イエメンで鮭釣りを
『イエメンで鮭釣りを』(イエメンでさけつりを、Salmon Fishing in the Yemen )は、イギリスの作家ポール・トーディによる書簡体で書かれた風刺小説[1]。2007年、トーディが59歳の時に上梓した処女作で、イギリスでは40万部を超えるベストセラーとなった[2]。同年、コミカルな小説を対象としたボランジェ・エブリマン・ウッドハウス賞を受賞、翌2008年にはギャラクシー・ブリティッシュ・ブック賞の最優秀新人作家にノミネートされた。2012年に『砂漠でサーモン・フィッシング』のタイトルでユアン・マクレガー主演で映画化された。 物語は全て、主人公フレッドの日記、フレッドと妻メアリのメールのやり取り、ハリエットとマシューズの往復書簡、新聞・雑誌の記事、議会議事録、未刊行の自伝などの文書からの抜粋で構成されている。アンドリュー・マー、ボリス・ジョンソンといった実在する有名ジャーナリストも登場し、マーはオーディオ・ブック版で自分のパートを朗読した。 あらすじイギリスの国立水産研究所に勤めるアルフレッド・ジョーンズ博士の元に、イエメンの富豪シャイフ・ムハンマドの代理人からある依頼が入る。自身が休暇中にスコットランドで体験した鮭釣りを、ぜひ母国でもできるようにしてほしいという。しかし、言うまでもなくイエメンは砂漠国、鮭が生育する環境に適さないため不可能であると返事をするが、この「イエメン鮭プロジェクト」に中東の不穏な情勢から目を逸らさせる材料の一つとして、首相官邸が興味を示し、引き受けるよう圧力がかかる。 フレッドは国際銀行に勤めるキャリアウーマンの妻メアリとの関係が危機に面しており、何事にも実用主義のメアリは砂漠で鮭を釣るなどという荒唐無稽な計画を一笑に付し、自身のキャリアアップのためにジュネーブへ単身赴任してしまう。当初は到底無理だと端から諦めていたフレッドだったが、調査を進めていくうちに計画は現実味を帯びていく。 シャイフの代理人を務めるハリエットは、婚約者のマシューズ大尉のイラク派遣が決まり、しばらくは手紙でやり取りをしていたが、間もなく、音信不通になる。国の機関に問い合わせても軍の機密事項であるからと梨のつぶてだったが、ある夜、マシューズの友人を名乗る男が密かに接触してきて、マシューズの部隊がいてはならないはずのイランで行方不明になっていると聞かされる。 イエメン鮭プロジェクトにイギリス国民の税金が使われることに非難が集まることを想定した政府は、プロジェクトと距離を置くことを決めるが、間もなく、マシューズ大尉の部隊の問題がもたらされる。政府はイランでの非合法活動を認めるわけにはいかない。首相の広報担当補佐官ピーターは、少しでも目を逸らさせるために、再び鮭プロジェクトに食指を動かす。 登場人物
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