サイコガンダムサイコ・ガンダム (PSYCHO GUNDAM[1]) は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の機動兵器であるモビルアーマー (MA) のひとつ。初出は1985年放送のテレビアニメ『機動戦士Ζガンダム』。「サイコガンダム」と中黒なしで表記されることが多いが、設定画や公式ウェブサイトでは「サイコ・ガンダム」である[2][1](ただし、Mk-II以降に設定されたバリエーション機は、ほぼ「サイコガンダム」表記である)。 作中の敵側勢力であるティターンズに配備される機体で、人型のモビルスーツ (MS) 形態への変形機構を備える可変MA (TMA)。MS形態時の全高は40メートルに達し、標準的なMSの倍に相当する巨体をもつ。強化人間による操縦を前提としており、サイコミュで制御される強力な武装を多数備えている。強化人間の女性であるフォウ・ムラサメが搭乗し、主人公のカミーユ・ビダンが所属するエゥーゴの前に立ちはだかる。 本記事では、同じく『Ζガンダム』および続編の『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場する後継機サイコガンダムMk-IIのほか、外伝作品などに登場するバリエーション機についても解説する。 デザインバンダイ案のΖガンダムとして村上克司がデザインしたものを流用し[3]、第2稿をもとに[4]藤田一己がクリーンアップを担当した。村上によれば、飛行形態(MA形態)は小説『宇宙の戦士』に登場するパワードスーツ用の降下カプセルをモチーフとしているという[5]。 設定解説
地球連邦軍のニュータイプ研究所のひとつであるムラサメ研究所が開発した[6]9番目の試作機[9]。型式番号の "M" はムラサメ研究所をあらわす[3]。 一年戦争後、ニュータイプが搭乗したMSに関する調査団が結成され[9]、アムロ・レイが搭乗したガンダムタイプにサイコミュの搭載が検討されたことが、開発の起点とされる[6][注 2]。機体はMRX-002を皮切りに、ティターンズからガンダムMk-IIの提供を受け、プロトタイプサイコガンダムの開発を経てU.C.0087年6月にロールアウト[10]。しかし、人工ニュータイプである強化人間のニュータイプ能力の低さによって[9]サイコミュ・システムは大型化した[6]うえ、脳波伝導フィールド形成のための変形機構や、ミノフスキー・クラフトの採用により、その全長は40メートルにも達した[9]。もっともなぜかガンダムタイプの外観は保たれている[6]。これについては、軍の意向からガンダムタイプとして開発することで予算を捻出したともされる[11]。 形状はRX-78に似ているが、設計思想はMSN-02 ジオングがもとになっている[12][注 3]。また、頭部にコックピットがあり、分離して小型MAとしての運用も可能[9]。 火器管制や機体制御すべてをサイコミュで制御する方式をとっており、パターンデータを登録することによって外部からの遠隔操作も可能である[14]。その戦闘プログラミングは専任パイロットであるフォウ・ムラサメ専用となっている[9]。本機は可変MSではなく可変MAに分類される[6]。モビルフォートレス (MF) とも呼ばれるMA形態に変形可能で、その巨体を飛行させるためにミノフスキー・クラフトを装備している[14]。むしろ、この形態はおもにミノフスキー・クラフトを稼働させるためのものであり、腕部などのエネルギー・ユニットを組み替えると同時に、ボディ・ユニット内部のキューブ・グリッド・エミッターを機体外に露出してミノフスキー粒子の立方格子を生成する[15]。また同形態では、成層圏を飛行することも可能[11]。一方、ガルダ級の輸送機であっても格納できないため、MF状態で牽引して運用される[11]。 機体は試作1号機と試作2号機が存在しており[10]、ホンコンシティの戦闘に投入されたほか、改修機がキリマンジャロ基地での戦いに投入され、大破している[16]。1号機ではパイロットの感応波を検知した結果、機体がコクピット内の制御を逸脱した動作を行ったことから、2号機においてはサイコ・コントロールシステムを実装し、専用のヘッドセットを利用することで機体外制御を仕様に盛り込んでいる[10]。 武装
