イラ
イラ (伊良[2]、苛魚、Choerodon azurio) は、スズキ目ベラ亜目ベラ科に属する魚の一種。 分布南日本[3](本州中部地方以南[4][5])、台湾[2][4]、朝鮮半島[4][5]、シナ海[1][5](東シナ海、南シナ海[4])に生息する。 形態全長約40[1][2][5]-45cm[3][4]。背鰭12棘(11-14棘[4])7軟条、臀鰭3棘10軟条[1]。体は楕円形でやや長く、側扁である[1][3]。また、イラ属はベラ科魚類の中では体高が高い[5]。額から上顎までの傾斜が急で、アマダイを寸詰まりにしたようである[2]。老成魚の雄は前額部が隆起・肥大し[1]、吻部の外郭は垂直に近くなる[4]。アマダイより鱗が大きい[2]。両顎歯は門歯状には癒合せず[4]、癒合し鋸歯縁のある隆起線をつくる[1]。しかしブダイ科魚類のように歯板を形成することはない[5]。前部に最低1対の大きな犬歯状の歯(後犬歯[1])がある[4]。側線は一続きで、緩やかにカーブする[4]。前鰓蓋骨の後縁は細かい鋸歯状となる[1]。尾鰭後縁はやや丸い[1]。 体色は紅褐色[1]から暗紅色で腹側は色が薄く[2]、尾鰭は濃い[2]。口唇は青色[1]で、鰭の端は青い。背鰭と腹鰭、臀鰭は黄色。背鰭棘部の中央から胸鰭基部にかけ、不明瞭で幅広い黒褐色の斜走帯が走る[1][2][3][5]。その帯の後ろを沿うように白色斜走帯(淡色域[3])がある[4][5]。幼魚にはこの斜走帯はない[4]。雌雄の体色や斑紋の差が大きい[5]。 生態沿岸のやや深い岩礁域[1][4][5]やその周りの砂礫底に見られ[2]、単独でいることが多い[2]。日本近海での産卵期は夏[2][4]。夜は岩陰や岩穴などに隠れて眠る[2][4][5]。 食性付着生物[2]や底生動物などを食べる肉食性[4]。これはイラ属の魚類に共通する[4]。 利用食用だが、肉は柔らかく[1][2]、うまく捌けば上品な白身だが、評価は普通[3]または不味[1][2][4]と分かれる。また水っぽいという意見もある[5]。他種と混獲される程度で漁獲量も少なく、あまり利用されない[2]。 刺身、煮つけ[2]などにされる。 名称由来和名の由来は以下の説がある。
地方名地域によって、いろいろな名前で呼ばれる。(以下、五十音順。カッコ内は呼ばれる地域、もしくは漢字表記。) 名前からテンスやアマダイ、ブダイ、カンダイと混同されていることがわかる。 アマ[1](和歌山県太地町)、アマダイ[1](甘鯛)、イザ(斑紋)、イソアマダイ[1](和歌山県)(磯甘鯛)、イダ、オキノアマダイ[2](沖甘鯛)カンダイ[1][2](東京)、カンノダイ[1]、クジ、ケサ(静岡県沼津)(袈裟)、コス、コンス、タツ(愛知県一色)、テス[1][2](和歌浦、鳥羽、高知)[5]、テスコベ[1](三重県尾鷲)、ナベ(鍋)、ナベワリ(鍋割)、ハト[1](福岡県志賀島)(鳩)、ハトノメ(愛知県熱田)(鳩の目)、バンド[1](愛媛県愛南町)、ブダイ(武鯛)、ベルト(愛媛県愛南町)、ホテイ(神奈川県江ノ島)(布袋)、モクズ[1](富山県)(藻屑)、モブシ[1](和歌山県雑賀崎)(藻伏魚)、モムシなど数多い。 脚注
出典
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