3頂点が(1,7), (7,5), (3,1) である三角形とシュタイナーの内接楕円。マーデンの定理 (英語版 ) により、
D
x
(
1
+
7
i
−
x
)
(
7
+
5
i
−
x
)
(
3
+
i
−
x
)
=
−
3
(
3
+
5
i
−
x
)
(
13
3
+
11
3
i
−
x
)
{\displaystyle {\begin{aligned}&D_{x}(1+7i-x)(7+5i-x)(3+i-x)\\&=-3(3+5i-x)\left({\tfrac {13}{3}}+{\tfrac {11}{3}}i-x\right)\end{aligned}}}
であるから、焦点 の座標は (3,5) と (13/3,11/3) になる。
任意の三角形 △ABC
シュタイナーの内接楕円
シュタイナーの(外接)楕円
長軸および短軸
幾何学 における三角形 のシュタイナーの内接楕円 (シュタイナーのないせつだえん)は、三角形の3辺の中点でその三角形に接する楕円 である[ 1] 。中点楕円 、ガウス楕円 とも呼ばれる。この楕円はデリー[ 2] によってヤコブ・シュタイナー に属するものとされ、カルマンにより独立に証明されている[ 3]
。
シュタイナーの名前を冠するシュタイナー楕円 は、この楕円との対比から「シュタイナーの外接楕円」と呼ばれることもある[ 4] 。
以下の解説で特に説明がない場合、a, b, c は三角形の3辺の長さを表す。
三角形上の座標による表記
シュタイナーの内接楕円の座標は三線座標によって以下のように表される[ 1] 。
a
2
x
2
+
b
2
y
2
+
c
2
z
2
−
2
a
b
x
y
−
2
b
c
y
z
−
2
c
a
z
x
=
0
{\displaystyle a^{2}x^{2}+b^{2}y^{2}+c^{2}z^{2}-2abxy-2bcyz-2cazx=0}
重心座標 では以下のようになる。
x
2
+
y
2
+
z
2
−
2
x
y
−
2
y
z
−
2
z
x
=
0
{\displaystyle x^{2}+y^{2}+z^{2}-2xy-2yz-2zx=0}
性質
シュタイナーの内接楕円の中心は、元の三角形の重心 である[ 1] [ 5] 。重心を中心とする唯一の内接楕円である[ 5] :p.142 。
シュタイナーの内接楕円の面積 は、内接楕円の中で最も大きい。その面積は元の三角形の面積の
π
3
3
{\displaystyle {\frac {\pi }{3{\sqrt {3}}}}}
倍である[ 5] :p.146 [ 6] :Corollary 4.2 。
シュタイナー楕円とは重心を共有するとともに相似 の関係にあり、相似比は 1:2 であるとともに、両楕円の長軸および短軸はそれぞれ同一直線上に在る。したがって両楕円の焦点もまた同一直線上に在り、離心率 は等しく、面積比は 1:4 である。
三角形に内接する二次曲線 のうち、2辺以上の中点に接するのはシュタイナーの内接楕円のみである[ 5] 。
シュタイナーの内接楕円は中点三角形 のシュタイナー楕円である。
シュタイナーの内接楕円の長軸と短軸の長さは以下の式で表される[ 1] 。
1
6
a
2
+
b
2
+
c
2
±
2
Z
,
{\displaystyle {\frac {1}{6}}{\sqrt {a^{2}+b^{2}+c^{2}\pm 2Z}},}
焦点間の長さは以下になる。
1
3
Z
{\displaystyle {\frac {1}{3}}{\sqrt {Z}}}
ただし Z は以下の式で与えられる。
Z
=
a
4
+
b
4
+
c
4
−
a
2
b
2
−
b
2
c
2
−
c
2
a
2
.
