ウイニングイレブンシリーズ
ウイニングイレブンシリーズ(Winning Eleven)は、コナミデジタルエンタテインメント(以下KDE-J)並びにコナミアミューズメントから発売されていた、ビデオゲームのサッカーゲームシリーズ作品。略称は『ウイイレ』[1][2][3]。 開発はKDE-J・ウイニングイレブンプロダクション[注釈 1]。かつてはコナミコンピュータエンタテインメント東京 開発7部、KCE東京 制作2部と呼ばれた部署が社内プロダクション制を敷いたことにより、現在のウイニングイレブンプロダクションとなる。 オフラインゲームとしてのウイニングイレブンシリーズとは別に、モードを限定したアイテム課金制の配信ゲーム『myClub(マイクラブ)』(2015 - 2016)、『Lite』(2017 - 2021)が存在し、仕様の異なったオンライン専用ゲームとなっていた。シリーズの累計本数は、2022年時点で1億1,250万本以上を達成している[4]。 概要1995年7月21日、PlayStation版としてシリーズ第1作の『Jリーグ実況ウイニングイレブン』が発売。続いて1996年3月15日に『ワールドサッカーウイニングイレブン』が登場してからは、世界のクラブチームと世界各国の代表チームを中心にプレイできる「ワールドサッカーウイニングイレブン」と、Jリーグや欧州、南米、Jリーグ等のクラブチームをプレイできる「Jリーグウイニングイレブン」との2種類が発売されていた。 PlayStation 3版『ワールドサッカーウイニングイレブン 2012』では、2012年3月1日よりダウンロードコンテンツ(DLC)としてJリーグクラブを使用可能とする「Jリーグパック」が配信されるようになり、それをもって「ワールドサッカー」版と「Jリーグ」版に分かれていたウイニングイレブンシリーズの事実上の統合がなされた[注釈 2]。『2015』以降の作品では、Jリーグのライセンスを失っておりDLCの配信も無くなった。2018年からコナミデジタルエンタテインメントが公益社団法人日本プロサッカーリーグのJリーグパートナー契約に復帰したことで、『ウイニングイレブン 2018』以降のスマートフォン版ウイニングイレブンシリーズに限り、Jリーグクラブチームのプレイが可能になった[5][6]。 初心者でも分かりやすい操作や、好きなクラブチームを自分で経営して最強のチームを目指すという「マスターリーグモード」で人気を博している。ほぼ年に一作のペースで新作が発売されており、「爽快感」を主眼に据え、様々なプレーを簡単に操作・再現することを目指している。 『ワールドサッカーウイニングイレブン5』から、「ワールドサッカーウイニングイレブン」シリーズのみ表紙ジャケットにイメージキャラクターを起用している(一部例外あり)。 メインシリーズではクロスプラットフォームを採用している。内容は全く同じではなく、機種ごとの独自要素も取り入れられている(Wii版のWiiリモコンを用いた操作など)。アーケード版の発売元は、コナミグループ再編に伴い、2016年11月1日付でコナミデジタルエンタテインメントからコナミアミューズメントへ変更された。 『ワールドサッカー ウイニングイレブン 2010』では通常のCS版に加え、スマートフォン向けアプリとしてiOS版を配信。リーグモードをメイン機能とした有料アプリとして『2012』まで配信されていたが、2015年6月には『UEFA Champions League ウイニングイレブン フリック[注釈 3]』『ウイニングイレブン クラブマネージャー』が、2017年5月24日からはmyClubモードをメイン機能としたスマートフォン版『ウイニングイレブン 2017[注釈 4]』がアイテム課金制の無料アプリとして配信されている。 2016年から、UEFAチャンピオンズリーグ公式のeスポーツ世界選手権大会として、当シリーズ作品を用いて勝敗を競う「PESリーグ」が開催されている。UEFAライセンス失効後の「ウイニングイレブン2019」以降も継続して「PESリーグ」は開催される。 2021年7月21日、同年9月30日にリリースの次回作以降のシリーズ名称を、国内・海外とも『eFootball』に改める事を発表した。基本プレイの無料化(アイテム課金制)、将来的にスマートフォンを含む全ての対応デバイス間での対戦、Unreal Engine 4をベースに開発した新エンジン採用など、全面的に刷新されている[7]。 作品一覧国内版海外版※ウイニングイレブンシリーズは、欧米やアジアおよび南米など日本国外でも発売されている。『ウイニングイレブン』の欧州版に限っては、「Pro Evolution Soccer(略称:PES)」という別タイトルで発売されており、PlayStationシリーズのみの展開である国内版と違い、国外版はXboxシリーズやMicrosoft Windows(Steam)でも発売されている。なお、2014年から2017年まで国外版はサッカー日本代表が偽名で収録されていたが、2018年以降は実名で収録されている。
キャスト
