グランド・ファンク・レイルロード (Grand Funk Railroad , GFR )[ 注釈 1] はアメリカ合衆国 のハードロック ・バンド 。1960年代 末にマーク・ファーナー、メル・サッチャー[ 3] 、ドン・ブリューワーによって結成されたトリオで、1970年代 半ばにかけてアルバム、ヒット・シングルを連発して高い人気を誇った。
二度の解散と再結成を経て、ブリューワーを中心に2023年 現在も活動中である。
概要:歴史
「テリー・ナイト・アンド・ザ・パック(Terry Knight and the Pack )」というバンドで活動していたドン・ブリューワー (Don Brewer , ds)とマーク・ファーナー (Mark Farner , vo & g)、が、テリー・ナイト(Terry Knight )がバンドを去ったのを機に、メル・サッチャー (Mel Schacher , b) を誘って新しいバンドを結成し、アメリカの鉄道会社「グランド・トランク鉄道 (Grand Trunk Western Railroad ) 」をもじったグランド・ファンク・レイルロード と名付けた。
1968年 頃より勃興していたニューロック 、あるいはヘヴィロック (現在のハードロック )のスタイルをいち早く取り入れ、1969年 にかつて同僚ナイトをプロデューサーに迎えたアルバム『グランド・ファンク・レイルロード登場 (On Time ) 』でデビューする。レッド・ツェッペリン のアメリカ公演の前座 を務めた際に、その歌と演奏力で聴衆を熱狂させてツェッペリンを食ってしまったことによって、ロックファンの間で知名度が高まった。アルバムからシングルカットされた「ハートブレイカー」はハードロックの古典 になり、セカンド・アルバム『グランド・ファンク (Grand Funk ) 』に収録されたアニマルズ の「孤独の叫び 」のカバー もファンキー な人気曲となった。日本でも人気を集め、ザ・タイガース が「ハートブレイカー」をコンサートのレパートリーとして取り上げ、のちにフォークシンガーとしてデビューする井上陽水 が、この曲のコード進行を模倣して「傘がない 」を書いた。1971年 の東京公演は後楽園球場 で行なわれ、激しい雷雨の中での演奏は今も語り草になっている。
1972年 の『不死鳥 (Phoenix ) 』からはナイトと決別し、クレイグ・フロスト (Craig Frost , kbd) を迎えて4人編成になり、バンド名をグランド・ファンク (Grand Funk )に変更して音楽性をポップな方向に広げた[ 注釈 2] 。同アルバムからは「ロックンロール・ソウル」がシングル・カットされた。1973年、トッド・ラングレン にプロデュースを委ねたアルバム『アメリカン・バンド (We're an American Band ) 』を発表。同名シングル曲が全米1位を獲得する大ヒットとなり、このアルバム・タイトルはそのまま彼らの代名詞となり、同名曲はボン・ジョヴィ などアメリカの後続のロックバンドにライブなどで何度もカバーされている。
続いて1974年に発表したアルバム『輝くグランド・ファンク (Shinin' On ) 』からは、ジェリー・ゴフィン とキャロル・キング 作で1962年にリトル・エヴァ によって全米1位を獲得した大ヒット曲「ロコモーション (The Loco-Motion) 」をハードロック風にアレンジしたカバーがシングルカットされ、こちらも全米1位を獲得。GFR時代とグランド・ファンク時代を通じて最大のヒット・シングルとなった。同アルバムからは「シャイニン・オン」もシングルカットされた。
1975年 には、前年末に発表したアルバム『ハード・ロック野郎 (世界の女は御用心) (All the Girls in the World Beware!!! ) 』から、ソウル・ブラザーズ・シックス の原曲をブギ・ウギ 調にアレンジした「オー・ワンダフル (Some Kind of Wonderful) 」と「バッド・タイム」の2曲のヒットを放った。1976年 の『驚異の暴走列車 (Born to Die ) 』をもってCapitol との契約は満了した。同年、MCA からフランク・ザッパ をプロデューサーに迎えた『熱い激突 (Good Singin', Good Playin' ) 』を発表した[ 注釈 3] [ 4] が、その直後に解散した。
解散後、ファーナーはソロでMark Farner( 1977年)、No Frills( 1978年)の2枚のアルバムを発表した。ブリューワー、サッチャー、フロストの3人はFlintを結成しFlint( 1977年)を発表した。
1980年、GFRはファーナーとブリューワーによって再結成された。『グランド・ファンク復活 (Grand Funk Lives ) 』と『ホワッツ・ファンク? (What's Funk? ) 』と2枚のアルバムを発表するが、ヒットを出すことなく1983年 に再度解散した。
1997年 に行なわれたボスニア 救済コンサートをきっかけにオリジナル・メンバー3人で再々結成(『ボスニア (Bosnia ) 』)。1999年にファーナーがソロ活動のために脱退し、元キッスのブルース・キューリック が加入した。
2024年1月にブルース・キューリックの脱退が発表され、マーク・チャットフィールドが加入[ 5] [ 6] 。
メンバー
Mel Schacher January 12, 2002
Bruce Kulick January 12, 2002
Mel & Bruce January 12, 2002
現在のメンバー
メンバー名
原語表記
担当
在籍時期
ドン・ブリューワー
Don Brewer
Drums, Lead Vocals
1968~1977, 1980~1983, 1996~現在
メル・サッチャー
Mel Schacher
Bass Guitar
1968~1977, 1980~1981, 1996~現在
マックス・カール
Max Carl
Lead Vocals
2000~現在
ティム・カーション
Timothy "Tim" Cashion
Keyboards
2000~現在
マーク・チャットフィールド
Mark Chatfield
Guitars
2024~現在
過去に在籍したメンバー
メンバー名
原語表記
担当
在籍時期
マーク・ファーナー
Mark Farner
Guitars, Lead Vocals
1968~1977, 1980~1983, 1996~1999
テリー・ナイト
Terry Knight
Bass Guitar
1972
デニス・ベリンジャー
Dennis Bellinger
Bass Guitar
1980~1983
ハワード・エディ・ジュニア
Howard Eddy, Jr.
