カワカマス目
カワカマス目(学名:Esociformes)は、硬骨魚綱の分類群(目)の一つ。2科4属で構成され、釣魚として知られるノーザンパイクなど少なくとも12種が含まれる[1]。パイク目とも呼ばれる。 分布カワカマス目の魚類はすべて淡水魚で、北アメリカやシベリアを中心とした北半球に分布し、流れの緩やかな河川・湖に生息する[1]。約12種で構成される小さなグループで、日本には分布していない。カワカマス属の仲間は漁業資源として利用されるほか、釣りの対象魚としても知られている[2]。 カワカマス科魚類の化石はカナダにおける白亜紀後期(~6,500万年前)の地層から発見されており[2]、現生のカワカマス属も暁新世(6,200万年前)には既に出現していた。白亜紀後期から第三紀にかけて、北アメリカを中心に生物の大量絶滅(K-T境界)が生じたが、カワカマス類はこの時期を生き延び、北半球全域に分布を広げたものとみられている[2]。北米以外での化石記録は、中国における始新世前期のものが最初である[1]。 形態体型は細長く、カワカマス属の仲間は平たく突き出た吻(口先)をもつ。脂鰭をもたず、腹鰭は体の中央付近に、背鰭と臀鰭は体の後方に位置する[1]。幽門垂をもたない[1]。頬と鰓蓋は鱗に覆われる[1]。 主上顎骨の歯および中烏口骨を欠き、後擬鎖骨は1本[1]。対になった細長い前篩骨をもつ[1]。背鰭・臀鰭の担鰭骨はカワカマス属・ウンブラ属では中央部のみ骨化するが、ダッリア属・Novumbra 属では骨化はみられない[1]。 分類カワカマス目はカワカマス科およびウンブラ科の2科4属で構成され、少なくとも12種を含む[1]。本目全体の単系統性には強固な裏付けがなされている一方で、4属それぞれの位置付けには議論がある[3]。ダッリア属および Novumbra 属は従来ウンブラ科に含められてきたが、近年の分子系統解析はこれら2属がむしろカワカマス属に近縁であることを示している[4]。Nelson(2016)の体系では、この見解に基づいた科の再編が行われた[1]。 現生の2科のほかに、絶滅したグループとして欧州から Palaeoesocidae 科の存在が知られ、Palaeoesox および Boltyshia の2属が暁新世から中新世にかけて生息していたものとみられている[1]。 カワカマス科![]() カワカマス科 Esocidae には3属のもと、少なくとも9種が認められている[1]。カワカマス属は側線鱗数や上尾骨数などの違いから、Esox および Kenoza の2亜属に分割される[1]。ダッリア属・Novumbra 属はかつて所属していたウンブラ科から、本科に移された[3]。ダッリア属の2種(Dallia admirabilis, D. delicatissima)は D. pectoralis のシノニムである可能性が指摘されている[1]。 本科魚類に共通する特徴として、下鰓蓋骨は鎌型で、鰓蓋は切り立った形状を示す点が挙げられる[1]。また、単一の小さな上主上顎骨をもち、鋤骨と口蓋骨に強固な歯を備える[1]。鱗の放射状突起は少ない[1]。 ウンブラ科![]() ウンブラ科 Umbridae は1属3種[1]。北アメリカ中央部~東部、およびヨーロッパ南東部に分布する[1]。 特殊な形状をした浮き袋を用いて、空気呼吸が可能[1]。吻は突出せず、尾鰭には丸みがある。カワカマス属と比べ小型の魚類で、体長は最大でも20cm程度。 出典・脚注
参考文献
外部リンク
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