エコー賞(Echo Music Prize、ECHO)は、毎年行われているドイツの音楽賞である。ポップカテゴリーの受賞者は3月、クラシックカテゴリーの受賞者は10月に発表される。2018年4月に、ポップス部門の受賞グループの楽曲に反ユダヤ主義的な歌詞が含まれることに対し多くの非難が起こり、過去の受賞者が続々と賞を返還する騒動に発展、賞の廃止が決定された。
エコー賞は1963年から1992年まで続いたドイツ・レコード賞の後継として1992年に始まった。ドイツ・フォノ・アカデミー (Deutsche Phono-Akademie)が主催しており、毎年の受賞者は前年の売上によって決まる。
ポップカテゴリーには以下の賞などがある。
ファリド・バン(英語版)とコレガー(英語版)が2018年のポップスアルバム部門の最優秀賞を受賞したことに対し、世界中から大きな批判が起きた。受賞したアルバム"Jung Brutal Gutaussehend 3"に収録された"0815"という楽曲の中に、自分たちの筋肉がアウシュビッツの収容者よりもはっきりしているという歌詞があったためである。この2人は、授賞式の数週間前に激しい抗議を受けていたにもかかわらず、授賞式の場では問題になった"0815"を歌唱した。
ドイツのパンクバンド、ディ・トーテン・ホーゼン(英語版)のボーカルのカンピーノ(英語版)は、授賞式で審査委員会の決定を批判し[1]、観客はスタンディングオベーションでその意見を支持した[2]。
何人かのアーティストが、抗議のためにエコー賞を返上した。マリウス・ミュラー=ヴェスターハーゲン(英語版)は過去に7回受賞したエコー賞を全て返上すると述べた。このほか、ドイツの指揮者クリスティアン・ティーレマン、エノッホ・ツー・グッテンベルク、ロシア出身のドイツのピアニスト、イゴール・レヴィット、音楽プロデューサーのクラウス・フォアマン、ノトス・カルテットなどがエコー賞を返上した[3]。
また、エアバス社CEOのトム・エンダース(英語版)は、この決定は「ドイツの国際的な評判」を傷つけることになるだろうと述べ、「反ユダヤ主義がドイツで再び受け入れられるようになるのか」と問いかけた[1]。
この結果、エコー賞は2018年を最後に廃止されることとなった[4]。