飯山由貴飯山 由貴(いいやま ゆき、1988年 - )は、日本の現代美術家。多摩美術大学講師。精神疾患、歴史的事象、社会的スティグマにかかわるインスタレーション作品を制作している。 経歴神奈川県生まれ。2011年、女子美術大学芸術学部絵画学科洋画専攻卒業。2013年、東京藝術大学大学院美術研究科油画修了[1]。 彼女の作品はインスタレーションやリレーショナルアートなど、空間や人々との関係性を重視した表現方法が特徴であり、アーカイブや公共機関との関わりも多く見られる。[2] 主要な個展には、2022年の「あなたの本当の家を探しにいく」(東京都人権プラザ)、2016年の「生きている百物語」(瀬戸内国際芸術祭、宮浦ギャラリー六区)や、2015年の「Temporary home, Final home」(愛知県美術館)がある。 また、グループ展では「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」(2024年、国立西洋美術館)、「生きている百の物語」(2020年、WAITINGROOM)、「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」(2022年、森美術館)など、国内外の著名な美術館で作品が展示されている。[3] 国立西洋美術館で開催された「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」の内覧会で、パレスチナでのイスラエル政府による「ジェノサイド」に反対の意を示す抗議活動を行う。[4] 作品
検閲経緯2022年10月、東京都の施設「東京都人権プラザ」が開催した企画展「あなたの本当の家を探しにいく」で飯山の制作した映像作品『In-Mates』が上映中止となった。飯山は記者会見を開き「在日コリアンへの差別に基づく都による検閲が行われた」と批判した[12]。都内部のメールでは中止の理由を「朝鮮人虐殺を事実とする動画に懸念がある」などとしていた[13]。同年11月、上映中止となった作品の都議会議員向け上映会が行われた[注 1][14][15]。2023年3月、飯山は東京都に上映の実施を求める要望書を提出し、さらに中止を決定した過程を開示するよう求めた[16]。 展示内容「あなたの本当の家を探しにいく」は2022年8月30日から同年11月30日まで東京都人権プラザで開催された企画展(担当:村上由鶴)。告知文では、飯山の映像作品3点[注 2]を通して「精神障害がある人の語りと向き合うこと、寄り添うことの在り方を示します」としている[17]。飯山の事業計画では『In-Mates』上映とトークイベントを含む予定だった[18]。 『In-Mates』上映中止となった作品『In-Mates』は、戦前に存在した精神科病院「王子脳病院」をテーマにした約26分の映像作品。入院していた朝鮮人患者2名の診療記録を参照しながら、ラッパー・詩人の在日韓国人FUNIが川崎港海底トンネルでパフォーマンスを行う。在日朝鮮人の歴史を研究する外村大が「日本人が朝鮮人を殺したのは事実」と説明する場面もある。彫刻家の小田原のどかは『飯山の作品が「精神疾患」をめぐり、「家族」から「国家」へと射程を広げ、さらに「帝国」の問題系と接続されていく様子をたどることができた』と評している[13][19]。 出演ウェブ番組注釈脚注
外部リンク
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