劇中での活躍ムラサメ研究所出身の強化人間フォウ・ムラサメの乗機として登場。1号機は戦力を失ったスードリ隊にムラサメ研からの増援として配備される。ニューホンコンにおけるカラバ襲撃作戦に参加した際に暴走し、ニューホンコンの街に大きな被害を与える。その後、アウドムラに特攻をかけようとしていたスードリに体当たりを敢行し、その爆散と共に失われる。 2号機はキリマンジャロ基地防衛隊に配備され、基地攻略に赴いたカラバの部隊を相手に圧倒的な性能を見せるが、バイアランの攻撃からΖガンダムを庇った際にコクピット内のフォウが死亡し、活動を停止する。 劇場版『機動戦士Ζガンダム』では1号機のみが登場。スードリ特攻の際にフォウが死亡するため、2号機は登場しない。 スマートフォンゲームアプリ『機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE』のイベント「アムロシャアモード」では、テレビ版とも劇場版とも異なるストーリー展開でキリマンジャロ攻略戦が描かれた[17]。2号機にはフォウではなくロザミア・バダムが搭乗し、ゲーツ・キャパのバイアランと連携してクワトロ・バジーナのディジェおよびアムロ・レイのリック・ディアスと交戦するが、特にダメージは受けていない。 漫画『機動戦士ガンダム U.C.0094 アクロス・ザ・スカイ』では、オーストラリアの旧ティターンズ系の武装組織の本拠地「デビルズ・ネスト」に秘匿されていた、初期型のナイトロシステムを搭載した機体が登場。なお、ナイトロはもともとサイコ・ガンダムを「よどみなく」動かすためのものであったとされる。サイコガンダムMk-IIとともに圧倒的な力を見せつけるが、イング・リュード少尉が搭乗する量産型ΖΖガンダムによるフルパワーのハイ・メガ・キャノンによって撃破される。その結果、量産型ΖΖガンダムもオーバーロードを起こし、自壊する。 漫画『機動戦士ガンダム カタナ』では、宇宙世紀0084年の最終決戦を経てパイロットと共に回収された唯一現存するフルアーマー・ストライカー・カスタム[注 4]の精神感応AIシステム「妖刀」がムラサメ研へ送られ、サイコガンダムに転用されていたことが最終話で語られている。 ムラサメ漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』に登場。 ムラサメ研究所付近にある、旧世紀に造られた海底都市「リュグージョ」に秘匿されていたサイコガンダムのひとつ[18]。MA形態時に頭頂部を覆うユニットやシールドが失われているために完全な変形はできないが、それ以外の性能は保たれている[18]。なお、頭部の「口」に当たる部分が原型機と異なるが、これは後世での修繕によるもので、その際にサイコフレームの技術を使用したことから、操縦者との同調性能は元よりも向上している[18]。 リュグージョは宇宙世紀0153年にサイド1コロニー「ムーンムーン」の居住者が移民しており、本機はMA形態で「神」として崇められている。木星との政略結婚から逃れるために失踪していたムーンムーンの姫であるカグヤ・シラトリが0169年に帰還したことから、姫の座を狙うエラゾ・カノー司祭長が姫にふさわしい「能力」の高さを競うため、本機を遠隔操作させる「神立たせの儀」を挑む。エラゾが本機の左腕を動かしたことによって勝利と思われたが、実は彼女が強化人間であることが露呈する。エラゾが搭乗するオーテングーはアッシュ・キングのアンカーによって行動不能にされ、彼女は気絶するも感情が乗り移った状態となった本機は無人でMS形態に変形し、天井を破壊して海上に出て暴れ回る。カグヤはオーテングーのサイコミュを利用してエラゾの精神に「サイコ・ダイブ」することで本機の動きを止め、その隙にアンカーが頭部を破壊した結果、活動を停止する。 リュグージョでは、本機の携行武装としてスラスター内蔵の大型ビーム・サーベル「イカリマル」を開発しているが、結局本機では使用されていない。カグヤをリュグージョまで送り届けた代金の一部としてアッシュに譲渡され、アンカーの武器となる。 プロトタイプサイコガンダム
