ESO 439-26

ESO 439-26
仮符号・別名	WD 1136-286
星座	うみへび座[1]
見かけの等級 (mv)	20.52[2]
位置 元期:J2000.0
赤経 (RA, α)	11^h 39^m 03.1036679378^s[3]
赤緯 (Dec, δ)	−28° 52′ 16.627821186″[3]
固有運動 (μ)	赤経: -397.560 ミリ秒/年[3] 赤緯: 36.758 ミリ秒/年[3]
年周視差 (π)	24.5 ± 1.0ミリ秒[4] （誤差4.1%）
距離	133 ± 5 光年[注 1] （41 ± 2 パーセク[注 1]）
絶対等級 (MV)	17.47[5]
ESO 439-26の位置（丸印）
物理的性質
半径	0.61 R⊕[6]
質量	1.19 ± 0.02 M☉[4]
表面重力	1.1 ×10^6 G[4][注 2]
光度	1.15 ×10^−5 L☉[4]
表面温度	4,490 ± 80 K[4]
色指数 (B-V)	1.03[4]
色指数 (V-R)	0.64[4]
色指数 (V-I)	1.14[4]
他のカタログでの名称
Ruiz 439-26, WD 1136-285[3]
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ESO 439-26またはWD 1136-286は、うみへび座にある白色矮星である[3][1]。発見された当時、既知の白色矮星の中で最も低光度のものであった[1]。

発見

1988年、ヨーロッパ南天天文台（ESO）の赤色掃天観測[注 3]の写真乾板を用いて、太陽系近傍の褐色矮星やコンパクト星を探す計画の中で、非常に暗い白色矮星ESO 439-26の存在が報告された[7][8]。当初は、年周視差の不定性が大きく、この白色矮星の真の暗さも不確定であった。その後の追観測によって、ESO 439-26の距離や絶対等級について、ある程度信頼できる数値が求められ、ESO 439-26が異常に光度の低い白色矮星であることが明らかになった[2]。ESO 439-26という名称は、ESO赤色掃天観測の写真乾板の中で、439番の天域にある恒星の中で、26番という識別番号が付いた星であることを意味する[8]。その後、白色矮星カタログにも収録され、WD 1136-286というカタログ名も付けられた[3]。

特徴

大きさの比較

地球	ESO 439-26

ESO 439-26の絶対等級は17.5と推定され、光度にすると太陽の10万分の1である[5][4]。これは、銀河系の円盤を構成する天体の観測から予測した、白色矮星の光度関数（英語版）の下限よりも、1等級以上暗いというものであった[2]。これだけ光度が低いということは、ESO 439-26は最も低温の白色矮星である可能性も予想されたが、分析の結果、ESO 439-26の表面温度は約4,500Kと推定され、既知の白色矮星で最も低温のものよりも、およそ1,000K高いとわかった[2][4][1]。故に、ESO 439-26が暗いのは、低温である以上に質量が大きいために、強力な重力によって白色矮星の半径が小さくなったからであると考えられる[2][1]。ESO 439-26は、質量が太陽の1.2倍、重力加速度は地球表面の1万倍、半径が3,900km程度とみられる[4][6]。

ESO 439-26表面の大気は、ほぼヘリウムに占められている[2]。ESO 439-26の年齢は、推定方法によってばらつきがあり、質量を基に恒星の進化理論から推定したものがおよそ64億年、表面温度から白色矮星の冷却時間によって推定したものは、用いる理論によっておよそ96億年、65億年、50億年と幅がある[2][6][4]。

脚注

注釈

1. ^ パーセクは1 ÷ 年周視差（秒）より計算、光年は1÷年周視差（秒）×3.2615638より計算
2. 出典での表記は、${\displaystyle \log g[{\mbox{cgs}}]=9.02}$
3. ESOの赤色掃天観測（ESO R survey）は、IIIaFの写真乾板とRG630フィルターの組み合わせで行われた。RG630は、カットオフ波長が630nmでそれより長波長の光を透過するフィルター。

出典

1. ^ Kaler, James B. (2006-05-07), The Hundred Greatest Stars, Springer Science & Business Media, pp. 74-75, ISBN 9780387216256 
2. ^ Ruiz, María Teresa; et al. (1995-12), “The Extremely Low Luminosity White Dwarf ESO 439-26”, Astrophysical Journal Letters 455: L159-L162, Bibcode: 1995ApJ...455L.159R, doi:10.1086/309845 
3. ^ “Ruiz 439-26 -- White Dwarf”. SIMBAD. CDS. 2020年1月3日閲覧。
4. ^ Bergeron, P.; Leggett, S. K.; Ruiz, María Teresa (2001-04), “Photometric and Spectroscopic Analysis of Cool White Dwarfs with Trigonometric Parallax Measurements”, Astrophysical Journal Supplement Series 133 (2): 413-449, Bibcode: 2001ApJS..133..413B, doi:10.1086/320356 
5. ^ Ruiz, María Teresa; Takamiya, Marianne Y. (1995-06), “Spectroscopic Follow-Up of Large Proper-Motion Stars in ESO Areas 207, 439, and 440”, Astronomical Journal 109: 2817-2820, Bibcode: 1995AJ....109.2817R, doi:10.1086/117488 
6. ^ Freese, Katherine; Krasteva, Eleonora (1999-03-15), “A bound on the flux of magnetic monopoles from catalysis of nucleon decay in white dwarfs”, Physical Review D 59 (6): 063007, arXiv:arXiv:astro-ph/9804148, Bibcode: 1999PhRvD..59f3007F, doi:10.1103/PhysRevD.59.063007 
7. Ruiz, María Teresa; Anguita, Claudio; Maza, Jose (1989), Wegner, G., ed., “Observations of Cold Degenerate Stars”, Proceedings of IAU Colloquium (Springer-Verlag) 114: 122, Bibcode: 1989LNP...328..122R, doi:10.1007/3-540-51031-1_301, ISBN 0-387-51031-1 
8. ^ Ruiz, María Teresa; et al. (1988-09), “Search for faint nearby stars”, Messenger 53: 36-39, Bibcode: 1988Msngr..53...36R 

関連項目

• 白色矮星の一覧
• うみへび座の恒星の一覧

外部リンク

• Crosswell, Ken (1995年5月13日). “Faded old star puts years on Galaxy”. NewScientist. 2020年1月3日閲覧。
• “The Faintest Known White Dwarf”. NOAO (1996年3月1日). 2020年1月3日閲覧。

座標: 11^h 39^m 03.1036679378^s, −28° 52′ 16.627821186″