スタンフォード・トーラススタンフォード・トーラス(Stanford torus)は、1万人から14万人が居住することができる[1]スペースコロニーの設計である[2]。 スタンフォード・トーラスは、1975年にスタンフォード大学で行われたアメリカ航空宇宙局の夏期セミナーで提案された[3]。(ジェラード・K・オニールは、後にトーラスに代わるものとして、島1号を提案した[4]。)「スタンフォード・トーラス」とは、この特定の設計のみを指すが、環状で回転するスペースコロニーのコンセプトは、これより前にヴェルナー・フォン・ブラウン[5]やヘルマン・ポトチェニク[6]によって提案されていた。 スタンフォード・トーラスは、直径1.8kmのドーナツ状のトーラスから構成され、1分間に1回転することで、遠心力により外側のトーラスの内部に0.9Gから1.0Gの人工重力を作り出している[7]。 日光は、鏡のシステムによってトーラス内部に取り入れられる。トーラスは、住民や物資の通路となる多数のスポークによってハブに繋がれる。ハブはステーションの自転軸上にあるため、人工重力が最も小さく、宇宙船のドッキングに最も容易な箇所である。ハブの軸に取り付けられたモジュールでは、無重力による製品製造が可能である[8]。 トーラスの内部空間は居住用に使われ、「自然な」環境を模倣するのに十分な広さを持つ。トーラスは、長く、狭く、真っ直ぐな氷河谷のように見え、その端は上方にカーブしている。人口密度は混雑する都市程度で、トーラスの一部は農地や住宅に用いられる[8]。 製造トーラスには、1000万トン近くの質量が必要になる。製造には月の鉱物が使われ、マスドライバーによって輸送される。L2ラグランジュ点で物質が集められ、L5に輸送されてトーラスが組み立てられる。月で採集できない物質だけが、地球から輸送される。代替として小惑星採鉱で素材を得ることも考えられる[9]。 性質
ギャラリー
フィクションジョン・ヴァーリイのGaea三部作は、土星周回軌道上のスタンフォード・トーラスを描いた作品である。ラリー・ニーヴンの『リングワールド』や、アーサー・C・クラークが原作を書き、スタンリー・キューブリックが1968年に製作した映画『2001年宇宙の旅』にも描かれた地球を周回するスペースステーションV等、SF小説には他にも多くの環状のスペースコロニーが登場する。 コンピュータゲームのStartopiaは、スタンフォード・トーラス内をリアルタイムでシミュレーションしたゲームである。 機動戦士ガンダムUC:スタンフォード・トーラスをモデルとしたスペースコロニーが地球連邦政府の首相官邸「ラプラス」として登場し、内部で宇宙世紀への改元セレモニーが行われていたが、「ラプラス事件」により爆破され崩壊する。 関連項目出典
関連項目 |
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