メカニックデザイン企画『M-MSV』に登場。初出の『SD CLUB』第8号での名称は「プロトサイコガンダム」[19]。 「連邦・ジオン公国系双方の技術を結集した最強のガンダム」というコンセプトの基に開発された機体[19]。ガンダムMk-IIをベースにしており[19]、ビーム砲を搭載した前腕部はジオングと同様に有線でのオールレンジ攻撃が可能(ただし、地上では直線的な動作しかできない[20])。胸部中央には拡散メガ粒子砲が搭載されており、ジェネレーターが増設されているものの出力不足のため、メガ粒子砲の発射後は10秒間行動不能となる[20]。また、バックパックにサイコミュ・システムが収納されて大型化したうえ、機体重量は倍増して運動性は劣悪なものとなっている[19]。機体制御と火器管制はすべてサイコミュで実行可能となっている[21]が、一般兵もマニュアルで操作可能[20]。 望月正雄の小説『モビルスーツコレクション・ノベルス Act.1「破滅の機体」』では、初代パイロットのムラサメ研究所の強化人間が重度の精神障害で入院し、代わりにサード・ムラサメ少尉が派遣される。マラサイとジムIIによる中隊(無人機を含む)と模擬戦を行った際に本機は暴走し、多大な犠牲を払いながらもパイロットを含めた本機の破壊をもって事態を収拾する。 ザナドゥ
漫画『機動戦士ガンダム U.C.0096 ラスト・サン』に登場。 プロトタイプサイコガンダムのバックパックを、ナイトロ・ユニットに換装した機体。グリプス戦役時にスタートした地球連邦軍のナイトロ・システム実装計画「χ(カイ)プラン」の試験機として最初期に建造されるが、統括責任者のロック・ホーカー大佐による長年の改良により、ナイトロ・ユニット自体が別体のMSとして成立するまでに至る。 ナイトロ・ユニットには本体とは別にコックピットがあり、分離が可能となっているが、複数のケーブルで繋がれたままであるため独立機動はできない。「掌」に当たる3連装ハイメガ粒子砲は戦艦の砲塔のような外観をしており、有線式のサイコミュ端末として切り離すことができ、各砲門はビーム・ソードとしても転用可能。「肩」にはT字型の「ディフェンサー・バインダー」を装備、ウィング基部にはIフィールド・ジェネレーターを内蔵し、背面の防御が固められている。下部のスラスター・ユニットは「脚」のようにフレキシブルに可動し、上部のメイン・センサーは分離時には「頭部」として展開する。 本体側の外観は原型機と大差ないが、前腕部のサイコミュ・ハンドを強化するため、「サイコミュ・セスタス」が追加装備されている。これはメリケンサック状の炸裂ボルト(ガンダムデルタカイの運用データからフィードバックされている)に給弾ベルトが伸びているほか、Iフィールド・ジェネレーターが内蔵されており、さらに原型機からの武装であるビーム・ガンにもケーブルが伸びている。なお、本体の塗装はティターンズ・カラーに近くなっている。 宇宙世紀0096年、サイド1のコロニー「シャングリラ」近傍でロック麾下の新生フルスベルク隊と「袖付き」のブランダムール隊の戦闘中に突如出現し、「もう一人のゼナイド」が搭乗して圧倒的な力を見せつけ、連邦軍のジョリオン・デイ中尉らをMSのコックピットごと連れ去る。その後の「袖付き」・連邦軍混成部隊との決戦では、ナイトロ隊の中核としてナイトロ・ユニット側にロックも搭乗して出撃するが、ガンズ・ランの乗るガンダムGファーストDXにケーブルを切断され、ガンダムデルタカイにナイトロ・ユニットのみを撃破されてロックが戦死し、本体は確保される。 G=ギガント「サイバーコミックス」に掲載された松浦まさふみの漫画『機動戦士ガンダム プログラム=マスター』に登場。プロトサイコガンダムとも呼ばれる。 サイコガンダムの試作機のひとつで、プロトタイプサイコガンダムとは異なり、機体サイズは本機と交戦したRX78重装改 実験型の数倍に達する。宇宙世紀0083年にはすでに放棄されている。 一年戦争中にUAI社が開発していたMS用の自動プログラミングシステムとともに月面の基地に放棄されていたが、再作動した自動プログラミングシステムの侵入を受けて無人のまま作戦稼働を開始する。