2019年の朝鮮民主主義人民共和国(2019ねんのちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく、朝鮮語: 2019년 조선민주주의인민공화국)では、2019年(主体108年)の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に関する出来事について記述する。
概要
2019年の朝鮮民主主義人民共和国(以下・北朝鮮)の対外政策は、米中露や社会主義諸国との友好関係および反日政策が変わらず引き継がれている一方で、朝鮮半島南部との関係は2月末を境に急速に冷却化した。前年(2018年)に醸成された北南朝鮮間の友好ムードは、2019年2月まで概ね維持されていたが、2月末にベトナムの首都ハノイで開催された2度目の米朝首脳会談において大きな外交成果が得られなかったことを契機に、金正恩委員長は朝鮮半島南部を実効支配する文在寅政権を見限り、それまでの友好的な対南政策を放棄したのである。
2019年3月以降の北朝鮮は、南部との関係を冷却化させたのと対照的に、金正恩体制の存亡を左右し得る米中露3ヶ国との更なる関係強化を図った。具体的に、金正恩委員長はアメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領、中国の習近平党総書記兼国家主席およびロシアのウラジーミル・プーチン大統領と首脳会談をしている。こうして後顧の憂いを絶った上で、北朝鮮は、アメリカ合衆国の領土に届かない射程の短距離弾道ミサイルを日本海に向けて相次いで発射し、朝鮮半島南部や日本に軍事的圧力をかけて国威高揚を図った。
最高指導者等
できごと
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
- 7月25日 - 1発目は午前5時34分ごろ、2発目は同5時57分ごろ、東岸の元山(ウォンサン)市付近から短距離の飛翔体が発射され、少なくとも片方は約690キロ飛行して日本海に落下した[27]。
- 7月31日 - 未明、弾道ミサイル2発を東部・元山(ウォンサン)市付近から日本海側に向けて発射した。250キロ飛行し、日本海に落下した。最高高度は30キロに達した[28]。
8月
- 8月6日 - 午前5時半ごろ、南西部の黄海南道から日本海に向けて短距離弾道ミサイルと推定される2発の飛翔体を発射した。飛行距離は約450キロ、高度は約37キロ。北朝鮮は5日に始まった米韓合同軍事演習に反発している[29]。
- 8月10日 - 朝早く、東部のハムギョン(咸鏡)南道ハムン(咸興)付近から日本海に向けて飛翔体を2回発射した[30]。
- 8月16日 - 午前8時すぎ、南東部の江原道・通川(トンチョン)から日本海に向けて2発の飛翔体を発射したと明らかにした。飛行距離は約230キロメートルで高度は約30キロメートル、最大速度はマッハ6.1だった[31]。
- 8月21日 - 平壌常駐のベネズエラ大使館が開設された[32]。
- 8月24日 - 朝6時45分ごろと7時2分ごろの2回、東部の咸鏡南道宣徳付近から日本海に向かって弾道ミサイルを発射した。高度は最高97キロメートルで、飛距離は約380キロメートル、最高速度はマッハ6.5以上と探知したという[33]。
9月
- 9月10日 - 午前、西部の平安南道(ピョンアンナムド)の内陸域から未確認の飛翔体2発を東方向に発射した[34]。
10月
- 10月2日 - 朝、江原道の元山付近から日本海に向けて飛翔体を発射した[35]。
- 10月23日 - 金正恩委員長が現地指導のため、南東部の金剛山観光地区を視察訪問したことを、朝鮮中央通信が報道した。かつて朝鮮半島南部の主導で造成され、北朝鮮にとって外貨獲得の手段でもあった同地区について、金正恩委員長は亡父金正日総書記が南部と協力して推進した政策を批判した上で、「見るだけでも気分が悪くなるみすぼらしい施設を南側の関係部門と合意してすべて撤収し、金剛山の自然景観に見合った現代的な施設を新しく建設すべきだ」との意向を表明した[36]。
- 10月25日 - 北朝鮮は金剛山観光地区の施設を撤去するよう求める通知書を南部に送付した[37]。
- 10月28日 - 金剛山観光地区の施設存廃について、南部が実務協議の開催を北朝鮮に要請[38]。
- 10月29日 - 北朝鮮が金剛山観光地区に関する南部からの協議の要請を拒否し、書面でのやり取りを主張した[38]。
- 10月31日 - 午後、中部の平安南道から日本海方向に向けて飛翔体を2発発射した。日本政府関係者によると200キロ超飛行し、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したとみられる[39]。
11月
- 11月11日 - 金剛山観光地区について、北朝鮮は「南朝鮮当局がくだらない要求を続ければ、施設を放棄したと見なし、一方的な撤去に向け断固たる措置を取る」(朝鮮中央通信、11月15日の報道)との最後通告を送った[40]。
- 11月14日 - 朝鮮中央通信が、アメリカ合衆国の前副大統領ジョー・バイデンを名指しで批判し、「今やあの世へ行く時が来たようだ」、「手遅れになる前に棒で殴り殺さねばならない」などと罵詈雑言の限りを尽くした[41]。
- 11月15日 - 朝鮮半島南部を実効支配する文在寅政権が最後通告に対して返書も情報公開も行っていない状況を鑑みて、朝鮮中央通信が去る11月11日に南部へ送った最後通告を公開し、「汚物のような南側施設を我々の金剛山特区法によって思いのままに処理できる」と切り捨てて、実務者協議を開催することで施設が存続できるかもしれないと考えていた文在寅政権の甘い見通しを挫いた[40]。
- 11月28日 - 夕方、北朝鮮が弾道ミサイルとみられる飛翔体を発射したと日本政府が発表。日本の領域や排他的経済水域(EEZ)内に落下しないと推定される[42]。
- 11月29日 - 1週間前の11月22日に文在寅政権が2017年の大統領選で掲げた公約を破って日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)破棄を「停止する」と宣言したが[43]、これを受けて北朝鮮の公式ウェブサイトわが民族同士は、GSOMIA破棄の撤回を「民族の尊厳と利益を外部勢力に売り渡す許し難い反民族的犯罪だ」と論評し、北南関係を修復する道を選ばずにアメリカ合衆国や日本に屈従する道を選んだ文在寅政権の姿勢を批難した[44]。
12月
周年
誕生
死去
脚注
注釈
出典
関連項目
外部リンク