{\displaystyle Z={\sqrt {a^{4}+b^{4}+c^{4}-a^{2}b^{2}-b^{2}c^{2}-c^{2}a^{2}}}.}
複素数平面 において、三角形の3つの頂点の座標を零点 にもつような3次式を考えたとき、シュタイナーの内接楕円の焦点の座標はその3次式の導関数 の零点となる(マーデンの定理 (英語版 ) 、冒頭の図も参照。)[ 3] 。
長軸は、3頂点からの距離が最も短くなる直線上にある[ 6] :Corollary 2.4 。
G , F + , F − を三角形の重心と2つのフェルマー点 とする。シュタイナーの内接楕円の長軸は∠F + GF − の2等分線上にある。また、2つの軸の長さは |GF − | ± |GF + | という式で表される[ 7] :Thm. 1 。
シュタイナー内接楕円の2つの軸はキーペルト放物線 に接する。
シュタイナー内接楕円の2つの焦点は17点3次曲線 上にある[ 8] 。
クラーク・キンバリング の「BICENTRIC PAIRS OF POINTS」ではP(118),U(118)として登録されており、重心座標は以下の式で表される[ 9] 。すなわち、
V
=
2
a
2
b
2
c
2
Z
3
,
W
=
b
6
c
6
+
c
6
a
6
+
a
6
b
6
−
3
a
4
b
4
c
4
−
(
b
4
c
4
+
c
4
a
4
+
a
4
b
4
)
Z
2
,
{\displaystyle V=2a^{2}b^{2}c^{2}Z^{3},W=b^{6}c^{6}+c^{6}a^{6}+a^{6}b^{6}-3a^{4}b^{4}c^{4}-(b^{4}c^{4}+c^{4}a^{4}+a^{4}b^{4})Z^{2},}
f
(
a
,
b
,
c
)
=
(
b
2
−
c
2
)
(
a
4
−
b
4
c
4
−
a
2
Z
)
+
V
−
W
{\displaystyle f(a,b,c)=(b^{2}-c^{2})(a^{4}-b^{4}c^{4}-a^{2}Z)+{\sqrt {V-W}}}
として
f
(
a
,
b
,
c
)
:
f
(
b
,
c
,
a
)
:
f
(
c
,
a
,
b
)
,
f
(
a
,
c
,
b
)
:
f
(
b
,
a
,
c
)
:
f
(
c
,
b
,
a
)
{\displaystyle f(a,b,c):f(b,c,a):f(c,a,b)\;,\;f(a,c,b):f(b,a,c):f(c,b,a)}
三角形ABCに内接する楕円の焦点を P , Q とすると以下の式が成り立つ[ 10] 。
P
A
¯
⋅
Q
A
¯
C
A
¯
⋅
A
B
¯
+
P
B
¯
⋅
Q
B
¯
A
B
¯
⋅
B
C
¯
+
P
C
¯
⋅
Q
C
¯
B
C
¯
⋅
C
A
¯
=
1.
{\displaystyle {\frac {{\overline {PA}}\cdot {\overline {QA}}}{{\overline {CA}}\cdot {\overline {AB}}}}+{\frac {{\overline {PB}}\cdot {\overline {QB}}}{{\overline {AB}}\cdot {\overline {BC}}}}+{\frac {{\overline {PC}}\cdot {\overline {QC}}}{{\overline {BC}}\cdot {\overline {CA}}}}=1.}
出典
^ a b c d Weisstein, Eric W. "Steiner Inellipse" . mathworld.wolfram.com (英語).
^ H. Dörrie , 100 Great Problems of Elementary Mathematics, Their History and Solution (D. Antin 英訳), Dover, New York, 1965, problem 98. なお、邦訳には高津巌訳『数学ノ勝利』、根上生也訳『数学100の勝利』(3分冊)がある。Webcat Plus
^ a b Kalman, Dan (2008), “An elementary proof of Marden's theorem” , American Mathematical Monthly 115 (4): 330–338, MR 2398412 , http://mathdl.maa.org/images/upload_library/22/Ford/Kalman.pdf .
^ Weisstein, Eric W. "Steiner Circumellipse" . mathworld.wolfram.com (英語).
^ a b c d Chakerian, G. D. (1979), “A distorted view of geometry”, in Honsberger, Ross, Mathematical plums , The Dolciani Mathematical Expositions, 4 , Washington, D.C.: Mathematical Association of America, pp. 135–136, 145–146 .
^ a b Minda, D. ; Phelps, S. (2008), “Triangles, ellipses, and cubic polynomials” , American Mathematical Monthly 115 (8): 679–689, MR 2456092 , http://www.geogebra.org/en/upload/files/english/steve_phelps/minda%20phelps.pdf .
^ Scimemi, Benedetto, "Simple Relations Regarding the Steiner Inellipse of a Triangle", Forum Geometricorum 10, 2010: 55–77.
^ Thomson cubic
^ “BICENTRIC PAIRS P(118) ”. faculty.evansville.edu . 2024年3月26日 閲覧。
^ Allaire, Patricia R.; Zhou, Junmin; and Yao, Haishen, "Proving a nineteenth century ellipse identity", Mathematical Gazette 96, March 2012, 161-165.