EE-9 カスカベル(ポルトガル語: EE-9 Cascavel、ガラガラヘビ)は、1970年代にブラジルのEngesa社が設計開発した、6輪式の偵察・火力支援用の装輪装甲車である。
概要
EE-9の派生型で最も多数が生産されたカスカベル Mk.IIIは、Engesa社製の砲塔にベルギーのコッカリル Mk.3 90mm低圧砲をライセンス生産したものを搭載している。
EE-9は民生用の部品を多用しているのが特徴であり、EE-9のコンポーネントの多くは、派生型であるEE-11 ウルツ装甲兵員輸送車にも流用されている。
EE-9はラテンアメリカや中東、アフリカの第三世界諸国に広く輸出されている。イラン・イラク戦争においてはイランとイラクの双方がこれを購入・使用したほか、イラクは湾岸戦争においても使用している。イラクではまた、チェコスロバキアから輸入したOT-62装軌式装甲兵員輸送車にEE-9の90mm砲塔を搭載した改造車両を使用した。ほかにも、コロンビア軍がコロンビア革命軍(FARC)を筆頭とする左翼ゲリラ組織の掃討作戦に使用し、コロンビア最高裁占拠事件では人質を取って立てこもる武装勢力の排除に使用されるなど、それなりの実戦経験を有している。
派生型
- カスカベル Mk.I
- 初期型。M8 グレイハウンド装甲車の砲塔と主砲を搭載している。
- カスカベル Mk.II
- 砲塔をフランスのパナール社製H 90[1]に換装し、主砲もフランス製DEFA D921 90mm砲を搭載している。
- カスカベル Mk.III
- 砲塔をEngesa社製のものに換装し、主砲にコッカリル Mk.3 90mm低圧砲をEngesa社でライセンス生産した砲を搭載している。
- カスカベル Mk.IV
- エンジンとトランスミッションを新型に換装し、ランフラットタイヤを装備。また、砲塔には昼夜兼用の光学照準器とレーザーレンジファインダーを装備。
- カスカベル Mk.V
- Engesa社が開発した最後のカスカベルの改良型。エンジンをメルセデス・ベンツ社製OM52A ディーゼルエンジン(190馬力)に換装。
- カスカベル Mk.VI
- カスカベル Mk.Vのエンジンをメルセデス・ベンツ社製OM352A ディーゼルエンジンに換装。
- カスカベル Mk.VII
- カスカベル Mk.IVとカスカベル Mk.Vのギアボックスを換装。
運用国
脚注
- ^ AML 90に装備されているものと同型
- ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 81. ISBN 978-1-032-50895-5
関連項目
外部リンク