ディプロモセラス
ディプロモセラス(学名:Diplomoceras)は、後期白亜紀の海に生息していたディプロモセラス科に属する異常巻きアンモナイトの属。最大の異常巻きアンモナイトである殻の長さが1.5メートルに達する種もいたほか、白亜紀末の大量絶滅まで生き延びていた最後のアンモナイトでもある。 命名1900年[2]、Hyattが記載することなく、実質的にハミテス属の種 Hamites cylindraceus をジェノタイプ標本として扱ってディプロモセラス属を設立した[3]。 特徴平面螺旋を描いて螺環が密着している正常巻きのアンモナイトと異なり、ディプロモセラスの螺環は互いに離れ、真っ直ぐに伸びたシャフト部分とU字型のターン部分から殻全体が構築されている。この形状はゼムクリップにも喩えられる[4]。同様の特徴は同じディプロモセラス科に属するポリプチコセラスなどにも見られるが、ディプロモセラスには殻の長さが1.5メートルに達する巨大な種も確認されている。この大きさは2018年時点で発見されている全ての異常巻きアンモナイトの中で最大である[5]。とはいえ1メートル級の個体は稀であり、推定約30センチメートル程度と、ポリプチコセラスと同等の大きさの個体も産出している[1]。 螺環の表面には無数の肋が環形を描いて横方向に並んでいる。縫合線はポリプチコセラスのものに似るが、より複雑である[3]。 産地世界的に上部白亜系カンパニアン階とマーストリヒチアン階から産出しており[1]、南極大陸、アルメニア、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア[6]、チリ、デンマーク(グリーンランド含む)、日本、メキシコ、オランダ、ロシア、南アフリカ共和国、スペイン、チュニジア、ウクライナ、アメリカ合衆国から報告されている[2]。日本においては、北海道むかわ町(旧穂別町)では7200万 - 7000万年前にあたる前期マーストリヒチアン階からの産出が確かめられているほか[1]、北海道浦幌町ではK-Pg境界の直下(約6680万年前、マーストリヒチアン期末)から D.cylindraceum が産出している[7][8]。また先述の最大個体は茨城県ひたちなか市に分布する那珂湊層群平磯累層の最下層から産出しており、ディディモセラス・アワジエンゼ(Didymoceras awajiense)と共産していることから後期カンパニアン期のものと推測されている[5][9]。 種
その他の種Fossilworks[2]と日本古生物横断データベース[12]に基づく。
出典
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