破壊のためにUAI社から派遣されたRX78重装改 実験型と交戦し、最終的には頭部を破壊されて機能を停止する。 プロトタイプサイコガンダム大型化試作機『コミックボンボン夏休み増刊号』(1997年)掲載の服部健吾の漫画「機動戦士ガンダムΖΖ外伝 悪夢の戦場」に登場(型式番号:MRX-008[注 5])。 ジオングの設計を基礎として大型化されるも可変機構の導入のためにメイン・フレームのみで製作が中止され、廃棄を経て登録を抹消されたとされるが、完成した機体が登場する。頭頂高は40メートル近くあり、前腕はジオングのように有線サイコミュ式のロケット・アームになっている。また、ミノフスキー粒子の散布も可能となっている。 宇宙世紀0088年に月の裏側の試験演習場でテストをおこなっていたプロトタイプΖΖガンダムB型と交戦し、ハイ・メガ・キャノンによって消滅する。なお、本機のパイロットは白骨化しており、無人の状態で稼働していた。また、本機が従えていたハイザック(エゥーゴによる鹵獲機)やジムII、フルアーマー百式改は、いずれのコックピットも無人であった。 サイコガンダム試作8号機小説『機動戦士Ζガンダム フォウ・ストーリー そして、戦士に…』に登場(型式番号:MRX-008)。 サイコガンダムの8番目の試作機。サイコミュ制御機能に未完成の点があり、実験中にサイコミュシステムの暴走によってパイロット(ジル・ラトキエなど)が死亡する事故が数件発生している。真っ白な外見から、開発者たちには「冷蔵庫」と呼ばれていた。この機体で収集したデータにより、最終的にサイコガンダムは完成を見た。 量産型サイコガンダム
メカニックデザイン企画『M-MSV』に登場。 エゥーゴとの短期決戦に備え、ティターンズのエースパイロット用として急造された[22]。サイコガンダムMk-IIの小型化をコンセプトに開発され[22]、通常MSの1.5倍程度のサイズにまで縮小されている。胸部には拡散メガ粒子砲3門に加えて収納式の「ハイ・メガ・バスター」を搭載しており、これはハイ・メガ・ランチャー以上の威力を発揮する反面、発射時はほかの全火器が使用不能となる欠点をもつ[22]。サイコミュ・システムに代わり、インコムが導入されている[16]。
サイコガンダムMk-II
『機動戦士Ζガンダム』『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場。当初は一部媒体で「サイコガンダムMk-III」と表記されている(後述)。 開発はムラサメ研究所が担当[16]。サイコガンダムの実験データをベースに、再度宇宙用に開発された機体[25][注 7]。基本的な設計はサイコガンダムから引き継ぎつつも、武装と駆動系には改良が加えられている[26]。ミノフスキー・クラフトをシールドへ移設することによって必要とされるサブ・ジェネレーターは本体から分離し、機体出力はサイコガンダムの2/3に軽減されている[26]。 完成時には、サイコガンダムを凌駕する機動性と火力を有する地球圏最強の機動兵器になると予想されるが、グリプス戦役終盤での初の実戦参加時には、さまざまな要因から十分な性能は発揮できずに終わる(「劇中での活躍」を参照)[25]。 その後、中破した本機はネオ・ジオンによって秘密裏に回収され、ドーベン・ウルフなどの機体設計の参考とされた。地球降下作戦の際に占領した元ティターンズのキリマンジャロ基地に運び込まれてオーバーホールされ、同時に同基地でティターンズの強化人間のデータも調査された結果、サイコミュの連動における問題点のチェックなどが急ピッチで進められる[27]。 コックピットは頭部に存在し、後頭部内側に分離脱出用のスラスターを3基有する[25]。搭乗者不在であっても、半自律式プログラムで起動が可能[16]。
バケットホイールエクスカベーター型サイコガンダムMk-II漫画『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-』に登場。名称はウェブ企画「A.O.Z Re-Boot」による[36]。 火星でのレジオン建国戦争時に運用されたサイコガンダムMk-IIから武装を撤去し[36]、右肩に掘削用のバケットホイールエクスカベーターが取り付けられている。
