スピッティング・イメージ
『スピッティング・イメージ』(Spitting Image)は、Peter Fluck、Roger Law、Martin Lambie-Nairnらによって制作されたイギリスの風刺人形劇である。このシリーズはSpitting Image ProductionsによってCentral Independent Television向けに制作され、18エピソードがITV(Channel 3)ネットワークで放映された。シリーズは数多くの賞に入選・入賞しており、英国テレビアカデミー賞を10回、ポピュラーアート・エミー賞を2回(1985,1986年)受賞している[1]。 シリーズでは、人形劇を用いて1980年代から1990年代のセレブを風刺しており、英国マーガレット・サッチャー首相やジョン・メージャー首相などの政治家、米国ロナルド・レーガン大統領、イギリス王室一家などの人形が登場する。 なお、スピッティング・イメージ(spitting image)とは「生き写し」[2]「瓜二つ」[3][4]という意味である。 反応初回エピソード放送時には、東ミッドランドテレビ局を開局したエディンバラ候に配慮して、英国王室にまつわるパロディはカットされていた。しかし再放送時にはこれらは復活している[5]。 初回エピソードの視聴者は790万人であったが、経営的な理由により、後に急に低下していった。それは製作費が260万ポンドと、他のプライムタイム番組のほぼ倍であったためである。 シリーズは当初13エピソードで計画されていたが、後に12エピソードまでにカットされた[5]。 番組から誕生した楽曲「The Chicken Song」は1986年に全英シングルチャートの1位を獲得した。 放送日時全てのエピソードとスペシャルは日曜日に放送され、たいてい午後10時であった。また海外でも放映され、カナダではCBCテレビにて日曜の夜(1980年代末)、米国NBCネットワークでは数度プライムタイムに特集が組まれた。 シリーズ
スペシャル
登場人物政治家![]() サッチャー政権期のイギリスの政治家が多々登場する。最も目立つのはマーガレット・サッチャー自身であり、スーツを着用し、小便器で用を足し、葉巻カッターを用いる男装家の暴君として描かれていた。 第1シーズンでは、サッチャーはおっとりした隣人のジェレミー・フォン・ウィルコックス氏から、労働組合や失業問題について助言を求めていた(彼はおそらく若き日のアドルフ・ヒトラーである)。ウィルコックス氏はソ連と労働組合とを比較し、冬には攻撃を行わないよう助言する。彼は、失業問題については彼らを軍隊に入隊させるべきであるとし、またSSとは「男の大きな結束」であることをサッチャーに教える。 サッチャー政権の閣僚は以下が登場する。
サッチャー政権の後継者ジョン・メージャーは、妻ノーマとエンドウ豆の食事を楽しむ退屈な灰色のキャラクターであり、よく首相官邸ネズミ捕獲長の猫のハンフリーに嘲笑される存在として描かれる。彼はサッチャーの辞任前は、頭上に回転アンテナが付いたロボットとして描かれていた。 野党労働党の政治家は以下が登場する。
前首相のハロルド・ウィルソン、ジェームズ・キャラハン、ハロルド・マクミラン、アレック・ダグラス=ヒュームらは、「Exchequers」という非常に制限を受けた老人ホームで生活している。キャラハンはウィルソンを苦しめるのが楽しみで、ウィルソンは何度も脱出を試みる。 労働党党首を務めたアーサー・スカーギルは国家鉱山労働組合の代表として登場し、鉱山について無知な、大きな鼻のエゴイストとして描かれる。 1994年になるとトニー・ブレアの人形が登場し、初期は灰色のショートパンツ、ブレザー、帽子を身に着けた公立校のスクールボーイであり、労働党を"I'M THE LEADER" というキャッチフレーズで率いる人物として描かれていた。党首になってからは人形が変更され、重要な発言をした後、笑顔でニヤリと笑う人物として描かれるようになった。副党首のジョン・プレスコットは、でぶで失敗の多いアシスタントであり、巨大なジャック・ストローを眼鏡を掛け、きしんだ声のロビン・クックとともに描かれる。 王室
外国の政治家![]() 米国大統領ロナルド・レーガンは、愚か者として描かれ、核兵器に取りつかれており、顧問であるエドウィン・ミースとキャスパー・ワインバーガーと比較して頼りない。ベッドサイドには「Nuke(核爆弾)」「Nurse(看護婦)」と書かれたボタンが2つあり、よく押し間違える。 ソ連指導者のミハイル・ゴルバチョフは、額に鎌と槌のあざがある。取り巻きはプレジネフに似て描かれ、多くは「da(はい)」と答えるか、またはジャガイモについて話し合っている。ソ連の場面は屋内でも雪が降り、テレビは極めて映りが悪く描かれている。 フランスのフランソワ・ミッテランは、ベレー帽にニンニクの花輪を付けて描かれている。南アフリカのピーター・ウィレム・ボータは、巧みにレイシストの意見を表明し、反反アパルトヘイトのバッジを身に着けている。ドイツのアドルフ・ヒトラーはダウニング街9番に隠れ家があった。 ほか、ウガンダのイディ・アミン、ジンバブエのロバート・ムガベ、フィリピンのフェルディナンド・マルコス夫妻、イランのルーホッラー・ホメイニー、イラクのサッダーム・フセインが登場する。 また、米国のリチャード・ニクソン、ヘンリー・キッシンジャー、ジョージ・H・W・ブッシュ、ダン・クエール、ソ連のコンスタンティン・チェルネンコ、ライサ・ゴルバチョワ、ボリス・エリツィンも登場する。 スポーツ選手![]() イングランドサッカー監督ボビー・ロブソンは、愛称Rubbishoとして心配性の老人として描かれている。 選手のポール・ガスコインも出演し、1990 FIFAワールドカップにおける西ドイツとの準決勝対戦のシーンをパロディして、よく絶叫している。 クリケット選手イアン・ボサムは暴力的な薬物依存者、マイク・ガッティングは高音で話す人物として描かれる。レスター・ピゴットは字幕付きで放送される。ボクシング選手フランク・ブルーノは彼のトレードである笑いと台詞"where's 'Arry?"と共に描かれ、クリス・ユーバンクは舌足らずな人物とされる。スヌーカー選手スティーブ・デイビスは特にニックネームがなかったが、彼自身が面白い人物であった。 セレブ
日本での展開1980年代に「スピッティング・イメージ 渡る世間にツバぺっぺっ!」というタイトルでビデオソフト・レーザーディスクソフトが2巻リリースされた。1巻目は二ヵ国語収録で、景山民夫監修のもと、シティボーイズやワハハ本舗のメンバーなどが日本語の吹き替えを担当したが、2巻目は日本語字幕のみのリリースだった。そして1994年にはテレビ番組「ラスタとんねるず'94」の1コーナーとして、本番組を日本流にアレンジした「SPITTING IMAGE JAPAN」が放送された。 脚注
外部リンク
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