スター・イット・アップ
「スター・イット・アップ」(Stir It Up)は、ボブ・マーリーが作詞作曲した楽曲。1967年にボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズがシングルとして発表[3]。ジョニー・ナッシュのカバー・バージョン(1972年、全米12位)や、ザ・ウェイラーズのファースト・アルバムに収録されたバージョン(1973年)で知られる。 概要1971年、テキサス州出身のジョニー・ナッシュはスウェーデンの恋愛映画『Vill så gärna tro』に主演することとなった。ボブ・マーリーは映画のサウンドトラックをナッシュと作るため、同国にわたった[4]。映画は同年9月に公開され、ザ・ウェイラーズはナッシュとともに11月から12月までイギリスでツアーを行った[4][5]。ところがツアーが終わるとメンバーたちの所持金は底をつき、彼らはジャマイカに帰国することができなくなった。おまけに労働許可が下りなかったため、働いて金を稼ぐことすらできない事態に陥った[6]。グループはロンドンのロード・マネージャーのブレント・クラークを通じて、アイランド・レコードのクリス・ブラックウェルに頼み込んだ。ブラックウェルはアルバム制作費用として前金(4000ポンド、または8000ポンドと言われている)を渡し、ザ・ウェイラーズはその金で本国に戻った[7][8]。 1972年、ナッシュは、ザ・ウェイラーズが1967年にシングルとして出した「スター・イット・アップ」を録音。同年5月、エピック・レコードからシングルA面として発表した。 同時期の1972年5月から10月にかけて、ザ・ウェイラーズはキングストンの複数のスタジオでアルバムのためのレコーディングを行った。そのなかに「スター・イット・アップ」も含まれていた。同年冬、マーリーはロンドンにわたり、マスターテープをブラックウェルに渡した。ブラックウェルはスタジオ・ミュージシャンによるオーバーダビングを施し、リミックスを行った。「スター・イット・アップ」では、ジョン・バンドリックのシンセサイザーと、ワウペダルを効かせたウェイン・パーキンズのギターが付け加えられた。 1973年4月13日、ザ・ウェイラーズ名義のアルバム『キャッチ・ア・ファイア』が発売される。なおジッポーライターを模したオリジナルのジャケットは、のちにマーリーの大写しの写真のジャケットに差し替えられ、その際に名義も「ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ」に変わった。 ナッシュのカバー・バージョンは発売後しばらくしてからチャートインし、1973年4月21日付のビルボード・Hot 100で12位を記録[9]。ビルボードのイージーリスニングチャートで6位を記録した。イギリス、カナダ、アイルランドなどでもヒットした。 2001年3月21日、『キャッチ・ア・ファイア』のデラックス・エディションが発売。オーバーダビング前のオリジナル・ジャマイカ・バージョンが全曲収録された[10]。 脚注
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