ウミタナゴ科
ウミタナゴ科(学名:Embiotocidae)は、スズキ目ベラ亜目に所属する魚類の分類群の1つ。ウミタナゴ・オキタナゴなど、卵胎生の魚類を中心に13属23種が記載される[1]。 分布・生態ウミタナゴ科の魚類はほとんどが海水魚で、主に北太平洋の沿岸域に分布する[1]。所属する23種のうち、18種は北アメリカ北西部の太平洋岸に、4種は日本・朝鮮半島など太平洋北東部の沿岸に生息する[1]。淡水産種として1種(Hysterocarpus traskii)のみが、カリフォルニア州の水系から知られている[1]。 本科の仲間は藻場・岩礁・潮間帯やタイドプールなど、沿岸の浅い海に多くみられる[2]。海底の底生生物、あるいは海藻に付着した無脊椎動物を捕食する食性が一般的だが、動物プランクトン食に特化した種類も知られている[2]。 ウミタナゴ類はベラ亜目の仲間としては唯一、卵胎生の繁殖様式をもつことで知られている[1]。雄は厚く発達した臀鰭の先端部を用いて雌と交尾し、体内受精を行う[1]。孵化した仔魚は雌の体内である程度成長してから産出され、一部の種類の雄ではすでに性成熟に達していることさえある[2]。 形態ウミタナゴ科の仲間は左右に平たく側扁した、いわゆる鯛型の体型をもつ[3]。多くは全長20-30cm程度に成長する小・中型の魚類で、最大種Rubberlip seaperch(Rhacochilus toxotes)では45cmに達する[4]。側線は体側の高い位置を走行し、よく発達するが尾鰭には達しない[1]。鱗は円鱗で、側線鱗は35-75枚[1]。 背鰭は1つで、通常は6-11本の棘条と9-28本の軟条で構成されるが、Hysterocarpus 属のみ15-19本の棘条をもつ[1]。臀鰭は3棘15-35軟条で、尾鰭は二又に分かれる[1]。 分類ウミタナゴ科にはNelson(2006)の体系において13属23種が認められている[1]。本稿では、FishBaseに記載される13属26種(2亜種を含む)についてリストする[4]。 日本や朝鮮半島の沿岸に広く分布するウミタナゴ Ditrema temmincki には体色の異なる亜型が存在し、従来は一つの種の中での色彩変異と考えられていた[3]。形態学的研究に基づく再検討の結果、「ウミタナゴ」には実際には複数種が含まれることが明らかとなり、赤味がかったタイプはアカタナゴ D. jordani に同定され、銀色タイプは新亜種マタナゴ D. t. pacificum として記載された[5]。
出典・脚注
参考文献
外部リンク
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