ドン・ショランダー(英語: Donald ("Don") Arthur Schollander、1946年4月30日 - )は、アメリカ合衆国の男性競泳選手。夏季オリンピックで通算5個の金メダルを獲得している。
生い立ち
1946年、ノースカロライナ州シャーロットで生まれたショランダーは、フロリダで水泳を教えていたおじのニュートン・ペリーから競泳を学んだ[1]。少年時代に家族と共にオレゴン州のレイクオスウィーゴに移った[2]。ショランダーが最初に熱中したスポーツは、アメリカンフットボールであった。しかし、彼の学校のチームに加わるには背が低すぎた[3]。その代わりにレイクオスウィーゴ高校の水泳チームに入ったショランダーは、1960年に新人ながらチームをオレゴン州水泳選手権で1位に導くのを助けた[3][4]。
オリンピック出場
1962年、ショランダーはカリフォルニア州サンタクララに移り、ジョージ・ヘインズの下で練習を始めた[3]。2年後、18歳のショランダーはAAUの国内選手権で自由形3種目で優勝した[3]。これらにより2つの個人種目と2つのリレー種目でアメリカ代表となり、数ヶ月後に行われた1964年東京オリンピックで、4つの金メダル獲得と3つの世界記録更新という快挙を納めた[5]。これは1936年のベルリンオリンピックでジェシー・オーエンスが達成して以来となる、アメリカ人の1大会最多メダル獲得となった[3]。この功績により、最高のアマチュアスポーツ選手に贈られるジェームスサリバン賞や、APアスリート・オブ・ザ・イヤーにおいて、ジョニー・ユナイタスを大差で破って受賞した。また、ABCのワイド・ワールド・オブ・スポーツのアスリート・オブ・ザ・イヤーにも選ばれた。
大学進学と2度目のオリンピック
イェール大学に進学したショランダーは、スカル・アンド・ボーンズやデルタ・カッパ・イプシロンに参加した。この時の仲間の一人が後の第43代アメリカ合衆国大統領、ジョージ・W・ブッシュだった[6]。大学のチームではキャプテンを務め、全米大学体育協会選手権で3回1位に輝いている[3]。1968年のメキシコシティオリンピックで2度目の五輪出場を果たし、200m自由形リレーでは金メダルを獲得するも、200m自由形では銀メダルに終わった。しかし、それが自身のベストであったと考えているという[3]。オリンピック終了後、ショランダーは競泳から引退し活動の場をプールの外に移した。
引退後
ショランダーに成績に対する評価として、1965年に19歳で国際水泳殿堂入りしたほか[7]、1983年には米国オリンピック殿堂に殿堂入りしている。また、オレゴン州スポーツ殿堂にも入っている[8]。
1971年には、自分の水泳やチームメイト、コーチ陣について、また世界の水泳(特にオリンピック)における密室政治について記した「Deep Water」を上梓した。また、この続編として1974年には「Inside Swimming」を書いている。
ショランダーはレイクオスウィーゴに住み、不動産開発会社を経営している。ショランダーが獲得した金メダルは、レイクオスウィーゴのダウンタウンにあるバンク・オブ・アメリカの支店で公に展示されている[2]。
脚注
外部リンク
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- 1964:
クラーク, オースティン, イルマン, ショランダー (USA)
- 1968:
ゾーン, レリッチ, スピッツ, ウォルシュ (USA)
- 1972:
エドガー, マーフィー, ハイデンレイック, スピッツ (USA)
- 1984:
キャバノー, ヒース, ビオンディ, ゲインズ (USA)
- 1988:
ジェイコブス, ダルビー, イェーガー, ビオンディ (USA)
- 1992:
ハデポール, ビオンディ, イェーガー, オルセン (USA)
- 1996:
オルセン, デービス, シューマチャー, ホール.Jr (USA)
- 2000:
クリム, フィドラー, ケラス, ソープ (AUS)
- 2004:
スクーマン, ファーンス, タウンゼント, ニースリング (RSA)
- 2008:
フェルプス, ウェバー・ゲイル, ジョーンズ, レザック (USA)
- 2012:
ルボー, ジロ, レフェール, アニエル (FRA)
- 2016:
ドレッセル, フェルプス, ヘルド, エイドリアン (USA)
- 2020:
ドレッセル, ピエロ二, ベッカー, アップル (USA)
- 2024:
アレクシー, ジュリアーノ, アームストロング,ドレッセル (USA)
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- 1908:
ダービーシャー, ラドミロービック, フォスター, テイラー (GBR)
- 1912:
ヒーリー, チャンピオン, ボードマン, ハードウィック (ANZ)
- 1920:
マクギリブレー, ケアロハ, ロス, カハナモク (USA)
- 1924:
ワイズミュラー, オコナー, グランシー, ブレイヤー (USA)
- 1928:
ワイズミュラー, クラップ, ラウファー, コジャック (USA)
- 1932:
遊佐, 宮崎, 横山, 豊田 (JPN)
- 1936:
遊佐, 杉浦, 新井, 田口 (JPN)
- 1948:
リス, マクレーン, ウルフ, スミス (USA)
- 1952:
ムーア, ウールジー, コンノ, マクレーン (USA)
- 1956:
オハローラン, デビット, ローズ, ヘンリックス (AUS)
- 1960:
ハリソン, ブリック, トロイ, ファレル (USA)
- 1964:
ショランダー, クラーク, サアリ, イルマン (USA)
- 1968:
ショランダー, スピッツ, ネルソン, レリッチ (USA)
- 1972:
スピッツ, キンセラ, タイラー, ジェンター (USA)
- 1976:
ブルーナー, ファーニス, ネーバー, モンゴメリー (USA)
- 1980:
コプリアコフ, サルニコフ, ストゥコルキン, クリロフ (URS)
- 1984:
ヒース, ラーソン, フロート, ヘイズ (USA)
- 1988:
ダルビー, セットリンスキー, ゲルセン, ビオンディ (USA)
- 1992:
ラピコフ, プイチネンコ, タヤノビッチ, サドウィ (EUN)
- 1996:
デービス, ハデポール, シューマチャー, ベルーベ (USA)
- 2000:
ソープ, クリム, ピアソン, カービー (AUS)
- 2004:
フェルプス, ロクテ, バンダーカーイ, ケラー (USA)
- 2008:
フェルプス, ロクテ, ベレンズ, バンダーカーイ (USA)
- 2012:
ロクテ, ドワイヤー, ベレンズ, フェルプス (USA)
- 2016:
ドワイヤー, ハース, ロクテ, フェルプス (USA)
- 2020:
ディーン, ガイ, リチャーズ, スコット (GBR)
- 2024:
ガイ, ディーン, リチャーズ, スコット (GBR)
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