カグー (学名:Rhynochetos jubatus ) は、鳥綱ジャノメドリ目カグー科カグー属に分類される鳥類 。本種のみでカグー科カグー属を構成する(単型 )[ 8] 。別名カンムリサギモドキ [ 7] 。
分類
ニューカレドニア [ 3] [ 5] [ 7] [ 8]
形態
全長55センチメートル[ 7] 。頭部から後方へ、羽毛が伸長(冠羽 )する[ 7] 。種小名jubatus は「鬣のある」の意[ 6] 。全身は明灰色で、背は褐色を帯びる[ 7] 。翼には黒、白、褐色の斑紋が入る[ 5] [ 8] 。
虹彩 は赤い[ 8] 。鼻孔は、角質状の覆いで保護されている[ 8] 。嘴や後肢は、頑丈で長い[ 8] 。嘴は、下方へ湾曲する[ 5] 。趾は小型で、趾の間には水かきがない[ 8] 。嘴や後肢の色彩は赤い[ 5] [ 7] 。
卵は長径6.2センチメートル、短径4.5センチメートル[ 8] 。殻は淡褐色で、暗褐色や灰色の斑紋が入る[ 8] 。雛の綿羽は褐色で、黄色い斑紋が入る[ 8] 。幼鳥は、全身が褐色みを帯びる[ 7] [ 8] 。
生態
標高1,400メートル以下にある、森林 に生息する[ 7] 。地表棲で、飛翔することはできない[ 8] 。夜行性や半夜行性と考えられているが、抱卵期を除いて昼間の方が活動するという報告もある[ 8] 。名前は生息地での呼称で、鳴き声に由来する[ 6] [ 8] 。外敵に襲われると、冠羽を逆立たり翼を広げて威嚇 する[ 8] 。
昆虫 、ミミズ 、陸棲の巻貝 Placostylus bavayi などを食べる[ 5] [ 8] 。足踏みをして獲物を探し、地中にいる獲物は嘴で掘りだして食べる[ 8] 。
冠羽を逆立てるカグー
繁殖様式は卵生。繁殖期になると雌雄が向かい合って冠羽を逆立てたり翼を広げ、相手の周囲を徘徊するなどして求愛する[ 8] 。繁殖期の夜間や薄明時にオスが鳴いた後に、メスが鳴くことを数回繰り返し10分以上鳴き交わすこともある[ 8] 。地面の窪みに葉や枝を敷いた巣を作り、5 - 12月に1回に1個の卵を産む[ 8] 。雌雄交代で、抱卵・育雛を行う[ 7] [ 8] 。抱卵期間は35 - 40日[ 5] 。雛は孵化してから3日で巣から離れる[ 8] 。孵化してから、3 - 4か月で独立する[ 7] 。
人間との関係
羽毛が装飾品として利用される事もあった[ 5] 。
ニューカレドニアの国鳥 である。
森林伐採や鉱業開発などによる生息地の破壊や、人為的に移入されたイヌ・ネコ・ブタなどによる捕食などにより生息数は減少している[ 3] [ 5] [ 7] [ 8] 。特にイヌによる捕食は脅威とされており、一例として1993年には発信機をとりつけた個体21羽のうち17羽がイヌに殺されている[ 3] 。人為的に移入されたルサジカ Rusa timorensis による植生の変化や、感染症による影響も懸念されている[ 3] 。野生個体の生態調査、飼育下繁殖個体の放鳥などの対策が進められている[ 3] [ 7] 。1975年のワシントン条約発効時から、ワシントン条約附属書Iに掲載されている[ 2] 。1991年 における生息数は、654羽以上と推定されている[ 7] 。
2019年現在、日本の動物園 で飼育展示されているのは横浜市 野毛山動物園 でのオス2羽のみである[ 9] 。
出典
^ I, II and III (valid from 28 August 2020) <https://cites.org/eng > (downroad 11/28/2020)
^ a b UNEP (2020). Rhynochetos jubatus . The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net . (downroad 11/28/2020)
^ a b c d e f g h BirdLife International 2019. Rhynochetos jubatus . The IUCN Red List of Threatened Species 2019: e.T22692211A156666402. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2019-3.RLTS.T22692211A156666402.en . Downloaded on 28 November 2020.
^ a b c Kagu, sunbittern, tropicbirds, loons, penguins , Gill, F & D Donsker (Eds). 2020. IOC World Bird List (v10.2). https://doi.org/10.14344/IOC.ML.10.2 . (Downloaded 28 November 2020)
^ a b c d e f g h i j Robert Hudson 「ミフウズラ類と他の近縁グループ」丸武志訳『動物大百科 7 鳥I』黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編、平凡社 、1986年、172-175頁。
^ a b c 正富宏之 「ヒレアシ、カグー、ジャノメドリ、ノガンモドキ、ノガンの仲間たち」『動物たちの地球 鳥類I 6 タンチョウ・ヤンバルクイナ・バンほか』第6巻 18号、朝日新聞社 、1991年、188頁。
^ a b c d e f g h i j k l m n o 百瀬邦和 「カグー(カンムリサギモドキ)」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ7 オーストラリア、ニューギニア』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社 、2000年、80、175頁。
^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 森岡弘之 「カグー科の分類」『世界の動物 分類と飼育10-II (ツル目)』黒田長久、森岡弘之監修、東京動物園協会、1989年、90-91頁。
^ “【野毛山動物園だより】生き物ってオモシロイ!!|今月のどうぶつ:カグー” . エコチル 横浜版 (アドバコム). (2019年12月2日). http://tokyo.ecochil.info/2019/12/02/y1912nogeyama-zoo/ 2020年5月1日 閲覧。
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
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ウィキスピーシーズに
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