HD 152581は、へびつかい座にある橙色の準巨星または巨星である[2][7]。太陽系からは、およそ543光年の距離にあるとみられる[4]。その周囲で、1つの太陽系外惑星が発見されている[5]。
特徴
HD 152581の見かけの等級は8.4等で、肉眼ではみえない明るさである[3]。スペクトル型はK0で、この型にしては絶対等級が明るいので、主系列段階を過ぎ、準巨星か巨星に進化しているものとみられる[3][8][7][2]。当初は、太陽より低質量の恒星とみられていたので、主系列段階を終えたHD 152581の年齢は、120億年にもなると予想されたが、その後の分析では、太陽よりもやや質量が大きく、年齢も数十億年と推定されている[5][6]。半径は太陽の5倍程度、表面温度はおよそ5,000K、光度は太陽の15倍程度と推定される[6]。
惑星系
2011年、ケック天文台における高精度の視線速度法による観測で、下限質量が木星の1.5倍程度の惑星HD 152581 bが、HD 152581の周りを公転していることが発見された[5]。HD 152581 bは、中心星から1.7au程離れた位置を、およそ687日周期で公転しているとみられる[7]。
名称
2019年、世界中の全ての国または地域に1つの系外惑星系を命名する機会を提供する「IAU100 Name ExoWorldsプロジェクト」において、HD 152581とHD 152581 bはアゼルバイジャン共和国に割り当てられる系外惑星系となった[2]。このプロジェクトは、「国際天文学連合100周年事業」の一環として計画されたイベントの1つで、アゼルバイジャン国内での選考、国際天文学連合 (IAU) への提案を経て、太陽系外惑星とその母星に固有名が承認されるものであった[9]。2019年12月17日、IAUから最終結果が公表され、HD 152581はMahsati、HD 152581 bはGanjaと命名された[1]。Mahsatiは、アゼルバイジャンで最高の詩人の一人であり、ウマル・ハイヤームやニザーミーともつながりがあったとされるマフサティーが由来[1]。Ganjaは、そのマヒサティやニザーミーなど多くの著名人が輩出し、古代アゼルバイジャンの中心地で、アゼルバイジャン民主共和国の最初の首都でもあった、古都ギャンジャに由来する[1]。
脚注
注釈
- ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
- ^ 出典での表記は、
出典
- ^ a b c d “Approved names”. NameExoWorlds. IAU. 2019年12月24日閲覧。
- ^ a b c d “List of stars and planets”. Name ExoWorlds. IAU. 2019年7月11日閲覧。
- ^ a b c d e f ESA (1997), The HIPPARCOS and TYCHO catalogues. Astrometric and photometric star catalogues derived from the ESA HIPPARCOS Space Astrometry Mission, ESA SP Series, 1200, Noordwijk, Netherlands: ESA Publications Division, Bibcode: 1997ESASP1200.....E, ISBN 9290923997
- ^ a b c d e f g h “HD 152581 -- Star”. SIMBAD. CDS. 2019年7月12日閲覧。
- ^ a b c d Johnson, John Asher; et al. (2011-12), “Retired A Stars and Their Companions. VII. 18 New Jovian Planets”, Astrophysical Journal Supplement 197 (2): 26, Bibcode: 2011ApJS..197...26J, doi:10.1088/0067-0049/197/2/26
- ^ a b c d e f g h i j Brewer, John M.; et al. (2016-08), “Spectral Properties of Cool Stars: Extended Abundance Analysis of 1,617 Planet-search Stars”, Astrophysical Journal Supplement Series 225 (2): 32, Bibcode: 2016ApJS..225...32B, doi:10.3847/0067-0049/225/2/32
- ^ a b c d Luhn, Jacob K.; et al. (2019-04), “Retired A Stars and Their Companions. VIII. 15 New Planetary Signals around Subgiants and Transit Parameters for California Planet Search Planets with Subgiant Hosts”, Astronomical Journal 157 (4): 149, arXiv:1811.03043, Bibcode: 2019AJ....157..149L, doi:10.3847/1538-3881/aaf5d0
- ^ Isaacson, Howard; Fischer, Debra (2010-12), “Chromospheric Activity and Jitter Measurements for 2630 Stars on the California Planet Search”, Astrophysical Journal 725 (1): 875-885, Bibcode: 2010ApJ...725..875I, doi:10.1088/0004-637X/725/1/875
- ^ “Methodology”. Name ExoWorlds. IAU. 2019年7月11日閲覧。
関連項目
外部リンク
座標: 16h 53m 43.5825748619s, +11° 58′ 25.491915200″