他のニューマンの初期のアルバム同様、いくつかの収録曲は他のアーティストによってレコーディング済みのものが含まれている。本作の場合「Simon Smith And The Amazing Dancing Bear」はアラン・プライスの1967年の英国におけるヒットとなっており、またハリー・ニルソンが1969年のアルバム『Harry(邦題:ハリー・ニルソンの肖像)』で取り上げている。「Dayton, Ohio - 1903」は1969年にビリー・J・クレイマーがシングルとしてリリースしており、また1970年のアルバム『Nilsson Sings Newman』でニューマンとニルソンはこの曲を一緒にレコーディングしている。ニューマン自身、「Last Night I Had A Dream」をこれ以前にレコーディングしており、1968年9月にシングルとしてリリースしている。『Sail Away』収録のバージョンは再録音であり、異なるアレンジが施されている。
「He Gives Us All His Love」は、元々は1971年の映画『Cold Turkey(邦題:タバコのなくなる日)』のためにニューマンによって書かれレコーディングされたものであった。そのバージョンはより簡素でゆったりとしたテンポで演奏されている。この映画のサウンドトラック盤は制作されなかった。
「You Can Leave Your Hat On」は1986年になってジョー・コッカーがカバーし、彼のバージョンはキム・ベイシンガー出演の映画『9½ Weeks(邦題:ナインハーフ)』のサウンドトラックでフィーチャーされた。トム・ジョーンズのバージョンは1997年の映画『The Full Monty(フル・モンティ)』のサウンドトラックに収録されている。
「Lonely At The Top」は特にフランク・シナトラを念頭に書かれた曲だったが、彼がレコーディングすることはなかった[2]。ニューマン自身は、この前作『Randy Newman Live』(1971年)でソロのライヴ・パフォーマンスをリリースしている。
ブライアン・ウィルソンは、リリース時に本作が彼に大きな影響を与え、更なるうつや精神疾患の症状に陥るのを一時的に防いでくれたと語っている[7]。具体的にウィルソンは、ビーチ・ボーイズの「Mount Vernon and Fairway」EPの歌詞を書いているとき、「Sail Away」を繰り返し聴いていたとしている[8]。2021年、ウィルソンはスピン誌において自身の『ないと生きていけない5枚のアルバム』の3位に『Sail Away』を挙げている[9]。
「Burn On」は、1989年の映画『Major League(メジャーリーグ)』の冒頭のクレジット部分で流れている。監督のデヴィッド・S・ウォードによると、彼がこの曲を選んだ理由は、映画の舞台となったオハイオ州クリーブランドについて歌った楽曲はこれしか知らなかったからだという。この楽曲のコーラスの部分「burn on, big river, burn on(大河よ燃え続けろ)」は、1969年にカヤホガ川が環境汚染によって火事に遭ったことを歌ったものである。
^Fulford-Jones, Will (2006). “Randy Newman: Sail Away”. In Dimery, Robert. 1001 Albums You Must Hear Before You Die. Universe Publishing. p. 255. ISBN978-0-7893-1371-3