『鳩の撃退法』(はとのげきたいほう)は、佐藤正午による日本の長編小説。2014年に小学館から出版され、第6回(2015年度)山田風太郎賞を受賞した。2018年に小学館から文庫化[1][2]。
2021年に映画化された。
あらすじ
とある地方都市での「バーのマスターの家族」と「郵便局員」の失踪、偽札の疑惑付きの大金など、元直木賞作家の津田伸一の周辺で起こる不可思議な出来事を、津田自身が見聞した事実をベースとしながら、そこに津田が脚色や推測や想像や創作を加え、自分自身以外はすべて仮名にして、「過去に実際にあった事実」ではなく「過去にあり得た事実」を小説として描いていく。
登場人物
- 津田伸一(つだ しんいち)
- 元直木賞作家だが、現在はとある地方都市でデリヘル「女優倶楽部」の送迎ドライバーとして生計を立てている。40代。
- 幸地秀吉(こうち ひでよし)
- 家族とともに忽然と姿を消したバー「スピン」のマスター。37歳。
- 幸地奈々美(こうち ななみ)
- 秀吉の妻。5年前に秀吉と出会った時にはすでに娘の茜を妊娠していた。35歳。
- 房州老人(ぼうしゅうろうじん)
- つぶれかけた古書店「房州書店」の店主の気難しい老人。死後、津田にキャリーバッグに入った3000万円以上の大金を残す。
- 沼本(ぬもと)
- 津田が行きつけにしているドーナツショップのアルバイト店員。20代。週末はバー「チキチキ」でホステスのアルバイトもしている。源氏名は「あつこ」。
- 女優倶楽部社長
- デリヘル「女優倶楽部」の経営者。30代後半。成瀬巳喜男の映画のファンで、デリヘル嬢たちの源氏名に昔の女優の名前を付けている。
- 高峰秀子
- 「女優倶楽部」のデリヘル嬢。リピーターの客に晴山次郎がいる。
- 浅丘ルリ子、内藤洋子、司葉子、小川真由美
- 「女優倶楽部」のデリヘル嬢たち。
- 慎改美弥子(しんかい みやこ)
- 不動産屋。津田とはかつて不倫していたが、今は険悪な仲。
- 真珠美(ますみ)
- 美弥子の夫の妹。銀行員。津田が地方都市に来て最初に居候していた女性。
- 網谷千沙(あみたに ちさ)
- 美弥子がベビーシッターに雇っていた大学4年生。津田が現在居候している女性。
- 岩永(いわなが)
- 「スピン」のチーフ。
- ゆうこ
- 「チキチキ」のママ。「チキチキ」では週末にAKB祭りなるものが開催されている。
- みなみ
- 「チキチキ」のホステス。津田とは過去に1度会ったことがあるが、津田は覚えていない。
- ともみ、まりこ
- 「チキチキ」のホステスたち。
- 晴山次郎(はれやま じろう)
- 失踪した郵便配達員。奈々美の不倫相手。
- 倉田健次郎(くらた けんじろう)
- 地方都市の裏社会、通称「本通り裏」を牛耳る男。30代後半。幸地秀吉の古くからの親友。
- まえだ
- 津田が行きつけにしている床屋「まえだ」の店主。30代後半。女優倶楽部社長とは幼稚園からの同級生。
- 加奈子(かなこ)
- まえだや女優倶楽部社長の先輩。東京の中野ふれあいロードでバー「オリビア」を経営している。
- 鳥飼なほみ(とりがい なほみ)
- 東京の出版社の編集者。「オリビア」で津田と出会う。31歳。既婚。お多福顔。中学生の頃から津田の小説のファン。
- 平原(ひらはら)
- 鳥飼の先輩編集者。優れた編集者だが変人。あだ名はヒラコ。中学までのあだ名はハラコ。
書誌情報
映画
2021年8月27日に公開された。監督はタカハタ秀太、主演は藤原竜也[4][5]。
全体的に原作よりもストーリーが短縮され、登場しない人物や省略されたエピソードがある他、原作とは名前が変えられた登場人物がいる。また原作では舞台となる地方都市はどことも言及されてないが、映画では富山県に設定され、富山ロケがされている。
あらすじ
キャスト
スタッフ
注釈
- ^ 実在の女優の加賀まりこに対して使用許可をとっており、エンドロールでspecial thanksと表記している。
出典
外部リンク
山田風太郎賞の受賞作 |
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2020年から2024年 | |
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