ならファミリー
ならファミリー(Nara Family)は、奈良県奈良市西大寺東町二丁目に立地する1972年に開業した日本初の2核型大型のショッピングセンターである。 概要核店舗として百貨店の近鉄百貨店奈良店とGMSのイオンスタイル奈良(旧・ジャスコ→イオン奈良店)が出店している他、約150の専門店や公共サービスセンター、秋篠音楽堂などの文化施設がある。また、3つの別館も存在し、駐車場近くの別館3号館には歯科診療所、クリニック、H.I.Sなどが入居している。(別館1号館には近鉄文化サロン奈良があり、2号館は加藤ビル) 略称はならファ。シルクロードの東の終着点であった平城京(平城宮跡の付近)に立地していることから、シンボルキャラクターはシルクロードを旅する「ポコラ」という名前のラクダとなっている。そのため、会員カードとして、らくだカードを発行している。 沿革開業ダイヤモンドシティ(現:イオンモール)により積極的に郊外型ショッピングセンターの建設を計画していたジャスコ(現:イオン)は、郊外立地の将来性を確信し、日本で初めてとなる2つの核店舗を持つ郊外型ショッピングセンターの計画を立てた。当時郊外立地の出店を考える百貨店は少なく消極的だったこともあり難航。しかしながら西大寺という立地に興味を抱いたのが近鉄百貨店であった。西大寺は親会社の近畿日本鉄道の路線が集中する要となる場所であり、西武百貨店が衛星都市の高槻に百貨店を出店する動きが出たり(現・高槻阪急)、ならファミリーの核店舗候補に阪急百貨店が興味を示すなど、ジャスコが他社資本と提携する可能性もあったことから、自社系列エリア内に他社店舗ができることを嫌ったことが理由とされる[4]。そのため、近鉄の資本参加を条件に出店を決定。1970年12月にダイヤモンドシティと近鉄百貨店との共同出資による「ダイヤモンドファミリー」を設立し、近鉄大和西大寺駅前に日本初の2核ショッピングセンター「奈良ファミリー」として1972年3月14日に開業した。オープンの時間には檜原近鉄百貨店副社長、岡田卓也ダイヤモンドファミリー社長らがテープカットを行い、近鉄百貨店吹奏楽団が演奏を行った[4][5]。 建物は地下1階、地上5階(一部2階)で、ジャスコ奈良店[※ 1]と近鉄百貨店奈良店、東宝文化センター(藤影きもの教室、若羽料理教室、カワイ音楽・体育教室、レディスアカデミーよみうり)の他に、100余りの専門店が入居していた。敷地面積は21,450m2で、延床面積は約41,600m2、駐車台数は600台であった[4][5][6]。
全面建て替えその後、立地する奈良市西大寺地区が奈良市副都心としてのターミナル化が進み、商圏環境が大きく変化したことや、消費者ニーズに応える核施設への改善のため、ダイヤモンドファミリーは1992年9月30日まで100m離れた駐車場に建設された仮施設に店舗を移し、全面建て替え工事に踏み切った。新店舗への総投資額は約400億円で、設計は東畑建築事務所[7]。また、総合元請は三菱商事大阪支社で、建築施工は清水建設・大日本土木・村本建設・三菱建設・三和JV、設備施工はきんでん・テクノ菱和・西原衛生工業所大阪店・三菱電機・日本オーチス・エレベータ[4][8][9]。 そして1992年11月14日、文化・情報・サービス施設を備えた多機能・複合型ショッピングセンター「ならファミリー」としてリニューアルオープンした。新店舗のイメージテーマは「シルクロードファンタジー」であり、新たにNTT・旅行サロンなどの生活情報機能施設、パスポートセンターなどの行政窓口が入居。ショッピングだけでなく文化・情報・サービス機能を備えるアメニティセンターを目指したものに生まれ変わった。ショッピングセンターで本格的な音楽設備を備えたのは、ならファミリーが初めてであった[4][8]。 なお、周辺に立地する奈良そごう(閉店後はイトーヨーカドー奈良店を経て、現在はミ・ナーラ)や中型ショッピングセンターの差別化を図るため、核テナントのひとつである近鉄百貨店のリニューアルは特にハイレベルなものになった。全面建て替えによってジャスコ直営面積が7,828m2から11,928m2に約1.5倍増なのに対して、近鉄百貨店は9,789m2から30,289m2への約3倍に増えた。店舗デザインのイメージはヨーロッパのリゾートホテルとし、近鉄アート館でのノウハウを活かして、新たに「秋篠音楽堂」や「近鉄奈良ホール」が設けられた[4][8]。そごうのからくり時計イッツ・ア・スモールワールドに対抗したと思われる、らくだオブジェのからくり人形、「ポコラ」を毎時稼働、奈良そごう美術館に対抗と思われる音楽堂と近鉄奈良ホール。数多いシースルーエレベーターなど、この差別化には奈良そごうへの対抗とも思われる点が多い。 