ツルボ
ツルボ (蔓穂、綿棗児[2]、学名:Barnardia japonica) はキジカクシ科の草本。地下に球根があり、秋の初めにピンク色の花を密生した細長い穂を出す。 特徴球根のある多年生の草本[3]。球根(鱗茎)は卵球形で長さ2-3cmほど、表面に薄くて黒い外皮がある。基部には短縮したく気があって、多数の細い根が出る。葉は根出状に出て長さ10-25cm、幅は4-6mm、線形で厚く軟らかい葉質で、表面は浅くくぼむ。 花期は8-9月で、葉の間から細長い花茎を伸ばし、総状花序をその先端につける。花茎の高さは20-40cm、分枝せず、途中に葉はなく、また花序の基部に総苞はない。花序は細長い円筒形で下から開花して行き、長さ3-10cm、幅1.5-2cm。花は密集して並び、長さ3-6mmの花柄がある。花被片は6個あり、長楕円状倒披針形で長さ4mm、先端は尖り、淡紅紫色をなし、平らに開く。雄蘂は6本あり、花糸は紫で先端が細まる。子房には短い毛が3つの縦列になっている[4]。 果皮は花後も残る。果実は室果で、倒卵状球形で長さ5-6mm、縦に3つに裂ける。種子は各室に1個ずつ。種子は広披針形で黒く、長さ4mm。
別名にスルボがあるが、ツルボ、スルボは共に意味が不明である。サンダイガサの異名もあり、これは参内傘の意味で、花穂の形状が公家が参内する時に、供人が差し掛ける長柄傘を畳んだ形に似ていることによる[5]。 生活史葉は1年に2回出る。まず、春に5-10枚の春葉が出て、これは夏に枯れる。その後初秋に2-3枚の葉が出る。この秋の葉の向かい合った間から花穂が出て、開花する[6]。 分布と生育環境北海道南西部から九州までと琉球列島に広く分布し、国外では朝鮮、中国本土と台湾、それにウスリーに分布する[7]。 林縁や堤防、草地等、日当たりの良いところに多く、往々に群生を作る[8]。 分類ツルボ属には90-100種があり、大部分が中央アジアから西、西アジア、ヨーロッパ、それにアフリカに分布する。鑑賞価値の高いものも多く、球根性の花物として用いられるものも多く、それらは往々にシラーの名で呼ばれる。本属で日本にあるのは本種1種のみ。同時に本種は本属の中で東アジアに分布する唯一の種である。細胞学的には多型で、2倍体から5倍体までを含む[6]。地方による変異も見られる[4]。 種内変異として、オニツルボ var. major Ueki et Tokui がある。大型になり、葉幅が10-20mmにも達するものである。本州、四国、九州の海岸などに産する[7]。白化品をシロバナツルボ f. albiflora と言う[8]が、佐竹他などは特に取り上げてはいない。 利害利益となる例はない。球根には毒成分が含まれる[8]。 出典
参考文献
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