機械』(インタビュー多数、巻末に自身による用語辞書)、『エコゾフィー』、理論的著作として『精神分析と横断性』、『分子革命』[1]、プルースト論の『機械状無意識』などがある。自伝的作品に『リトルネロ』、芸術作品や数学を論じたものに『分裂分析的地図作成法』がある。分子とは比喩で、体積の変わらないモルと対置される。意識がモル的な動きしかできないのに対して、無意識は自由に元素のように結びつき様々な分子的な結びつきを実現する。無意識を第一義に置いた視点は、今もって斬新である。遺著『カオスモーズ』の題名は、「カオス(混沌)」、「コスモス(秩序)」、「オスモーズ(浸透)」の3語を組み合わせたジェイムズ・ジョイスによる造語である。1972年、ジル・ドゥルーズとの共著活動(ドゥルーズ&ガタリ)で一躍有名になった。フロイト的精神分析を批判し、独自の分子的精神分析を提案した連作、『アンチ・オイディプス』と『千のプラトー』は、まだその可能性が汲みつくされたと言えない。他に共作で、『カフカ~マイナー文学のために』、『哲学とは何か』がある。 スター哲学者ドゥルーズの陰に隠れていた感があったが、邦訳が完備し、新たに注目を集めている。ガタリの思想は、情報論のピエール・レヴィらに大きな影響を与えた。 著作
脚注
参考文献
関連項目 |