Keyboards
1996~1999
ブルース・キューリック
Bruce Kulick
Guitars
2000~2023
ディスコグラフィー
スタジオ・アルバム
ライヴ・アルバム
コンピレーション
シングル(米国)
年
タイトル
US HOT 100
1969
Time Machine / High On A Horse
# 47
Mr. Limousine Driver / High Falootin' Woman
# 97
1970
Heartbreaker / Please Don't Worry
# 72
Nothing Is The Same / She's A Good Man's Brother
I'm Your Captain (Closer to Home) / Aimless Lady
# 22
Mean Mistreater / Mark Says Alright
# 47
1971
Inside Looking Out
# 40
Feelin' Alright / I Want Freedom
# 54
Gimme Shelter / I Can Feel Him In The Morning
# 61
People, Let's Stop The War / Save The Land
1972
Footstopin' Music / I Come Tumblin'
# 29
Upsetter / No Lies
# 73
Rock'n'Roll Soul / Flight Of The Phoenix
# 29
1973
We're An American Band / Creepin'
# 1
Walk Like A Man / Railroad
# 19
1974
The Loco-Motion / Destitude & Losin'
# 1
Shinin' On / Mr. Pretty Boy
# 11
Some Kind of Wonderful / Wild
# 3
1975
Bad Time / Good And Devil
# 4
Take Me / Genevieve
# 53
1976
Sally / Love Is Dyin'
# 69
Can You Do It / 1976
# 45
1977
Just Couldn't Wait / Out To Get You
1981
Y.O.U. / Testify
1982
Stuck In The Middle / No Reason Why
メンバー構成推移
第1期
1968
Mark Farner (Guitars, Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
1968~1972
Mark Farner (Guitars, Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
Mel Schacher (Bass)
1972
Mark Farner (Guitars, Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
Mel Schacher (Bass)
Craig Frost (Keyboards)
1972
Mark Farner (Guitars, Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
Mel Schacher (Bass)
1972
Mark Farner (Guitars, Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
Mel Schacher (Bass)
Craig Frost (Keyboards)
1972
Mark Farner (Guitars, Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
Craig Frost (Keyboards)
1972
Mark Farner (Guitars, Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
Craig Frost (Keyboards)
Terry Knight (Bass)
1972
Mark Farner (Guitars, Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
Craig Frost (Keyboards)
1972~1977
Mark Farner (Guitars, Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
Mel Schacher (Bass)
Craig Frost (Keyboards)
第2期
1977~1980
活動停止期間
1980
Mark Farner (Guitars, Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
1980~1981
Mark Farner (Guitars, Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
Mel Schacher (Bass)
1981
Mark Farner (Guitars, Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
1980~1983
Mark Farner (Guitars, Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
Dennis Bellinger (Bass)
1983
Mark Farner (Guitars, Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
第3期〜現在
1983~1996
活動停止期間
1996
Mark Farner (Guitars, Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
1996
Mark Farner (Guitars, Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
Mel Schacher (Bass)
1996~1999
Mark Farner (Guitars, Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
Howard Eddy, Jr. (Keyboards)
Mel Schacher (Bass)
1999
Mark Farner (Guitars, Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
Mel Schacher (Bass)
1999~2000
Don Brewer (Drums, Vocals)
Mel Schacher (Bass)
2000~2005
Max Carl (Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
Bruce Kulick (Guitars)
Tim Cashion (Keyboards)
Mel Schacher (Bass)
2005~2023
Max Carl (Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
Bruce Kulick (Guitars)
Tim Cashion (Keyboards)
Mel Schacher (Bass)
Craig Frost (Keyboards)
2024~現在
Max Carl (Vocals)
Don Brewer (Drums, Vocals)
Mark Chatfield (Guitars)
Tim Cashion (Keyboards)
Mel Schacher (Bass)
日本公演
7月17日 後楽園球場、 18日 大阪球場
後楽園球場では、開演時に会場へ入り切れなかった観客が暴徒化。12番ゲートの扉を破壊して放火 、駆け付けた機動隊 員らに投石 をする騒ぎとなったが、偶然発生した激しい雷雨 により暴動 は鎮静化した[ 7] 。
5月18日 名古屋市公会堂 、19日 京都会館 、21日 大阪厚生年金会館 、22日,23日 日本武道館
9月6日 日本武道館、8日 大阪フェスティバルホール 、9日 名古屋市公会堂
6月21日 赤坂ブリッツ 、22日 大阪フェスティバルホール、24日,25日 中野サンプラザ
※ファーナーは、ソロやリンゴ・スター&ヒズ・オールスター・バンド の公演でも来日している[ 8] [ 9] [ 10] 。
脚注
注釈
^ 『不死鳥(Phoenix)』から『ハード・ロック野郎 (世界の女は御用心) ((All the Girls in the World Beware!!! ) 』までは バンド名をグランド・ファンク (Grand Funk )としていた。
^ この頃にメンバーはナイトに対してバンド名と印税に関する訴訟を起こした。バンド名使用は認められたが、印税についての請求は認められなかった。
^ メンバーは以前からザッパをプロデューサーに迎えたいと思っていたが、マネージメントはあまりにも奇妙な組み合わせであるとして、彼らの希望を聞き入れなかった。1975年にようやくザッパに連絡した結果、この組み合わせが実現した。双方とも共同作業について極めて好意的な発言を残している。
出典
関連項目
外部リンク