Dream Horses 2000

Dream Horses 2000」(ドリームホース2000)とは、日本中央競馬会(JRA)が2000年に実施したキャンペーンの名称である。

概要

2000年という節目の年にあたりJRAが企画した文化的イベント。20世紀の競馬を21世紀に伝えていこうと、1年間にわたりキャンペーンを展開した。

第1弾として競馬ファンによる「20世紀の名馬大投票」を実施し、投票結果の上位100頭を「20世紀の名馬100」として発表した。第2弾「ありがとう20世紀名馬キャンペーン」では、第1弾の投票結果にちなんだ懸賞付きのクイズを実施するとともに中央競馬における20世紀最後のレース名の公募が行われた。JRAの各競馬場や施設ではキャンペーンに関連するイベントが随時行われ、キャンペーンユニットとして女性3人組の「Turf Dreamers」(ターフドリーマーズ)が結成され活動した。

なお、JRA創設50周年だった2004年には同様のキャンペーンは行われていないが、毎週過去の名馬の馬名を取ったメモリアルレースを開催した他、2010年GIレースが行われた競馬場のその日の最終レースで実施された「JRAプレミアム」競走では、そのGIに関係した歴代優勝馬を冠としたメモリアルレース[1]が行われた。

20世紀の名馬大投票

投票期間

  • 2000年4月8日〜7月31日[2]

投票方法

JRAの各競馬場ウインズなどの施設のほか、日本全国各地の「街かど応援団」(公募と選考により選ばれた、飲食店など)[3]に備え付けられた投票用紙、または官製はがきによる投票。インターネットによる投票は最初から設けなかった。

投票頭数

1度の投票で1人3頭まで選出可能。ただし、同一人物による同一馬への複数投票は不可。

投票対象馬

20世紀に中央競馬および地方競馬のレースで走ったことがあるすべての日本競走馬性別、種別(サラブレッドアングロアラブ、ばん馬など)、所属、現役・引退、産地は問わない。ただし、外国馬(日本国外の調教師の管理馬:例ホーリックストリプティクなど)は対象外とされた。

投票結果

2000年9月3日発表[4]。投票人数は210,940名[5]、投票総数は548,845票[2]だった。

以下に「20世紀の名馬100」として発表された上位100頭を列記する。投票期間中に現役だった競走馬は太字で示す。

  1. ナリタブライアン…37,798票
  2. スペシャルウィーク…31,061票
  3. オグリキャップ…27,866票
  4. サイレンススズカ…25,110票
  5. トウカイテイオー…24,782票
  6. シンボリルドルフ…22,521票
  7. シンザン…17,159票
  8. ハイセイコー…15,302票
  9. エアグルーヴ…14,182票
  10. エルコンドルパサー…13,667票
  11. ライスシャワー…13,442票
  12. メジロマックイーン…13,419票
  13. グラスワンダー…12,975票
  14. テンポイント…12,138票
  15. マヤノトップガン…12,076票
  16. タイキシャトル…8,312票
  17. ミホノブルボン…7,474票
  18. ミスターシービー…7,271票
  19. メジロドーベル…6,739票
  20. ビワハヤヒデ…6,292票
  21. ヒシアマゾン…6,257票
  22. トウショウボーイ…6,244票
  23. サクラローレル…5,377票
  24. タマモクロス…5,282票
  25. ホクトベガ…5,004票
  26. グリーングラス…4,657票
  27. テイエムオペラオー…3,913票
  28. サニーブライアン…3,631票
  29. タケホープ…3,128票
  30. セイウンスカイ…3,080票
  31. ダンスインザダーク…3,062票
  32. マルゼンスキー…2,964票
  33. スピードシンボリ…2,865票
  34. ステイゴールド…2,639票
  35. ノースフライト…2,521票
  36. カブラヤオー…2,392票
  37. メジロパーマー…2,322票
  38. ベガ…2,243票
  39. タケシバオー…2,149票
  40. アドマイヤベガ…2,089票
  41. トウメイ…2,054票
  42. メジロブライト…2,050票
  43. ナリタトップロード…2,040票
  44. トキノミノル…1,898票
  45. ウイニングチケット…1,893票
  46. スーパークリーク…1,890票
  47. バブルガムフェロー…1,863票
  48. イナリワン…1,829票
  49. フサイチコンコルド…1,784票
  50. シルクジャスティス…1,780票
  51. メジロライアン…1,758票
  52. フジキセキ…1,742票
  53. メジロラモーヌ…1,732票
  54. メイセイオペラ…1,706票
  55. ジェニュイン…1,646票
  56. タニノムーティエ…1,643票
  57. エリモジョージ…1,546票
  58. ダンスパートナー…1,538票
  59. ファビラスラフイン…1,490票
  60. キョウエイマーチ…1,486票
  61. トロットサンダー…1,469票
  62. カツラノハイセイコ…1,417票
  63. ヒカルイマイ…1,408票
  64. テスコガビー…1,400票
  65. サクラスターオー…1,390票
  66. カツラギエース…1,336票
  67. ヤマニンゼファー…1,323票
  68. アイネスフウジン…1,310票
  69. キーストン…1,264票
  70. サッカーボーイ…1,240票
  71. ナイスネイチャ…1,193票
  72. エアジハード…1,191票
  73. ダイタクヘリオス…1,190票
  74. サクラバクシンオー…1,183票
  75. タイキブリザード…1,152票
  76. サクラチトセオー…1,114票
  77. マーベラスサンデー…1,082票
  78. キタノカチドキ…1,058票
  79. マチカネフクキタル…1,056票
  80. タニノチカラ…1,037票
  81. ヤエノムテキ…1,011票
  82. コダマ…989票
  83. アカネテンリュウ…975票
  84. クリフジ…950票
  85. ファレノプシス…935票
  86. ダイユウサク…932票
  87. ミホシンザン…880票
  88. オフサイドトラップ…863票
  89. ナリタタイシン…857票
  90. レガシーワールド…849票
  91. ツインターボ…848票
  92. カブトシロー…835票
  93. ウメノファイバー…801票
  94. マサラッキ…696票
  95. ニホンピロウイナー…681票
  96. フラワーパーク…673票
  97. セントライト…657票
  98. ネーハイシーザー…647票
  99. メイズイ…636票
  100. ニシノフラワー…594票

