600万ドルの男
『600万ドルの男』(ろっぴゃくまんドルのおとこ、The Six Million Dollar Man)は、1973年から1978年までアメリカ合衆国のABCネットワークで放送されたテレビドラマシリーズで、3本のパイロット版と、5シーズン108話が制作された。 日本での放送日本ではNET(現テレビ朝日)系列で、1974年7月20日「土曜映画劇場」でパイロット版「サイボーグ大作戦」放映、同年7月25日〜同年12月26日に『サイボーグ危機一髪』のタイトルで続きの23話が、1975年7月8日〜同年9月23日に『600万ドルの男』とタイトルを変更して残りの9話が放映された。その後、関東地区ではテレビ朝日で1978年8月27日〜同年9月24日及び1979年5月13日〜1980年1月13日に、再放送と共に26話分の新エピソードが放映された。 日本における放送時間いずれもNET、テレビ朝日系列での放送。
系列外では、北日本放送(日本テレビ系列)が木曜 16:00 - 16:55に放送していた[3]。 ストーリー元NASAの宇宙飛行士で、月に行ったこともあるスティーブ・オースティン大佐は、リフティングボディ型実験機の滑空テスト中に事故にあい、命は取り留めたものの、左目失明、右腕・両足不随となる重傷を負った。NASAのメディカルスタッフによって失われた人体を補完強化する改造手術を受けてバイオニック・マン(サイボーグ)となった彼は、その強化された力を使い、政府の秘密情報機関・OSI(Office of Scientific Intelligence―科学情報部)のエージェントとして活躍することとなった。この改造手術の費用に600万ドル(放映開始当時の日本円で約18億円)かかったというのが番組タイトルの由来である。 オープニング番組のオープニングでは毎回、オースティンが事故に遭遇しサイボーグに改造された経緯を紹介する映像が流れるが、この事故の映像は、実在する実験機の飛行中の事故のものである。 1967年5月10日、NASAによるM2-F2実験機の滑降飛行試験中に発生した事故で、パイロットはブルース・A・ピーターソンであった。その時の交信会話と事故映像をオープニングに使っている。ピーターソンは現実に生死の境を彷徨い、九死に一生を得たが右目を失明し、パイロットとしての復帰はできなかった。現実ではサイボーグではなく、航空エンジニアとして活躍したという。なお、劇中では実験機の名称として、同時代の別のリフティングボディ型実験機のものであるHL-10(en:Northrop HL-10)が使われたり、後のリメイク作では小説作品に合わせ架空機M3-F5としたりしている(詳細は当記事英語版を参照のこと)。 オープニングのバックで流れるテーマ曲は、「ブルースの真実」が有名なサックス奏者兼作編曲家の、オリヴァー・ネルソンの作曲。日本では近年、ジョン・グレゴリーによるカバー演奏版が「時空警察」のテーマ曲としても使用された。 サイボーグ化された身体
本人の心臓は、右腕、両足に血液を供給する必要がないため、100km/hで走っても心拍数は平常時と変わらない。義手・義足の動力源は原子力電池。 シリーズ化の経緯1973年、映画「宇宙からの脱出」の原作を書いたことでも知られる作家、マーティン・ケイディンが、小説『サイボーグ ("Cyborg")』を発表。これを原作として、同年、90分枠のテレビ映画「サイボーグ大作戦 ("The Six Million Dollar Man")」が制作された。スティーブ・オースティン(リー・メジャース)が事故に合い、サイボーグ化されて、特殊任務に就くようになるまでが描かれている。スティーブの上司となるのは、OSO(Office of Strategic Operations)のオリバー・スペンサーで、「事件記者コルチャック」で主演したダーレン・マクギャヴィンが演じている。また、スティーブにサイボーグ化手術を施すルディ・ウェルズ博士役は、マーティン・バルサムだった。 