g = 1 の場合:有理点が存在しないか、もしくは C が楕円曲線で、有理点が有限生成アーベル群をなす。(モーデル定理(Mordell's Theorem)は、後にモーデル・ヴェイユの定理(Mordell–Weil theorem)へ一般化された。さらにメイザーの捩れ定理[1]は捩れ部分群の構造を制限している。)
g > 1 の場合:ファルティングスの定理(モーデル予想)に該当する。C は有限個の有理点しか持たない。
モーデル・ヴェイユの定理により、ファルテングスの定理はアーベル多様体 A の有限生成部分群 Γ を持つ曲線 C の交点理論についての主張として再定式化することができる。C を A の任意の部分多様体に置き換え、Γ を任意の A の有限ランクの部分群へ置き換えることで、モーデル・ラング予想(英語版)(Mordell–Lang conjecture)[2]が導出される。
ファルテングスの定理の別の高次元への一般化は、ボンビエリ・ラング予想(英語版)(Bombieri–Lang conjecture)であり、X が数体 k 上の準標準多様体(英語版)(pseudo-canonical variety)(すなわち、一般型の多様体)であれば、X(k) は X でザリスキー稠密ではない。さらに一般的な予想がポール・ヴォイタ(英語版)(Paul Vojta)により提示されている。
ファルティングスの定理は計算可能性を備えていない(有効でない)。ファルティングスの定理の証明に用いられる議論からは、ヤコビ多様体の構造を用いて、有理点の個数に対して、具体的な上からの評価を求めることはできるが、有理点の大きさの上界が得られるわけではない。そのため、この定理を使って有理点をすべて求めることはできない。
モーデル予想の解決に先立って、Chabauty (1941a, 1941b)はヤコビ多様体の階数が小さいときに、有理点の個数の上界を求める方法を開発し、Coleman (1985)は実際にいくつかの場合に具体的な上界を得ている。
たとえば p が 2g より大きい素数で C が p を法として良い還元をもつとすると、有理点の個数は高々
Bombieri, Enrico (1990). “The Mordell conjecture revisited”. Ann. Scuola Norm. Sup. Pisa Cl. Sci.17 (4): 615–640.
Chabauty, C. (1941a). “Sur les points rationels des courbes algébriques de genre supérieur à unité”. C. R. Acad. Sei. Paris212: 882–884.
Chabauty, C. (1941b). “Sur les points rationels des variétés algebriques dont l’irregularité est supérieur à la dimension”. C. R. Acad. Sci. Paris212: 1022–1024.
Cornell, Gary; Silverman, Joseph H. (1986). Arithmetic geometry. New York: Springer. ISBN0-387-96311-1 → Contains an English translation of Faltings (1983)
Faltings, Gerd (1983). “Endlichkeitssätze für abelsche Varietäten über Zahlkörpern”. Inventiones Mathematicae73 (3): 349–366. doi:10.1007/BF01388432.
Grant, David (1994). “A curve for which Coleman's effective Chabauty bound is sharp”. Proc. Amer. Math. Soc.122: 317–319. doi:10.1090/S0002-9939-1994-1242084-4.
Mordell, Louis J. (1922). “On the rational solutions of the indeterminate equation of the third and fourth degrees”. Proc. Cambridge Philos. Soc.21: 179–192
Paršin, A. N. (1971). “Quelques conjectures de finitude en géométrie diophantienne”. Actes du Congrès International des Mathématiciens (Nice, 1970), Tome 1. Gauthier-Villars. pp. 467–471