優駿』2000年10月号には982位タイまでの馬名と100位までについての投票者の世代別・性別の得票状況が掲載されている。

本投票で1位に選ばれたナリタブライアンの関係者に対しては表彰が行われた[6]

関連データ

性別

  • 牡馬…82頭
  • 牝馬…17頭
  • 騸馬…1頭

所属

  • 関東馬…42頭
  • 関西馬…56頭
  • 地方競馬所属馬…2頭

最終的には上山競馬場所属のツインターボは主に中央競馬(関東所属)で活躍した。もう1頭はメイセイオペラ(岩手)。中央競馬在籍前に地方競馬に所属していた馬も4頭いる。

種別

JRA賞受賞別

※投票結果の欄で太字の競走馬については投票終了後の成績も加味。

  • 年度代表馬…27頭
  • 最優秀2歳馬(旧最優秀3歳馬)…17頭
  • 最優秀3歳馬(旧最優秀4歳馬)…34頭
  • 最優秀4歳以上古馬(旧最優秀5歳以上古馬)…27頭
  • 最優秀父内国産馬…12頭
  • 最優秀短距離馬…10頭
  • 最優秀ダートホース…1頭
  • その他(特別賞など)…9頭
  • 顕彰馬…16頭

勝利GIレース別

※投票結果の欄で太字の競走馬については投票終了後の成績も加味。 ※GI昇格後の年度に限定。競走名は旧名時代のものも含める。

評価

投票結果からも分かるように、比較的最近活躍した馬がノミネートされた。投票の主体は若年層が中心で、勝馬投票券の購入を禁じられている20歳未満からの投票も少なからずあった[5]。往年の名馬であっても、その活躍をリアルタイムでは知らない若年層や競馬歴の浅いファンからの投票は伸びずに圏外となったケースがある。また、107位タイ[7]シーキングザパールのように海外GI制覇を果たしながら圏外の馬もおり(日本の馬としては初の快挙だったが、その1週後のタイキシャトルの制覇が大きく取り上げられた)、よしだみほが自著で投票結果に疑問を呈するなど、競馬関係者の一部からは批判もある。

さまざまなチャンピオンロードが確立されている現在、何をもって名馬とするかはさまざまな意見があり、このキャンペーンの結果もひとつの基準に過ぎないが、最近の馬に偏りすぎという意見もある。ほぼ同じ時期に行われた雑誌『Sports Graphic Number』での回答者が競馬関係者中心の「20世紀の名馬アンケート」で1位に選ばれたのはシンザンであった。

この企画をきっかけにさまざまな競馬メディアでもオリジナルの100名馬などが生まれている。このうち週刊Gallop編集部による『週刊100名馬』は2002年度のJRA賞馬事文化賞を受賞した。

関連商品

本投票で100位までに選ばれた競走馬のレース映像を収めた『20世紀の名馬100』がポニーキャニオンからVHSとDVDで発売された(全10巻)。

20世紀の最終レース名募集

脚注

  1. ^ 原則として事前にインターネットによるアンケートを行い、それを参考に決定したが、有馬記念についてはこの年の夏にオグリキャップが死去したため、アンケートをしないでオグリキャップメモリアルを開催した
  2. ^ a b 『優駿』2000年10月号、p.8-9
  3. ^ 『優駿』2000年2月号、p.46
  4. ^ ビデオギャラリー JRAヒストリー(JRAホームページ)
  5. ^ a b 『優駿』2000年10月号、p.120
  6. ^ ナリタブライアン関係者表彰セレモニー競馬ニホン、2000年11月5日)
  7. ^ 『優駿』2000年10月号、p.117

関連項目