「サイボーグ大作戦」が好評だったため、直ちに続編の「ミサイル大爆発! 核兵器売ります ("Wine,Women and War")」が作られた。このとき、スティーブの上司が、ケイディンの原作に登場したオスカー・ゴールドマン(リチャード・アンダーソン)に変更される一方、所属組織はOSOからOSIへと改められた。ウェルズ博士役も、アラン・オッペンハイマーに替わっている。ストーリーそのものは、マーティン・ケイディン作ではなく、テレビ用オリジナル・ストーリーだった。90分枠作品だが、日本では「サイボーグ危機一髪(600万ドルの男)」の中で、前後編に分けて放送された。 次いで、やはり90分枠の、「対決! サイボーグ国際誘拐シンジケート ("The Solid Gold Kidnapping")」が制作され(日本では同タイトルで1977年6月25日、テレビ朝日「土曜映画劇場(最終回)」で初放映。)、以上3作がパイロット版と呼ばれている。 翌1974年になって、60分枠で週1回放送のシリーズとなった。なお、原作者のマーティン・ケイディンは、テレビ・シリーズとは別個に、スティーブ・オースティンを主人公とした『サイボーグ』の続編三冊を書いている。 シリーズの概要「600万ドルの男」は、OSIのエージェントであるスティーブ・オースティンが、自らのバイオニック・パワーを駆使して活躍する姿を描く。その任務は多岐にわたり、敵役も他国のスパイに限らず、テロリストやマッド・サイエンティストから一般の犯罪者まで、さまざまだった。 初期の宿敵としては、人間そっくりのロボットを製造するドレンツ博士が登場した。彼はスティーブの友人のロボットを製造し、本物を拉致してすり替えを行う。しかし、スティーブは最後に正体を見破り、ロボット対サイボーグの死闘を繰り広げた。ロボットを倒されたドレンツは、今度はスティーブの能力を分析し、自分のロボットに応用しようと画策。さらに、ゴールドマン部長のロボットを製造して、本物とのすり替えを実行した(このアイディアは、後の『地上最強の美女バイオニック・ジェミー』に登場する「フェムボット」につながる)。 また、2人目のサイボーグとして、元レーサーのバーニー・ミラーが登場。彼は、スティーブを上回る700万ドルの費用をかけ、事故で失われた両手・両脚をバイオニック化されていた。だがバーニーは、自分のパワーをコントロールできず精神不安定となり、スティーブは対決を余儀なくされる。バーニーは、その後もう一度登場し、スティーブは再度サイボーグ同士の戦いをするはめになった。 3人目にバイオニック手術を受けたのは、スティーブの婚約者ジェミー・ソマーズ(演:リンゼイ・ワグナー)である。彼女の登場は大変な好評を呼び、続編を経て、スピンオフ作品である『地上最強の美女バイオニック・ジェミー』が制作された。 その他、日本で話題となったエピソードとして、グアム島で横井庄一、ルバング島で小野田寛郎が発見された出来事にヒントを得たと思われる「特攻! 最後の神風」がある。これは、特攻に失敗しジャングルに潜伏していた元日本兵を、スティーブが救出する話だった。 なお、本シリーズには「SOS! 宇宙船救出作戦」などのエピソードで、リー・メジャースの妻だったファラ・フォーセット(当時は、ファラ・フォーセット・メジャース)もゲスト出演している。リーはファラをジェミー役に推薦したが、それは叶わなかった。しかし、ファラはその後『地上最強の美女たち! チャーリーズ・エンジェル』の出演でブレイク。ライアン・オニールと不倫関係となり[4]、リーとは離婚に至った。 スタッフ
キャスト
サブタイトル
関連作品書籍『600万ドルの男』シリーズ:ミカサ・ノベルズ(三笠書房)、絶版。以下、マーティン・ケイディン名義のものは、原作者によるオリジナル小説、それ以外は他の作家によるノベライズ版。 未訳
日本語訳
主題歌
脚注関連項目
外部リンク
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