ふれあいみちのく

国鉄12系客車 > ふれあいみちのく

ふれあいみちのくは、日本国有鉄道(国鉄)・東日本旅客鉄道(JR東日本)が1986年昭和61年)から2002年平成14年)まで保有していた鉄道車両客車)で、ジョイフルトレインと呼ばれる車両の一種である。

東北本線を走る「ふれあいみちのく」
「ふれあいみちのく」(1987年 盛岡駅)

概要

国鉄盛岡鉄道管理局(盛岡局)では、多様化する旅客の希望に対応するために、既存の客車を改造した和式客車を投入し、増収を図ることとなった。12系客車が種車とされた。

車両

展望車はスロフ12形800番台、中間車はオロ12形800番台となっている。土崎工場で3両、郡山工場で3両、計6両が改造された。各車の愛称は、東北地方の地名、景勝地を由来としている。全車両がグリーン車扱いである。

号車番号 1 2 3 4 5 6
旧車号 スハフ12 120 オハ12 332 オハ12 331 オハ12 318 オハ12 317 スハフ12 121
新車号 スロフ12 823 オロ12 845 オロ12 846 オロ12 847 オロ12 848 スロフ12 824
車体形状 洋風展望車 中間車 中間車 中間車 中間車 和風展望車
定員 24名 46名 46名 46名 46名 24名
愛称 八甲田 十和田 三陸 奥入瀬 岩手 八幡平
改造施工工場 土崎工場 郡山工場 郡山工場 郡山工場 土崎工場 土崎工場
改造年月日
(年.月.日)
1986.7.19 1986.7.9 1986.7.9 1986.7.9 1986.7.19 1986.7.19

車内外のデザイン

1・2・4号車の車内は明るい和風の室内、3・5・6号車は落ち着いた和風の室内とした。車外デザインは部内職員からの公募によるものである。

各車概説

共通装備

サービス設備の新設増加により、各車の消費電力が増加したため、床下にサービス電源トランスが増設されている。増設された配電盤は、添乗員室、または冷房配電盤に設けられている。インターホンやビデオ回路の引通しのため、電源回路、制御回路引通しの反対側のジャンパ連結器を利用している。

中間車

編成を組んだ場合の2 - 5号車として使用される。

前位側(トイレと反対側)出入り台を塞いだ上、湯茶器、ごみ箱、戸だなが設置された。同時に、前位側デッキと客室間の引き戸も撤去され、添乗員室、玄関開き戸、床の間が設置された。客室部分は24畳の総跳ね上げ式で、スタイロ畳が用いられている。 客室の後位側(トイレ側)にはステージが設けられ、物置棚や冷蔵ショーケースがある部位との仕切りとなっている。仕切りには玄関開き戸が設けられている。既存の後位側のデッキとの仕切戸は和風の引き戸に交換された。

展望車

スハフ12形の前位側(トイレ側)の車体を台枠を残して撤去の後に、前頭部(展望室)を設けたもので、展望部と客室は床の間で仕切られている。客室部分は、中間車と同一仕様となっている。展望室部分の窓は全て固定式となり、前頭部の窓は眺望を考慮して大型化されている。

洋風展望車

編成を組んだ場合、1号車として使用される。

座敷部分は12畳の総跳ね上げ式で、スタイロ畳が用いられている。 展望部分はじゅうたん、ソファ、シャンデリアなどが設置された洋風となっている。自動販売機が設置されている。

和風展望車

編成を組んだ場合、6号車として使用される。

座敷部分は12畳の総跳ね上げ式で、スタイロ畳が用いられている。 展望部分には、炉端、囲炉裏が設置され、天井の格子とともに、和風の落ち着いた雰囲気を演出している。

沿革

1986年昭和61年)8月23日、「盛鉄お座敷列車デビュー初乗り常磐ハワイの旅」による団体臨時列車で運行を開始した。

国鉄分割民営化によりJR東日本が承継した。2002年平成14年)5月11日および12日にさよなら運転[1]として臨時急行「惜別ふれあいみちのく」に使用されたのを最後に、同年11月に廃車となった。

脚注

  1. ^ 「JR年表」『JR気動車客車編成表 '03年版』ジェー・アール・アール、2003年7月1日、185頁。ISBN 4-88283-124-4 

参考文献