ジェニー・ハニヴァージェニー・ハニヴァーまたはジェニー・ハニバー(英:Jenny Haniver)は、「海で捕獲された未確認生物の死体」としてヨーロッパの船乗りと収集家との間で売買されていた、海洋生物の乾燥標本である。未知の怪物、あるいは小型の宇宙人を連想させるような姿をしているが、その正体はエイの干物に保存処理等の加工を施したものである[1][2][3]。 名称の由来一説として、元はフランス語のジュン・ダンヴァ(jeune d'Anvers、アントワープの若者、の意)というフレーズが、イギリスの船員達のコックニー訛りによって「ジェニー・ハニヴァー」という人名のように呼ばれるようになったと言われる[4][5]。 歴史船員達はアントワープの船渠で、漁獲されたガンギエイやサカタザメ等[1]のエイを加工してこれらの「未確認生物」を作り出してきた。翼や尾を備えた悪魔や小型のドラゴン、あるいは天使などに見えるように切り込みを入れ、さらにそれを乾燥させ干物とすることで正体を判別し辛くさせ、ニスを塗って標本に仕立て上げた。船員らは完成した「未確認生物の標本」を旅行者らに売ることで家計の補助としていた[4]。これらの標本は、伝説上の怪物であるバジリスクやシーモンクの正体であるとも称されていた[2][3]。 ジェニー・ハニヴァーについて最も早く解説した書物のひとつに、スイスの博物学者コンラート・ゲスナーの『動物誌』第4巻(1558年)が挙げられる。ゲスナーはその中で、「これらは単にエイを偽装したものに過ぎず、誤解されているような竜や怪物のミニチュアではない」と指摘している[5][6]。 現在ではこの標本は博物学上の研究対象とされるようになり、ロンドン自然史博物館には、高さ54cm・幅29cmのジェニー・ハニヴァーが収蔵されている[2]。その他、水族館での展示に供される場合もある[7]。その印象については人によって「怖い」「かわいい」と様々であり[8]、奇怪な外見からキーホルダーなどのグッズも作られている[9]。 作成方法例過去の作例を参考に、現代の道具・技術でジェニー・ハニヴァーの再現を試みた例では、次のような作成手順を用いている[1]。
日本での類例ジェニー・ハニヴァーは欧米の文化であるが、ニホンザルと魚を縫合した乾燥標本を人魚のミイラと偽るなどの作例は日本にも存在した[2][10]。「人魚のミイラ」は、静岡県富士宮市の天照教本社などに所蔵例がある[11][12]。 エイの干物が不気味な見た目になることについては、SNS上で話題になったり[8]、エイを干して干物を作るスマートフォンのアプリが登場したりしている[13]。 ギャラリー
出典
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