ツール・ド・フランス2015
ツール・ド・フランス 2015 (仏: Tour De France 2015) は、ツール・ド・フランスの102回目のレース。オランダのユトレヒトからスタートし、パリにゴールする3,360kmのコースで2015年7月4日から7月26日まで行なわれた。 概要オランダでグランデパールを迎えるのは2010年以来5年ぶり6回目[1]。個人タイムトライアルが第1ステージの1回のみの設定、チームタイムトライアルが1週目最終日と遅めとなっている。 第1週はユトレヒトから北海・英仏海峡沿岸を西に進みブルターニュ地方へ。最初の休息日で一気にピレネーに移動し、第2週初日からピレネー3連戦をこなした後すぐに中央山塊に入り、週終わりでアルプスの麓に到達。そして第3週は最終日前日のラルプ・デュエズまでアルプスでの山岳ステージが続き、最終日にパリへと移動。最終ステージのシャンゼリゼ周回に入る前のパリ市内の通過地点は例年と異なり、ロンシャン競馬場脇、エッフェル塔前、ブルボン宮殿前を通過する[2]。 第1週は9ステージだが、休息日を挟んだ第2週は7ステージ、休息日明け第3週は5ステージと少し変則的になっている。なお、7月20日月曜日にもレースが行われる(例年は7月第3月曜日は休息日だった)。 ポイント賞の得点が一部変更されたほか、ステージ上位(3位まで)に与えられるボーナスタイム制度が復活。第2~4ステージではボーナスタイムの影響によるマイヨ・ジョーヌ着用者の変遷が見られた。 出場チーム●はプロフェッショナルコンチネンタルチーム、その他はUCIワールドチーム
レース概要第1ステージは同年のツアー・ダウンアンダー覇者であるローハン・デニスがトニー・マルティンやファビアン・カンチェラーラ、地元オランダ期待のトム・デュムランらを下し優勝。総合勢はヴィンチェンツォ・ニバリが好スタートを切ることに成功し、ナイロ・キンタナは僅かながら出遅れてしまう。 続く第2ステージ、海岸から来る横風を利用したティンコフ=サクソが集団分断を仕掛ける。ダブルツール達成を目指すアルベルト・コンタドールや、2年ぶりのツール制覇に向けて調整をしてきたクリス・フルームは難を逃れた一方、キンタナとニバリ、アレハンドロ・バルベルデ、ジャン=クリストフ・ペローなどが集団分断の餌食となってしまう。キンタナは結果としてこの日の遅れが致命的となった。また、マイヨ・ジョーヌのデニスも遅れたため、アンドレ・グライペルとペーター・サガンに続きステージ3位に食い込んだカンチェラーラがマイヨ・ジョーヌを獲得。 フレッシュ・ワロンヌでお馴染みのユイの壁が登場した第3ステージ。ホアキン・ロドリゲスが抜群の加速を見せ5年ぶりのツール区間優勝を果たし、ステージ2位となったフルームが早くもマイヨを獲得。しかし、レース中盤に大落車が発生しており、カンチェラーラも巻き込まれていた。ニュートラルが敷かれる事態にまで陥り、カンチェラーラはこのステージ完走後にツールを去った。 第4ステージは石畳が登場。昨年この石畳で大幅に遅れをとったコンタドールは自転車を乗り換える。幸い大きな落車は起こらず、総合勢も同タイムでフィニッシュ。ステージは初日からずっとマイヨに手が届かなかったマルティンがロングスパートをしかけ独走勝利。念願のマイヨをついに手中に収める。続く第5ステージではアレクサンダー・クリストフとマーク・カヴェンディッシュを抑えグライペルが2勝目を挙げる。 上りフィニッシュが設定された第6ステージ、最終盤でマイヨのマルティンやニバリ、キンタナらが落車。ニバリとキンタナは軽傷で済んだが、マルティンは肩を痛め、チームメートに押されながらフィニッシュ。検査の結果、鎖骨粉砕開放骨折と判明。同時にリタイアも表明した。 マルティン離脱の波乱から一夜開けた第7ステージ、繰上げで総合トップとなったフルームはマルティンに敬意を表しマイヨを着用しなかった。ステージはカヴェンディッシュがマルティンに捧げる26回目のステージ優勝を飾った。 2011年、カデル・エヴァンスが制したミュール・ド・ブルターニュの頂上フィニッシュでは元MTB選手の本領を発揮したアレクシー・ヴュイエルモーズがステージ優勝。フルームは難なくフィニッシュしたが、ニバリはタイムを失ってしまう。ニバリはのちに「空白の一日だった」と語っている。翌日のTTTでは世界王者のBMC・レーシングチームがスカイを1秒差で下し区間優勝。 今大会最初の超級山岳山頂フィニッシュが登場した第10ステージでは、フルームが圧勝。僅か6.5kmでステージ2位のリッチー・ポートに1分近い差をつけ、ニバリに至っては7分以上のタイムを失ってしまった。第11ステージは昨年の山岳王ラファル・マイカが独走勝利。第12ステージではロドリゲスがヤコブ・フルサングを引き離し区間2勝目をあげ、フルーム率いるスカイはライバルたちの攻撃を完封する。 激坂・マンドへのフィニッシュが設定された第13ステージではフレフ・ヴァン・アーヴェルマートがサガンを下し初の区間優勝を飾る。翌日はスティーヴ・カミングスが先行するティボー・ピノとロマン・バルデを一気に追い抜き優勝。南アフリカ国籍のMTN・クベカにとっては、記念すべきネルソン・マンデラ・デー[3]で初の区間優勝を獲得した。第15ステージではグライペルが3勝目を挙げる。 第16ステージではベテラン、ルーベン・プラサが独走で優勝。サガンは今大会5度目のステージ2位となる。翌日は「髭のゲシュケ」ことシモン・ゲシュケが本人も予想外だったというステージ優勝を獲得。超級山岳グランドン峠がコースに組み込まれた第18ステージは、グランドン峠でアタックしたバルデが勝利。続く第19ステージでは、フルームがメカトラブルで止まった際にアタックしたニバリが復活のステージ優勝をあげるも、フルームからは「彼はきっとブエルタでバチが当たる」とまで批判された。 最終決戦となる第20ステージはクロワ・ド・フェール峠とラルプ・デュエズを上る過酷なコース。逆転総合優勝を目指すキンタナはクロワ・ド・フェール峠で仕掛けるが下りでフルームに追いつかれてしまう。しかし、ラルプ・デュエズでフルームは明らかに不調である[4]ことが発覚する。モビスターはまずバルベルデにアタックさせ様子を窺う。しかし、スカイは総合3位バルベルデのアタックを追わなかった。続いてキンタナもアタック。一瞬ワウト・プルスが追走しようとしたが、フルームはついてこれない。ここでフルームは大ピンチに晒される。快調なリズムで進むキンタナに対し、フルームはどんどん失速。完全にポートが作るリズム頼りとなり、キンタナの逆転総合優勝の可能性も見えた。が、フルームはここで粘り、バルベルデと同タイムでフィニッシュ。キンタナからの遅れも1分ほどに抑え、総合優勝と同時に山岳賞獲得も確定した。ステージはキンタナの猛烈な追走から唯一逃げ切ったピノが獲得。 最終・第21ステージはグライペルが4勝目を挙げる。そして、フルームの総合優勝で2015年ツールは幕を閉じた。 大会日程
各賞の変遷
最終成績個人総合成績
ポイント賞
山岳賞
新人賞
チーム時間賞
参考文献
脚注外部リンク |