INSEAD
INSEAD(インシアード)は、フランス・フォンテーヌブロー、シンガポール、アブダビに校地を置くビジネススクール。日本語直訳は「欧州経営大学院」。 MBAの他、EMBA(Executive MBA、エグゼクティブMBA)、EMCCC(Executive Master in Consulting and Coaching for Change)、学術博士(PhD)、MFIN(Master in Finance)などのプログラムを置く。 2022年現在、MBA課程には約70ヶ国から約1000名、博士課程には約30ヶ国から60名強の学生が在籍する[3]。 INSEADのMBAプログラムは世界的に極めて高い評価を受けている。Financial TimesのGlobal MBA rankingでは2000年以降、23年間連続で世界トップ10校入りを果たしており、2021年世界第1位、2022年世界第3位、2023年世界第2位、2024年は世界第2位にランキングされた。また、ビジネスウィークでは2022年欧州2位、QS Global 200 Business Schools Reportでは2022年世界ランキングで7位、FT500(時価総額ランキングトップ500社)CEO輩出者数ランキング(Financial Times紙、2017年)では、ハーバード・ビジネス・スクールに次いで世界第2位とされた[4]。2023年度に卒業するMBA生の卒業直後の総年収の中央値は、$198,363(2023年の年間平均米ドルTTB日本円換算で¥28,080,266)であった[5]。 略史INSEADの歴史はJean-Louis Barsoux著の"INSEAD: From Intuition to Institution"に詳しい[6]。
INSEADの歴代学長[6]
概要INSEADの主な特色として、1年制MBAプログラムであること、通常80か国以上から学生が集まっており言語・国籍の多様性があること、キャンパスがフランス・シンガポール・アブダビに分かれていること、コーチングに関するユニークなマスターコース(EMCCC)があること、等が挙げられる。また、バリュー・ステートメントの中でも言及されているとおり[7]、政府・大学・企業から独立した機関であることも特徴のひとつである。 なお、INSEADは企業求人データベースに関して、ハーバード・ビジネス・スクール、ケロッグ経営大学院、スタンフォード経営大学院と提携を結んでおり、これら4校の在学生・卒業生はお互いの求人データベースにアクセスができる[8]。2023年度に卒業するMBA生の卒業直後の総年収の中央値は、$198,363(2023年の年間平均米ドルTTB日本円換算で¥28,080,266)であった[5]。 校名INSEADという名称は「Institut Européen d'Administration des Affaires (European Institute of Business Administration)」の頭文字に由来しており、「欧州経営大学院」の意であった。しかしながら、アジアへの展開を始めとするグローバル化志向から、「欧州」という特定の地名を含んだ旧称は避けられるようになり、現在では「INSEAD」のみを正式名称として認めるに至っている[9]。 MBAプログラム概要INSEADのMBAプログラムは1年が5学期に分かれており、各学期2か月ずつ、正味10か月のプログラムである。授業は全て英語で行われる。入学時期が1月と8月にあり、修了時期はそれぞれ12月と7月である。1、2、3学期の一部で必修科目として、経営学の一般科目である会計学、金融・財務、経営戦略論、マーケティング論、統計学、経済学、オペレーション[要曖昧さ回避]、組織論、IT、国際関係論の基礎科目が提供され、3、4、5学期に選択科目としてそれら各分野の発展・応用講座が開かれる。また、入学時点で英語ともう1か国語(英語以外の母語でも可)の二言語に精通していること、さらに卒業時点までに、もう1か国語が基礎レベルに達することが要求される[10]。 入学者選考INSEADの選考過程は非常に厳しい。選考委員会(Admissions Committee)が出願者の言語・数学基礎能力(GMAT)、職務・職業履歴、国際経験、リーダーとしての素質、過去の学業成績等を考慮して出願者の合否を判断する。出願者はエッセイ、推薦状、GMAT得点、英語(TOEFL)ともう1か国語の語学能力証明書、過去に在籍した大学・大学院の成績表等を選考委員会に提出する。なお、2018年卒業予定の学生の平均GMAT得点は709点であった[11]。 選考委員会による一次書類審査を通過すると、世界中に散らばるINSEAD卒業生による個人面接が2回行われ、その結果と一次書類審査の評価を総合して委員会が合否を決定する。そのため、出願者は選考過程においてキャンパスを訪れる必要はない。 国際性INSEADの特色の1つがその国際性である。学校側が公式にも、「我々はフランスの学校でも、シンガポールの学校でもない。グローバル・スクールである」[12]と述べており、学生の出身国は80カ国以上におよぶ。ただし全学生が多言語話者であり多数が国境・文化を越えたバックグラウンドを持つため、単一出身国が定義しづらく、出身国の特定自体にあまり意味がない場合も多い。教授陣は30カ国あまりから140名強がフルタイムとして在籍している。また学校の特徴が現れている文化・現象であるが、学内においては、民族的なマジョリティ[要曖昧さ回避]・マイノリティ、国内学生・留学生といった概念がない。全員がマイノリティおよび留学生であるともいえる。2007年卒業予定のMBAプログラム学生の第一言語は、英語17%、フランス語13%、ヒンディー語8%、スペイン語6%、中国語(普通話)5%、ポルトガル語5%、ドイツ語5%、その他41%である[11]。 キャンパスINSEADのキャンパスはフランスのフォンテーヌブロー、シンガポール、およびアブダビにある。公式には、国名を避け「ヨーロッパ・キャンパス」、「アジア・キャンパス」のように呼ばれる。本校・分校の区別はなく、全てのキャンパスを合わせて1つのグローバルスクールであり、入学審査もキャンパスとは無関係に共通で行われる。学生は、入学時に最初の2学期を過ごす校舎を希望選択し、3学期から5学期まではまたそれぞれ学期ごとに希望するキャンパスに移ることができる。なお、2014年では7割の学生が1年の間に複数キャンパスに在籍をした[13]。また多くの教授陣も1年を通して両校舎を行き来する。キャンパス間で必修科目に差はないが、選択科目において多少の差があるため、学生は、授業・教授陣も考慮に入れて3-5学期の希望キャンパスを決める。 またペンシルベニア大学 ウォートン・スクールおよび、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院と提携しており、各校間での交換学生も在籍する[14]。学生によっては1年の間に3つのキャンパスを移動する者もいる。 卒業後コンサルスクールと称され、戦略コンサルティングを卒業後の進路として考える学生が非常に多く、卒業生のおよそ4割がコンサルに就職している。2021年卒業生(795名)の主な進路は、マッキンゼー・アンド・カンパニー179名、ベイン・アンド・カンパニー89名、ボストン・コンサルティング・グループ64名、Amazon.com28名、アクセンチュア19名、Kearney18名、Roland Berger11名、Strategy&11名、Shopee8名、デロイト6名、クレディ・スイス5名、Hilti Corporation5名、Eli Lilly and Company5名、Restaurant Brands International5名、Oliver Wyman4名、マイクロソフト4名であった[15]。 主な日本人卒業生→詳細は「INSEAD卒業生リスト」を参照
財界
政界学界
著名な教授
関係者
脚注注釈
出典
関連項目外部リンク
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