ライセンスシリーズの初期作品までは、ゲーム中のスタジアム・リーグ戦やカップ戦などの大会・クラブチーム・選手などの各名称、エンブレム・フラッグ・ユニフォームなどの各デザインがJFAやJリーグ関係のもの以外はほぼ全て架空の設定であった。 ただ、それは各クラブチームやサッカー協会から公式ライセンスを取得する事によって、シリーズを重ねるにつれて徐々に改善されて来た。2009から2018までUEFAのライセンスを収得していた[注釈 9]。しかし、現在でも取得済みの一部を除くナショナルチームや海外サッカーリーグのライセンスは取得できていない。特にプレミアリーグやリーガ・エスパニョーラのライセンスはクラブチームごとの契約である為、主要チーム(FCバルセロナ等)を除いては架空のチーム名を使わざるを得ない状況が続いている。また、FIFAの一括ライセンスもEAがFIFAとの独占契約を結んでいる為(FIFAシリーズ)に取得する事が不可能となった。「ワールドカップ」などの公式名称も現在は使用する事が出来ない。その為、各クラブチームやサッカー協会から取得したライセンス(JFA以外)はシリーズ毎にライセンスの新たな取得や更新、失効を余儀なくされる為に、それらを行う度に各名称や各デザインが実在のものに変更されたり、逆に架空のものに戻されたりを現在繰り返している状況である。つまり、シリーズによっては各名称や各デザインが実在のものであったり、架空のものであったりとする場合がある。 ゲーム中では実況のジョン・カビラが偽名で表記されたクラブチーム名・選手名を呼名する。こうした事に対してユーザーの不満は絶えない。しかし、ゲーム中ではクラブチームや選手名、選手の容姿なども設定・変更が出来る仕組みになっており、この機能を利用してユーザーはクラブチーム名、フラッグ、エンブレムデザイン、選手名、選手の容姿等の各データを各自で修正(実名化)する事が出来る[注釈 10]。ただし、修正した場合でも実況で呼ばれるチーム名は変化しない(実況音声の取り込みや2015以降は都市名の実況等で改善することは可能)[注釈 11]。また、選手によってはクラブチームでライセンスを取得しているがナショナルチームでは取得していない(またはその逆)ため、同じ能力を持ちながら双方で名前が異なっている選手もいる。 リーグライセンスが取れていないにもかかわらず選手は実名で収録されることについては、収録されているリーグの国が国際プロサッカー選手会(FIFPro)に加盟していることが関係している。FIFProに加盟している事で選手だけのライセンスを独自に取得し、実名でゲームに収録する事が可能となるのである[注釈 12]。しかし、近年の欧州主要リーグであるドイツはこれに加盟しておらず、チームを偽名で収録する権利を持っていないコナミはウイイレシリーズにブンデスリーガを収録出来ない。PS2時代のウイニングイレブン10までは収録されていたが、PS3を主とした作品以降はブンデスリーガのチームは一部しか登場しない。また、PESの広報をしていたアダム・バッティ氏は「無断でドイツのリーグを偽名で収録すると我々は(ドイツの選手会に)訴えられる[9]」と話している。なお、コナミは2017年に限定的なブンデスリーガのライセンスを取得したが、これが適用されているのは2019年以降の「ワールドサッカーコレクションS」のみである。 「ならばEAと契約していない契約可能なチーム全てと契約すればいいのでは?」といった声もあるが、各リーグには契約チーム数制限があり、プレミアリーグは2チームまで、ブンデスリーガは3チームまでの制限がある[注釈 13] 事が、PES欧州ブランドマネージャーのレナート・ボブジェン氏により語られている(2018年時点)[10][注釈 14]。 しかし、五大リーグのうち、セリエAとリーグ・アンはウイイレで実名で収録されている。また、リーグ・アンは下位リーグのリーグ・ドゥ共にフルライセンスであるが、セリエA・セリエBはリーグライセンスを取得してもクラブライセンスは付随しないようになっており、ウイイレ2021ではEAスポーツが「インテル」「ACミラン」の独占契約を行ったため偽名になり、セリエBも2020から継続して偽名となっている「ブレシア・カルチョ」が降格したためにフルライセンスではなくなった。また、セリエAに所属している「ユヴェントス」「ASローマ」はウイイレ2021において独占契約になり、2021年のサッカーゲームでユヴェントスとローマを唯一実名で使用できるゲームであった。 その他コナミのサッカーゲームは上記ウイニングイレブンシリーズの他に、任天堂ハードを中心に発売されていた下記「実況シリーズ」があった。これらはコナミコンピュータエンタテインメント大阪で開発されていた。
ウイニングイレブンシリーズも初期作品にはタイトルに「実況」という言葉を入れていたが、「実況シリーズ」と間違えやすいとの理由で、のちに「実況」をタイトルから外している。また、1998年2月26日には、セガサターン用ソフトとして『Jリーグ実況炎のストライカー』が発売された。こちらはコナミコンピュータエンタテインメント札幌(後のコナミコンピュータエンタテインメントスタジオ)で開発された。 脚注注釈
出典
関連項目
外部リンク
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