セガAIコンピュータ
セガAIコンピュータは、1986年に日本で発売された幼児・児童向けの家庭用知育コンピューターである。当時のいわゆるホビーコンピューターと異なり、3 - 8歳児を対象としたコンピュータ支援教育(CAI)用途に特化している[1]。人工知能言語とも呼ばれたPrologを内蔵し、「人工知能(AI)搭載」をセールスポイントとした。 概要1986年、丸紅からソフトウェア知育教材「くもん わんだぁすくーる」とセットで販売された。設計開発はセガ・エンタープライゼス(後のセガ)とCSK総合研究所とで行われ、約10億円の開発費を要したとされる[2]。教材は公文教育研究会が監修した[3]。 当初の一括販売価格は168,990円で、内訳は教材(全18巻)81,490円、本体が87,500円である。この本体価格は当時のパーソナルコンピューターとしてはローエンドの価格帯とされる[1]。 当時のセガで技術開発部門を担当していた佐藤秀樹(元セガ代表取締役社長)の述懐によれば、セガAIコンピュータのプロジェクトは結果として「大失敗」だった。しかしその経験が後のヒット商品であるキッズコンピュータ・ピコに生かされたという[4]。 ハードウェア
仕様仕様を以下に示す(米国Electronics誌の記事[1]および販売パンフレットより)。
ソフトウェア基本ソフトウェアとして「SEGA PROLOG」インタープリターを搭載する(「セガ プロログ」とも表記される)。アプリケーションは「コースウェア」と呼ばれ、幼児教育のみでなくホームコンピューターとしての様々な発展がコンセプトとしては存在していた。[3] SEGA PROLOG基本ソフトウェアとして、CSK総合研究所が開発したPrologインタープリター。128KBの内蔵ROMに納めるため、基本的な40のコマンドに限定された仕様となっている。[5] Prologは1970年代に考案された非手続き型の論理プログラミング言語で、当時コンピューターによる推論機能(人工知能)の実現に有効とみなされていた。1982年に立ち上がった国家プロジェクト「第五世代コンピュータ計画」における開発にも、Prologの派生言語(Prologにオブジェクト指向を取り入れたESPと呼ばれた言語)が用いられた。 セガAIコンピュータは、第五世代コンピュータ計画との直接の関連はないが、当時の報道によれば Prolog(のサブセット)の採用により人工知能の特色的な機能が実現され、児童の学習理解度の把握、入力した文章などの不確かな部分を推測するなど、柔軟な対応が可能であるとされた[6]。販売パンフレットにおいては、機械教育を人工知能で補完する「知的CAI」で「家庭学習(個々のペースによる学習)」「能力別学習(能力に応じた課題の提供)」「対話型学習(自然言語によるインターフェース)」が可能になったと説明されている。 コースウェア教材アプリケーションは「コースウェア」と呼ばれ、ICカードで供給される。パンフレットによれば、コンセプトとしては幼児から高校生までの教育支援、健康管理プログラム、ワープロなど、ホームユースのアプリケーションが想定されていたが 、実際に供給されたコースウェアは幼児向け知育プログラム「わんだぁすくーる」シリーズのみであった。以下は販売開始当初のパンフレットに記載された「くもん わんだぁすくーる(全18巻)」のタイトル一覧である[3]。実際に供給された内容とは異なる場合がある。
周辺機器
脚注
関連項目
外部リンク
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