青木 淳悟(あおき じゅんご、1979年5月9日 - )は、日本の小説家。埼玉県狭山市出身[1]。早稲田大学第二文学部表現・芸術系専修卒業。
経歴
早稲田大学在学中の2003年、「四十日と四十夜のメルヘン」で第35回新潮新人賞を受賞しデビュー。2005年、「クレーターのほとりで」が第18回三島由紀夫賞候補。同年に上記2作を収めた作品集『四十日と四十夜のメルヘン』で第27回野間文芸新人賞受賞。2009年、『このあいだ東京でね』で第22回三島由紀夫賞候補。2012年、『わたしのいない高校』で第25回三島由紀夫賞受賞。
作風
デビュー作「四十日と四十夜のメルヘン」は時間軸が円環構造になっている複雑な構成で、選考委員の保坂和志が「これはピンチョンなんだ。」と強く推薦して新潮新人賞を受賞したが、単行本化に際して大きく書き直された。これについて保坂は、「ピンチョンみたいなところ」は無くなり、「青木淳悟になった」と評している[2]。同作はさらに文庫化にあたっても大きく書き直された。『匿名芸術家』の単行本には、初出の雑誌掲載版が収められている。
「このあいだ東京でね」は、インターネットのマンション関連の掲示板を半年間読みふけった後に書かれた[3]。また『私のいない高校』は古本屋で手にした、高校教師の書いた『アンネの日記 海外留学生受け入れ日誌』という「業務日誌のような本」を元にしている[3]。その他にもアニメ『耳をすませば』を元にした「私、高校には行かない。」やテレビゲーム『プロ野球?殺人事件!』を元にした「プロ野Qさつじん事件」など、独特の執筆手法を取る。
作品
単行本
- 『四十日と四十夜のメルヘン』(2005年、新潮社)のち文庫
- 四十日と四十夜のメルヘン(『新潮』2003年11月号)※単行本化・文庫化にあたりそれぞれ改稿
- クレーターのほとりで(『新潮』2004年10月号)
- 『いい子は家で』(2007年、新潮社)のちちくま文庫
- いい子は家で(『新潮』2006年2月号)
- ふるさと以外のことは知らない(『群像』2006年9月号)
- 市街地の家(『群像』2005年5月号)
- 飛翔-はばたき-(『すばる』2009年3月号)文庫版に収録
- 『このあいだ東京でね』(2009年、新潮社)
- さようなら、またいつか(『文藝』2006年夏号)
- このあいだ東京でね(『新潮』2008年9月)
- TOKYO SMART DRIVER(『新潮』2008年11月号)
- 障壁(『群像』2009年1月号)
- 夜の目撃談(『新潮』2008年11月号)
- ワンス・アポン・ア・タイム(『群像』2008年12月号)
- 日付の数だけ言葉が(『早稲田文学0』2007)
- 東京か、埼玉 ―家と創作ノートと注釈―(『エクスナレッジムック』No.10「住宅デザインの教科書」)
- 『私のいない高校』講談社、2011年
- 『男一代之改革』(河出書房新社、2014年)
- 男一代之改革(『文藝』2014年夏号)
- 鎌倉へのカーブ(『文藝』2011年冬号)
- 二〇一一年三月――ある記録(『新潮』2011年5月号)
- 『匿名芸術家』講談社、2015年6月11日
- 匿名芸術家(『群像』2015年3月号)
- 四十日と四十夜のメルヘン(『新潮』2003年11月号)※雑誌初出版
- 『学校の近くの家』新潮社、2015年12月22日
- 学校の近くの家(『新潮』2014年9月号)
- 心のレタリング(『新潮』2014年11月号)※単行本収録時「光子のヒミツ」に改題
- 二年生の曲がり角(『新潮』2015年1月号)
- 存在の父親(『新潮』2015年3月号)
- 友達のルート(『新潮』2015年5月号)※単行本収録時「帰る友達の後ろ姿」に改題
- 十一年間の思い出(『新潮』2015年7月号)
- 別の学校 ※単行本書きおろし
- 『憧れの世界 ――翻案小説を書く』代わりに読む人 2024年12月20日
単行本未収録
- 西池袋特集~亀が袋を背負って~(『早稲田文学 記録増刊 震災とフィクションの“距離”』)
- 消防Q太がやってきた!~「消防少女かのか☆まなか」の巻~(『真夜中』No.13 2011 Early Summer)
- P坊くんといっしょ~池袋伝説!! 首なしライダー編~(『真夜中』No.14 2011 Early Autumn)
- 薄紫雲間源氏(『群像』2012年1月号)
- 江戸鑑出世紙屑(『新潮』2013年1月号)
- 激越!! プロ野球県聞録(『すばる』2013年8月号)
- 言葉がチャーチル(『美術手帖』2013年11月号、絵:師岡とおる)
- 捕まえて、鬼平!~鬼平「風説」犯科帳~(『群像』2013年12月号)
- プロ野球さつじん事件(『すばる』2014年1月号)
- 国学者たちの弁論(『GRANTA JAPAN with 早稲田文学02』2014年4月)
- innocent world(『群像』2016年8月号[4])
- 僕ボードレール(『群像』2017年2月号)
- 私、高校には行かない。(『文學界』2017年4月号)
- 僻説俗論 明治十年が如く(『三田文学』2017年夏季号)
- プロ野Qさつじん事件(『すばる』2017年9月号)
- 水戸黄門は見た(『群像』2018年2月号)
- 憧れの世界(『文學界』2019年2月号)
- 春の苺(『群像』2023年12月号)
脚注
関連項目
外部リンク
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2020年代 |
- 第42回 李龍徳『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』
- 第43回 井戸川射子『ここはとても速い川』
- 第44回 町屋良平『ほんのこども』
- 第45回 朝比奈秋『あなたの燃える左手で』、九段理江「しをかくうま」
- 第46回 豊永浩平『月ぬ走いや、馬ぬ走い』
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1990年代 |
- 第3回 久間十義 『世紀末鯨鯢記』
- 第4回 佐伯一麦 『ア・ルース・ボーイ』
- 第5回 該当作品なし
- 第6回 車谷長吉 『塩壺の匙』 / 福田和也 『日本の家郷』
- 第7回 笙野頼子 『二百回忌』
- 第8回 山本昌代 『緑色の濁ったお茶あるいは幸福の散歩道』
- 第9回 松浦寿輝 『折口信夫論』
- 第10回 樋口覚 『三絃の誘惑 近代日本精神史覚え書』
- 第11回 小林恭二 『カブキの日』
- 第12回 鈴木清剛 『ロックンロールミシン』 / 堀江敏幸 『おぱらばん』
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