サイコ・ガンダムMk-IV G-ドアーズ
宇宙世紀0092年を舞台とする漫画『機動戦士ムーンガンダム』の物語冒頭に登場。同作の主役機であるムーンガンダムの原型となった機体のひとつ。メカニックデザインは形部一平[37]。 サイコ・ガンダムMk-IVの3号機。ガンダムMk-II(強奪前)やジム・クゥエルと同じ配色のティターンズカラーと、各部の装甲の隙間からのぞく緑色の発光ユニットが特徴。従来のサイコ・ガンダム系列のような大型火器や変形機構をもたない標準サイズのMSとして設計されており、重火力の系列機と連携することで真価を発揮する[37]。 のちのサザビーやνガンダムなどに搭載されるサイコフレームのコンセプトモデルであり、後発機体のようにフレームを内装するのではなく、ファンネル自体にフレームを組み込んだ16枚の「サイコプレート」を外装することにより、機体を大型化することなくフレーム素材の搭載量を増やしている[37]。これは、開発当時にはまだサイコプレートを小型化し操縦席に組み込む技術が確立されていないためである[38]。一方でサイコプレートは単なる武装ではなく、機体本体の操作系に作用して反応速度を上げる役割も兼ねている[38]。「G-ドアーズ」は扉状に見えるサイコプレートの形状からつけられた3号機の名称で、サイコフレームの効率的な運用を模索していたMk-IVの1号機や2号機も存在するとされる[37]。 武装としてのサイコプレートは、サイコ・ガンダムMk-IIのレフレクター・ビットを発展させた装備で、射撃機能を排した代わりにサイコフレームの硬度を活かした直接打撃や防御シールドとしての機能をもつ。通常は16枚を連結した一枚板の状態でバックパックのアーム2本に懸架され、パイロットの工夫次第で多彩な合体パターンや運用法を生み出すことができる。それ以外の武装は、頭部左右のバルカン砲2門、短銃身に改造されたフォア・グリップ付きのビーム・ライフルのほか、バックパック上部に収納されたビーム・サーベル2基[37]。 機体はミスター・エンキドゥなる人物の支援のもとで完成したとされている[37]が、実際にはグリプス戦役を経て連邦軍を追われたティターンズ残党にシャア・アズナブルが偽名を用いてサイコフレームのアイデアを提供し、設計させたというのが真相である[38]。当時のネオ・ジオンにはサイコフレームを独自に開発する能力がなかったため、利用した後に裏切って始末することを前提として、強化人間の運用ノウハウを持つティターンズ残党に開発や実証をおこなわせた[38]。 完成した機体はサイド1宙域に存在するティターンズ残党の拠点に秘匿されていたが、宇宙世紀0091年、シャアによる匿名の通報を受けた[38]連邦軍外郭部隊「ロンド・ベル」との戦いで、アムロ・レイの搭乗するリック・ディジェに撃破される。しかし、通報者であるシャアの正体や真意まではロンド・ベルに知らされていなかったため、サイコプレートは単なる残骸として見逃されてしまう[38]。1年後の宇宙世紀0092年、残存した頭部と8枚のサイコプレートが辺境コロニー「ムーン・ムーン」に漂着し、ネオ・ジオン軍のサイコミュ搭載MS「バルギル」の補修パーツとして再利用された結果、バルギルは「ムーンガンダム」として生まれ変わる[37]。 『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』におけるサイコ・ガンダムムラサメ研究所が開発した可変MAで、頭頂高は50mに及ぶ(型式番号:MRX-010)。 そのほかの関連機体ゲミヌスOVA『GUNDAM EVOLVE ../9 MSZ-006 Ζ-GUNDAM』に登場するティターンズの試作巨大可変MA。劇中では「サイコシップ」と呼ばれている(型式番号:QRX-006)。 八面体のMA形態から巨大なMS形態へ変形する。多数のニュータイプ(あるいは強化人間)が搭乗し、「ハスター」と呼称されるサイコミュ誘導型のビットMSを用い、オールレンジ攻撃をおこなう。また、サイコミュ遠隔操作の腕部も武器である。その腕部がレッド・ゼータとの交戦中にサイコミュ遠隔操作を乗っ取られ、自身に向けて使用された結果、ゲミヌスは破壊される。 