全面改装2002年、近鉄百貨店奈良店は約2億2000万円を投じて2-6階の改装工事に着手。同年9月26日にリニューアルオープンした。 また同年11月には、消費者ニーズの変化に対応するため、ならファミリーも「未来型リージョナルショッピングセンターへの再構築」をテーマに店内の全面改装工事に着手した。その後第1期として12月6日に専門店フロア(2-4階、6階の一部)、翌年3月6日には第2期として専門店フロア(地下1階-1階、6階残り)、ジャスコ、近鉄百貨店(地下1-1階の一部)をリニューアルオープンした。ならファミリーの改装にはダイヤモンドシティ・キャラ(現:イオンモール川口前川)やダイヤモンドシティ・テラス(現:イオンモール伊丹)でのノウハウが生かされ、新たに500席あるフードコート「FOOD OASIS」が設けられたほか、ヤングカジュアルの強化が図られた[10]。
近鉄百貨店奈良店リニューアル ならファミリー第1期リニューアル ならファミリー第2期リニューアル その後イオン奈良登美ヶ丘ショッピングセンター(現:イオンモール奈良登美ヶ丘)やイオン高の原ショッピングセンター(現:イオンモール高の原)が開業したのに伴い、2007年3月15日に約2億円を投じて1階部分をリニューアルオープン。さらに、2007年5月26日には約1億円を投じて屋上を屋上庭園「スカイガーデン」(約4,000本のラベンダー、約680m2の菜園および野草畑、約900m2の芝生ゾーン、イベントステージ)に用途転換し、菜園の貸し出しを始めた[11][12][13][14]。 また、2009年3月20日にも2階と3階専門店街を中心にリニューアルオープンしている[15]。 なお、当初運営していたダイヤモンドファミリーは近畿日本鉄道の撤退によって2006年3月1日にダイヤモンドシティに吸収合併された後、ダイヤモンドシティも2007年8月21日イオンモールに吸収された。 また、2003年には土地・建物、借地権などが日本リテールファンド投資法人に339億円で譲渡されている。核テナントのジャスコも2011年3月1日に店名をイオンへ改め、それに際し店内や外壁の「JUSCO」のロゴが「ÆON」に変更された。 全面改装、新専門店街開業2016年4月、従来の郊外型商業施設から、都市型商業施設にも匹敵するハイクオリティ商業施設への転換を図り、約50億円を投じて館内の全面改装工事に着手。同年11月1日にリニューアルオープンした。奈良らしさを追求した「大和モダン」を改装後の環境コンセプトに掲げ、奈良の象徴「天平文化」の美を現代的に翻訳し表現した環境デザインへと刷新された。 リニューアルオープンに伴い、専門店ゾーンを拡大し、新専門店街「zoro」がオープンした。奈良県初出店のブランドのほか、ファッションテナントや大型生活雑貨テナントなど、新たに55店がオープンした。なお、専門店ゾーン拡大に伴い、中核テナントのイオンの売り場面積は縮小した。 中核テナントである近鉄百貨店奈良店とイオン奈良店もリニューアルを実施。近鉄百貨店奈良店は、奈良県初出店となる新規ブランドの導入と売場環境の刷新を実施。イオン奈良店は、売り場全体を全面改装し、「イオンスタイル奈良」としてリニューアルオープンした。 さらに、ロゴマークを旧来のものから刷新。開業以来の象徴としてきた「らくだ」のアイコンであるコブをグラフィックモチーフとして取り入れ、天平文化を思わせる毛筆パターンを盛り込んだデザインのロゴの使用が開始された。ロゴ表記も旧来の「NaRaFamily」から「narafamily」に改められた[16][17]。 フロア構成近鉄百貨店奈良店→詳細は「近鉄百貨店奈良店」を参照
地下1階-6階までの西側を占める。各フロアの一覧は次の通り。
イオンスタイル奈良地下1階-2階までの北側を占める。各フロアの一覧は次の通り。
zoro(専門店街)地下1階-6階までの東側と屋上を占める。各フロアの一覧は次の通り。
客層平日は周辺に公立高校や私立学園が密集している他近鉄大和西大寺駅に隣接しているため、主に高校生を中心とした学生層が多い。休日は自動車を利用して買い物に訪れる家族連れが大半。 競合店
平城宮跡を挟んで新大宮側にはミ・ナーラ(旧イトーヨーカドー奈良店・それ以前は奈良そごう)が位置する。また、大和西大寺駅より京都方面へ2駅行った所にある高の原駅前に、同じイオングループによるイオン高の原ショッピングセンター (現:イオンモール高の原)が2007年春に開業した。さらに、イオンモール大和郡山が2010年3月25日に開業した。 備考
脚注参照元
注釈関連項目外部リンク |
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