Opinion 2027とは、野生種とそれから派生した家畜種17種の保留名に関する動物命名法国際審議会 (ICZN, International Commission on Zoological Nomenclature) の意見書 (Opinion) である[1][注釈 1]。Opinion 2027 には Case 3010 と呼ばれる案件に対する返答と、それに続くコメントが含まれる[3]。
もし野生種とそこから派生した家畜種が同一種であるとみなされるとき、1つの学名が野生種にも家畜種にも当てられる。野生種がそれから派生したと考えられている家畜種より後に命名された場合は、先取権の原則に則って家畜種を指してた学名が野生種にも用いられることになる。それを防ぐために審議会による強権が発動され、この意見書に基づいて、新参シノニムである野生種を意図して与えられた学名を保留名として使用することが認められる。
該当種
家畜種の記載年の方が野生種の記載年より早い場合、本来は家畜種と野生種は同一であるため、先取権の原則により家畜種に名付けられた古い学名が優先されて有効名となるが、Opinion 2027 により野生種に対して名付けられた新しい学名を用いることができる。
本意見書の規定に該当するのは以下の17種である。ただし、ここに示されている野生種は現在では家畜種の直接の祖先種ではないと考えられている場合もある。
凡例
- 野生種(学名は保留名)
- それから分化した家畜種(学名は別種として扱うときのもの)
- クワコ Bombyx mandarina (Moore, 1872)
- カイコガ Bombyx mori (Linnaeus, 1758)
- ガウル Bos gaurus Smith, 1827
- ガヤル Bos frontalis Lambert, 1804
- ヤク Bos mutus Przewalski, 1883
- ヤク Bos grunniens Linnaeus, 1766
- オーロックス Bos primigenius Bojanus, 1827
- ウシ Bos taurus Linnaeus, 1758
- スイギュウ(アジアスイギュウ) Bubalus arnee (Kerr, 1792)
- スイギュウ Bubalus bubalis (Linnaeus, 1758)
- フタコブラクダ Camelus ferus Przewalski, 1878
- フタコブラクダ Camelus bactrianus Linnaeus, 1758
- オオカミ(タイリクオオカミ) Canis lupus Linnaeus, 1758
- イヌ Canis familiaris Linnaeus, 1758
- パサン Capra aegagrus Erxleben, 1777
- ヤギ Capra hircus Linnaeus, 1758
- ギベリオブナ Carassius gibelio (Bloch, 1782)
- キンギョ Carassius auratus (Linnaeus, 1758)
- パンパステンジクネズミ Cavia aperea Erxleben, 1777
- モルモット Cavia porcellus (Linnaeus, 1758)
- アフリカノロバ Equus africanus Heuglin & Fitzinger, 1866
- ロバ Equus asinus Linnaeus, 1758
- ノウマ Equus ferus Boddaert, 1785
- ウマ Equus caballus Linnaeus, 1758
- ヨーロッパヤマネコ Felis silvestris Schreber, 1777
- ネコ Felis catus Linnaeus, 1758
- グアナコ Lama guanicoe Müller, 1776
- リャマ Lama glama Linnaeus, 1758
- ヨーロッパケナガイタチ Mustela putorius Linnaeus, 1758
- フェレット Mustela furo Linnaeus, 1758
- ムフロン Ovis orientalis Gmelin, 1774
- ヒツジ Ovis aries Linnaeus, 1758
- ビクーニャ Vicugna vicugna (Molina, 1782)
- アルパカ Vicugna pacos (Linnaeus, 1758)
脚注
注釈
- ^ ある案件が個々の著作物や学名、命名法的行為のどれかへの本規約の適用方法にかかわる場合、審議会がその裁定を「意見書」の中で与える。
出典
参考文献
関連項目
- 国際動物命名規約 (International Code of Zoological Nomenclature, the Code)