みずがめ座σ星 (みずがめざシグマせい、σ Aquarii、σ Aqr)は、みずがめ座 の恒星 である。見かけの等級 は4.82と、肉眼 でもみることができる明るさである[ 1] 。年周視差 に基づいて太陽 からの距離を計算すると、およそ206光年 である[ 2] [ 注 1] 。
特徴
みずがめ座σ星は早期A型 の準巨星 で、スペクトル型 はA0 IVsと分類される[ 1] 。光度階級に添えられた“s”の文字は、スペクトル の吸収線が標準的な恒星に比べてとても細いことを表す[ 7] 。スカンジウム とストロンチウム の吸収線の強度比を根拠に、A型金属線星 に位置づけられているが、これには疑問符も付けられている[ 8] [ 9] 。金属元素は、マグネシウム 、アルミニウム 、ケイ素 、チタン 、バナジウム 、クロム 、鉄 、ニッケル 、ストロンチウム 、イットリウム 、ジルコニウム 、バリウム が太陽組成と比較して過剰である一方、ヘリウム 、スカンジウム は欠乏しており、カルシウム は太陽組成と同じくらいである[ 8] 。表面の有効温度 は約10125 K で、自転 速度は21 km/s以上と見積もられる[ 4] [ 5] 。
伴星
みずがめ座σ星は、ヒッパルコス衛星 の観測によって、北に3.7秒 離れた位置にある8等星 との二重星 であることが発見された[ 1] [ 3] 。ただし、この8等星とみずがめ座σ星は、見かけだけの関係であると考えられる[ 1] 。一方で、みずがめ座σ星の固有運動 の変化の周期を分析すると、およそ654日 という周期が導かれ、これを軌道周期 とする位置天文学 的連星 の可能性があるとされる[ 1] 。この軌道周期は、軌道長半径 にすると9ミリ秒に相当し、見かけ上の伴星とは一致しない[ 1] 。
みずがめ座σ星は、時々月 による掩蔽 が起こり、その際の光度変化 から見かけの大きさの推定や伴星の捜索が行われている[ 10] 。その結果、離角 およそ7ミリ秒でもう1つの恒星が存在する可能性が示された[ 10] 。また、みずがめ座σ星は分光連星 であるという報告がなされたことがあり、視線速度 の変化も検出されている[ 11] [ 12] 。分光連星とする根拠となる観測結果が明らかでなく、視線速度曲線も得られていないが、これらがいずれも共通の伴星の存在を示していることは考えられる[ 10] 。
名称
中国 ではみずがめ座σ星は、天の軍隊(羽林軍)の砦を表す壘壁陣 (拼音 : Lěi Bì Zhèn )という星官 を、やぎ座κ星 (英語版 ) 、ε星 、γ星 、δ星 、みずがめ座ι星 (英語版 ) 、λ星 、φ星 (英語版 ) 、うお座27番星 (英語版 ) 、29番星 (スウェーデン語版 ) 、33番星 (英語版 ) 、30番星 (英語版 ) と共に形成する[ 13] [ 14] [ 15] 。みずがめ座σ星自身は、壘壁陣六 (拼音 : Lěi Bì Zhèn liù )すなわち塁壁陣の6番星といわれる[ 15] 。
脚注
注釈
^ a b c パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
出典
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関連項目
外部リンク
座標 : 22h 30m 38.8214037672s , −10° 40′ 40.505006280″