MAでは初めて宇宙から地球への超長距離ビーム狙撃に成功する[注 10]。 型式番号に「Q」を冠する研究所は存在しないという設定が書籍『ガンダム・ファクトファイル』に掲載された[39]が、後に書籍『データガンダム キャラクター列伝[宇宙世紀編II]』において同機はチャクラ研究所による開発で、ティターンズを裏切った同研究所を破壊するために攻撃をしかけていたと記載されている[40]。 サイコガンダムMk-III宇宙世紀世界ではない別の世界観を舞台とした対戦型格闘ゲーム『ガンダム・ザ・バトルマスター』シリーズに登場するオリジナルMA(一部資料では型式番号:MRX-012[注 11])。 軍の研究機関によって開発された機体で、マリア・ニコルスが搭乗する。武装は肩や脚、胸に多数のメガ粒子砲、両腕部の大型ビームソードと、その手足から放たれる格闘技で、変形機構やサイコミュなどの要素は見当たらない。そもそもこの機体には設定画以上の詳しい設定がほとんど存在せず、武装類はゲーム中に確認できるもののみである。 ゲーム中では、ダウン時以外攻撃を受けても怯まず、攻撃中の割り込みが不可能(このゲームの大型機共通の特徴)であるうえ、通常MSと同様に防御動作も可能であるなど、振り向き動作も含めた十分な機動力と、数発で敵の装甲を削り取る圧倒的な攻撃力を持ち合わせている。 登場キャラクターをアニメ版のものに置き換えた北米版『Gundam Battle Assault』では、パイロットがヴァルダー・ファーキルに変更されている。また、続編の『Gundam Battle Assault 2』、およびその日本移植版の『機動武闘伝Gガンダム THE バトル』『新機動戦記ガンダムW THE バトル』ではパイロットがウルベ・イシカワになっている。 サイコロガンダムゲーム『SDガンダム』シリーズに登場。初登場はバンダイのゲーム『SDガンダムワールド ガチャポン戦士 スクランブルウォーズ』。 白地の六面体にドットが刻まれた一般的なサイコロに、サイコガンダムの頭部が付いているというコミカルな外見。非常に高い戦闘力を誇り「四角い死神」と呼ばれている。サイコロの目から無数のビームやミサイルを発射し、『SDガンダム ガシャポンウォーズ』では胴体(サイコロ)を巨大化させての格闘攻撃も備わった。 誕生の経緯は、ファミリーコンピュータの性能ではサイコガンダムの全身を描くことは不可能であったため、苦肉の策として胴体をサイコロにしたことによる。その後、ゲーム『SDガンダム GGENERATION-0』にて「サイコロガンダム」として再登場し、それ以後の同シリーズや『SDガンダム ガシャポンウォーズ』にも登場した。 これとは別に、バンプレストから発売されたゲーム『SDヒーロー総決戦 倒せ!悪の軍団』では、サイコガンダムのモビルフォートレス形態がサイコロになっている。通常はサイコロ形態で、プレイヤーキャラが近づくと徐々にMS形態に変形する。変形が完了すると攻撃を行い瞬時にサイコロ形態に戻る。サイコガンダムのカラーリングに合わせ、サイコロ形態は黒地に赤いドットが刻まれており、画面から見て1、4、6の順に目が変化する。 なお、『機動戦士ガンダムΖΖ』第1話「プレリュードΖΖ」において、クムがサイコガンダムをサイコロガンダムと呼ぶ場面がある。 サイコロガンダムMk-IIサイコロガンダムに似た姿をしている。顔はサイコガンダムMk-IIである。 1991年にコミックボンボンに連載された漫画『タマロイド 超Cガンダム』では、くろすぼ〜ん族の兵器として巨大なサイコロからサイコガンダムMk-IIの頭部に手足のついた形態(同作におけるキャラクターの一般的な形態)へ変形する「サイコロガンダム」が登場した。 ブラックドール佐藤茂の小説『∀ガンダム』では、グエン・サード・ラインフォードが「ブラックドール」という機体を持ち出している。劇中描写はサイコガンダム (MRX-009) に類似しているが、MA形態ですら全高40mのウォドムと同サイズと、ほぼ倍近い巨体になっている。また、強化人間どころか本職のMSパイロットですらないグエンでも平然と操縦できることから、本当にサイコガンダムだったのかは不明。 