シギダチョウ科

シギダチョウ科
オオシギダチョウ
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
階級なし : 古顎類 Palaeognathae
: シギダチョウ目 Tinamiformes
または
ダチョウ目 Struthioniformes
: シギダチョウ科 Tinamidae
学名
Tinamiformes
Tinamidae
和名
シギダチョウ目[1]
シギダチョウ科[1]

シギダチョウ科(シギダチョウか、Tinamidae)は、鳥綱シギダチョウ目に分類される科。IOC World Bird List (v11.1)やClements Checklist (v2019)では本科のみでシギダチョウ目を構成する[2]。一方でBirdLife Internationalでは2020年の時点で本科をダチョウ目に分類している[3]

分布

メキシコ南部以南の北アメリカ大陸南アメリカ大陸[4]

形態

最小種はマメシギダチョウで全長15センチメートル[5]。オスよりもメスの方がやや大型になる。頸部は長い[6]。尾羽は短い[4]

嘴は細長く、下方へ湾曲する[4]。第1趾は第2 - 4趾よりも上方にあり、小型で種によっては退化している[4]

古顎類の中で唯一、竜骨突起を持ち胸筋が発達し、短距離なら飛ぶことができる。

分類

伝統的に、単独でシギダチョウ目を構成してきた。古口蓋型の口蓋を持つため、ダチョウ目などと共に古顎類に分類される。

かつて古顎類は、竜骨突起を持つ深胸類 Carinatae(シギダチョウ目のみ)と、竜骨突起を失った平胸類 Ratitae (他の全ての目)に分かれ、互いに姉妹群だと考えられていた。Mayr (1979) はその考えに従い、平胸類の目を統合し広義のダチョウ目とし、Sibley分類もそれを踏襲した。

しかしDNAシーケンス解析により、平胸類は側系統であることが判明した。ダチョウ目以外の古顎類が単系統をなす可能性が高いが、シギダチョウ目の姉妹群がレア目なのかヒクイドリ目+キーウィ目なのかは不確実である[7]。「シギダチョウ」という名に反し、ダチョウとは(もちろんシギとも)特に近縁ではない。

古顎類

レア目

シギダチョウ目

ヒクイドリ目

キーウィ目

ダチョウ目


以下の分類・英名は、IOC World Bird List(v11.1)に従う[2]。和名は山階(1986)に従う[1]

生態

森林や低木林・草原などに生息する[4]。地表棲。走行は得意だが、持久力に乏しく短距離しか走行できない[4]。飛翔することはできるが、飛翔力は強くない[4]。危険を感じると地面の窪みや茂みに逃げ込み静止する[4]

消化器官の内容物の調査から、植物の芽、根、果実種子昆虫などを食べると考えられている[4]

繁殖様式は卵生。婚姻様式は主に一夫多妻[4]。地面の窪みに直接産卵するか、窪みに草や木の枝を敷いた巣に、卵を産む[4]。1 - 12個の卵を産むとされるが、後述する理由により複数個体が産卵した数だと考えられている[4]。1つの巣に複数羽のメスが産卵することもあり、1羽のメスが複数個の巣に産卵することもある[4]。オスのみが抱卵・育雛を行う[5][6]

人間との関係

生息地では食用とされることもある。

森林伐採や農地開発・野焼きによる生息地の破壊、狩猟などにより生息数が減少している種もいる[6]

脚注

出典

  1. ^ a b c 山階芳麿 「シギダチョウ目」『世界鳥類和名辞典』、大学書林、1986年、3 - 6頁。
  2. ^ a b Ratites: Ostriches to Tinamous, Gill F, D Donsker & P Rasmussen (Eds). 2021. IOC World Bird List (v11.1). https://doi.org/10.14344/IOC.ML.11.1 (Accessed 25 May 2021)
  3. ^ Handbook of the Birds of the World and BirdLife International (2020). Handbook of the Birds of the World and BirdLife International digital checklist of the birds of the world. Version 5. Available at: https://datazone.birdlife.org/userfiles/file/Species/Taxonomy/HBW-BirdLife_Checklist_v5_Dec20.zip. (Accessed 25 May 2021)
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m C. A. Walker 「シギダチョウ類」丸武志訳『動物大百科 7 鳥I』黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編、平凡社、1986年、36頁。
  5. ^ a b 竹下信雄 「メジロシギダチョウ」「ヒメウズラシギダチョウ」「マメシギダチョウ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ2 アマゾン』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2001年、131頁。
  6. ^ a b c 「コシジマシギダチョウ」「マグダレナシギダチョウ」「ペルーシギダチョウ」「ハシナガシギダチョウ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ3 中央・南アメリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2001年、176-178頁。
  7. ^ Harshman, John; et al. (2008), “Phylogenomic evidence for multiple losses of flight in ratite birds”, Proc Natl Acad Sci 105, http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?artid=2533212 

関連項目