あなただけ今晩は
『あなただけ今晩は』(あなただけこんばんは、Irma la Douce)は、1963年のアメリカ合衆国の映画。 Alexandre Breffort、Marguerite Monnotによる同名ミュージカル(Irma La Douce)を基に、『アパートの鍵貸します』のスタッフ、キャストで作成された作品。 ストーリー舞台はパリ中央市場(レ・アール)の側の娼婦街カサノバ通り。警察は賄賂を取って見てみぬふりをして、手入れも形式的でヒモたちから賄賂をもらうのが常態だった。子犬を連れたイルマ・ラ・ドゥース(英語に訳せばIrma the Sweet)も娼婦のひとり。ヒモのヒポリートは腕っ節が強く、イルマにも暴力的。そこへ、正直で仕事に熱心すぎるネスター・パトゥー巡査が赴任してくる。 ネスターは勤務初日に娼婦たちが仕事場にしているホテル・カサノバに独断で手入れを行って多数の娼婦を連行するが、ホテルには上司が客として居合わせていた。クビになったネスターは、ビストロ「口ひげ」での喧嘩でヒポリートをやっつけて、イルマも彼にほれ込んだ。そうして思いがけずイルマのヒモに収まってしまう。ネスターはイルマに娼婦の仕事を続けさせたくないあまり、架空のイギリス富豪の客「X卿」をでっち上げ[1]、自ら扮装して大金500フランを払うことで、彼女が娼婦として客を取らなくてすむように画策する。だが、イルマの稼ぎ以外に収入源の無い彼はビストロのおやじ・ムスターシュに借りた500フランが返せず、イルマに隠れて市場で働く。イルマが眠っている間に抜け出して仕事に行っていることがバレ、浮気と誤解されて、彼女を怒らせてしまう。イルマがX卿に英国に連れていくように迫るにいたって、ネスターはX卿を葬り去ることにしたが、セーヌ川にX卿の服や傘を捨てたところをヒポリートに誤解され、殺人の容疑で15年間の投獄になってしまう。妊娠したイルマは娼婦の仕事を辞め、市場の会計の仕事についてネスターの帰りを待つ。ムスターシュの手引きで脱獄したネスターがイルマに会うと、「女の勘だけどあなたではなく、X卿の子どもだ」といわれる。警察がやってきて、何とか逃亡し、警官たちの目の前でセーヌ川からX卿の扮装で浮上してくることで、何とか警察を煙に巻く。 ネスターとイルマの結婚式の日、教会でイルマは産気づき、女の子を出産する。ネスターはX卿の失踪事件を何としても解明したい上司から、警官に復帰するように求められ、大団円となる。…しかし、ムスターシュは存在するはずのないX卿らしき人物が、最後に悠々と教会から出ていくのを見て、目を白黒させる。すっかりわけの分からなくなったムスターシュは口癖の「これは余談だが」といって映画を締めくくる。 キャスト
Blu-rayにはTBS版の日本語吹替音声を収録。 主な受賞歴アカデミー賞
ゴールデングローブ賞逸話当初の企画でワイルダーは、イルマ役にはマリリン・モンローを考えていたが、モンローが不慮の死を遂げてしまい、それは叶わなくなってしまった。ワイルダーは、『お熱いのがお好き』の撮影時におけるトラブルから一時期モンローと決別していたが、『アパートの鍵貸します』の記念披露宴で、和解していた。 三谷幸喜は本作をフェイバリットに挙げている。三谷は、本作が日本では劇場で拍手が起きた(ほどの人気があった)という旨をワイルダー本人に伝えたところ、「日本人は変わっている。私はあの映画は大嫌いだ」と返されたという[2]。 脚注
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