これを受け、アニメ『∀ガンダム』を題材にしたゲーム作品(おもに『スーパーロボット大戦α外伝』『SDガンダム GGENERATION』シリーズ)では、小説版にならって「サイコガンダムに乗るグエン」という演出がなされるようになった。また、アニメ『ガンダムビルドファイターズトライ』には、サイコガンダム (MRX-009) 仕様に塗装された∀ガンダムのガンプラが登場する。 フルバースト・サイコ・ガンダムトレーディングカードアーケードゲーム『ガンダムトライエイジ』に登場するオリジナル機体(型式番号KRX-001、頭頂高40.0m、本体重量228.9t[41])。 上記のニューホンコンでフォウが搭乗したサイコガンダムをカラバが鹵獲し、アムロ・レイ用に改修したものとされる。カラーリングをRX-78-2ガンダムに近いパターンに変更。サイコミュには調整が加えられ、背部に「ハロファンネル」と呼ばれるビットを収納したコンテナを、右肩にバストライナーを流用したビーム砲を、左腕にはキャノン砲2門を内蔵したシールドを追加している。MA形態は飛行姿勢とカラーリングが変更されているほか、上記シールドが翼に変更されてGファイターのような外見となっている。 サイコガンダムMk-V「マイアニメ」誌上に掲載された小林誠による雑誌企画『THE EVOLUTION OF GUNDAM ガンダム進化論 ΖΖへの道』で設定された機体。プロト・エプシィ・ガンダムもしくはプロト・エプシィとも呼ばれるが、エプシィガンダムとの関連性は不明。 「ΖΖガンダムはサイコガンダムの系列機である」というオリジナル設定にもとづくもので、サイコガンダムとΖΖガンダムの中間にあたる機体。設計はアナハイム・プラントのナガノ主任が担当した。機体は全高28メートルにまで小型化されながらも出力はサイコガンダムと同等であり、ΖΖガンダムと同様にフォートレス形態への変形のほか、コアユニット・Aパート・Bパートの3機による分離合体機能を有する。武装は機体各所のビーム砲17基で、さらに機体各部を切り離してのオールレンジ攻撃も可能となっている。 本機ののちには形態を大きく変えたサイコガンダムMk-V改が開発されたほか、以前にもサイコガンダムMk-IIIおよびMk-IVの試作がおこなわれたとされている。 元は永野護によって作成されたΖΖガンダムの没デザインである。 サイコガンダムシステム001/002号機「電撃ホビーマガジン」の雑誌企画『ソロモンエクスプレス2 THE MYSTERY OF PSYCHOMMUN-SYSTEM』に登場する機体。 地球連邦軍とアナハイム・エレクトロニクスによってサイコガンダム以前に試作された機体で、001号機と002号機の2機が製造されている。機体形状はサイコガンダムMk-IIに近いが可変機構は有さず、長い手足や大きくくびれた腰部、背部に備えられた巨大な翼などから構成される独特なフォルムを持つ。搭載されたフラナガン機関由来のサイコミュシステムの大部分が詳細不明だったため、非常事態用の自爆システムを有しており、機体表面には自爆用のマニュアルボルトが各所に設けられている。しかし、完成した2機は自爆システムをオフラインにして暴走しながら異次元への扉を開き、暴走開始から10秒強経過した時点で2機とも消失した。 この暴走事故によってサイド2を中心とする各コロニーでのニュータイプの覚醒や暴走が誘発されており、ティターンズがコロニーにおこなった毒ガス作戦は、この際に覚醒したニュータイプを抹殺するという目的もあったとされている。また、サイコガンダムのMF形態は、この事故を受けて設けられた暴走抑制のための拘束形態であるとも設定されている。 サイコガンダム・マーク-IV
雑誌上のパロディ企画『機動戦士Oガンダム 光のニュータイプ』に登場するニュータイプ専用可変MA。 スーパー・ジオンに参加したアルテイシア少佐の専用機。武装などはサイコガンダムMk-IIよりも強化されており、赤い機体塗装や頭部のブレードアンテナなど、機体各所にシャア専用機を彷彿させる意匠が施されている。 脚注注釈
出典
参考文献
関連項目
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