陸別町(りくべつちょう)は、北海道十勝総合振興局管内の足寄郡にある町。足寄郡に属する。
概要
冬の気温が低い北海道の中でも本町は最も寒い地域の一つであり、真冬の気温は−30℃を下回ることもある。
町名の由来
アイヌ語の「リㇰウンペッ(rik-un-pet)」(高い所・にある〔に入っている〕・川)から[2]。
地理
十勝総合振興局北東部に位置する。陸別町は地域の中央を南北に貫流する利別川によって、ふたつの地形帯に区分される。西部は高原性の台地をなし、酪農の中心地帯であり、東部は標高500メートル前後の高原地帯である[3]。経緯度では、東経143度57分から143度27分 北緯43度38分から43度20分に位置し、役場の所在地は東経143度45分8秒・北緯43度28分1秒に位置(東1条4丁目・旧役場庁舎)し、標高は205.8メートルである。河川は利別川に支流が落ちこみ、すべての川が町内に源があり、池田町で十勝川と合流する。利別川は、オホーツク管内置戸町境界線付近の山中が源流であり、町内を南下して流れる[3]。
- 山: 喜登牛山(1,321 m)、東三国山(1,230 m)、イユダニヌプリ山(902 m)
- 河川: 利別川、陸別川、斗満川
- 湖沼:
隣接している自治体
気候
ケッペンの気候区分によると、陸別町は湿潤大陸性気候に属する。寒暖の差が大きく気温の年較差、日較差が大きい顕著な大陸性気候である。降雪量が多く、豪雪地帯に指定されている。
周りを山に囲まれた盆地のため寒暖の差が非常に大きく、真夏でも30°Cを越える事がさほど多くない北海道の中では珍しく30°C越えもあり、反面真冬は最低気温で-30℃を下回ることもあり、日中でも-10°C以下ということもある。かつては「70°Cの温度差のある町」という表現をすることもあった。
日本で一番寒い町
気象庁が設置した市街地の緑町にあるアメダスの観測によると、1月の平均最低気温は-19.6°C、平均気温は-11.1°Cである。これらは日本全国の気象官署・アメダス(富士山頂を除く)では最も低く、「日本一寒い町・陸別」が観光の目玉となっている。アメダス移行後の記録[4]では2000年(平成12年)1月27日に観測した-33.2°Cが観測史上最低気温であるが、アメダス移行以前には1977年2月1日に-35.5°Cを観測しており、小利別駅では1978年(昭和53年)2月17日にさらに低い-38.0°Cの記録もある。
北見工業大学と陸別しばれ技術開発研究所が共同でこの寒さについての研究を行っており、1991年(平成3年)から冬季に町内約30地点の気温を測定した。それによると、トマム地区では前述の2000年(平成12年)1月27日に-40°Cを観測、2013年(平成25年)1月5日にも-38°Cを記録するなどアメダス地点より9°Cも低くなっていることが分かった。他にも小利別丘下やクンネベツ、上陸別などの各流域の谷間の下流地域において冷気湖の形成により冷え込みが厳しくなるなどの特徴がみられ[5]、市街地に立地するアメダス地点よりも寒い地点が多いことが分かっている。
陸別町は陸別しばれ技術開発研究所を設置し、下陸別と関の2地点で独自観測も行っており、前述の2000年(平成12年)1月27日には、下陸別で-37.7°C、関では-40°Cを下回り計測不能となっている[6]など、一般に市街地にあるアメダスよりも5〜8°C前後も最低気温が低くなっている。この観測は気象庁長官登録検定機関「気象業務支援センター」の検定を受けた非常に高度な観測機器のもとに観測を行っており、気象庁のアメダス観測と共に陸別町の正式な記録として扱われる[7][8]。
2019年(平成31年)2月9日には、陸別町しばれ技術開発研究所の下陸別で-36.2°C、関では-38.4°Cを観測し、気象庁から正式な観測地点としての認定を受けてから最も低くなった[9]。また、小利別駅跡地に設置されたデジタル温度計は-40.5度を観測している[10]。
このように、陸別町では耐寒イベントのしばれフェスティバルを開催したり、寒さ日本一ランキング[11]を集計するなどして、積極的に寒さを観光資源にしている。
冬季は稀にオーロラが観測される事がある。
陸別町(陸別地域気象観測所)の気候
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月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
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最高気温記録 °C (°F)
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6.6 (43.9)
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13.9 (57)
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17.4 (63.3)
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29.3 (84.7)
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37.8 (100)
|
35.5 (95.9)
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35.9 (96.6)
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35.1 (95.2)
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32.8 (91)
|
27.8 (82)
|
20.0 (68)
|
12.9 (55.2)
|
37.8 (100)
|
平均最高気温 °C (°F)
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−2.5 (27.5)
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−1.4 (29.5)
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3.2 (37.8)
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10.5 (50.9)
|
17.1 (62.8)
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20.6 (69.1)
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23.7 (74.7)
|
24.4 (75.9)
|
20.8 (69.4)
|
14.7 (58.5)
|
7.1 (44.8)
|
−0.2 (31.6)
|
11.5 (52.7)
|
日平均気温 °C (°F)
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−11.1 (12)
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−9.6 (14.7)
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−3.1 (26.4)
|
4.0 (39.2)
|
10.1 (50.2)
|
14.4 (57.9)
|
18.3 (64.9)
|
19.1 (66.4)
|
14.9 (58.8)
|
7.9 (46.2)
|
0.7 (33.3)
|
−7.7 (18.1)
|
4.8 (40.6)
|
平均最低気温 °C (°F)
|
−19.6 (−3.3)
|
−18.8 (−1.8)
|
−10.6 (12.9)
|
−2.5 (27.5)
|
3.4 (38.1)
|
9.1 (48.4)
|
14.0 (57.2)
|
15.0 (59)
|
9.8 (49.6)
|
1.8 (35.2)
|
−5.3 (22.5)
|
−14.9 (5.2)
|
−1.6 (29.1)
|
最低気温記録 °C (°F)
|
−33.2 (−27.8)
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−33.1 (−27.6)
|
−27.6 (−17.7)
|
−19.1 (−2.4)
|
−7.2 (19)
|
−2.1 (28.2)
|
2.1 (35.8)
|
4.2 (39.6)
|
−2.4 (27.7)
|
−9.2 (15.4)
|
−20.9 (−5.6)
|
−27.6 (−17.7)
|
−33.2 (−27.8)
|
降水量 mm (inch)
|
33.7 (1.327)
|
20.1 (0.791)
|
38.4 (1.512)
|
54.2 (2.134)
|
71.5 (2.815)
|
67.6 (2.661)
|
106.0 (4.173)
|
137.0 (5.394)
|
121.5 (4.783)
|
83.4 (3.283)
|
47.7 (1.878)
|
42.8 (1.685)
|
831.8 (32.748)
|
降雪量 cm (inch)
|
97 (38.2)
|
74 (29.1)
|
80 (31.5)
|
25 (9.8)
|
2 (0.8)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
1 (0.4)
|
20 (7.9)
|
86 (33.9)
|
386 (152)
|
平均降水日数 (≥1.0 mm)
|
7.0
|
5.7
|
8.6
|
9.8
|
9.9
|
9.0
|
10.0
|
11.1
|
10.6
|
9.1
|
7.9
|
7.8
|
107.1
|
平均降雪日数 (≥5 cm)
|
5.6
|
3.9
|
4.9
|
1.5
|
0.1
|
0.0
|
0.0
|
0.0
|
0.0
|
0.1
|
1.3
|
5.4
|
22.9
|
平均月間日照時間
|
151.2
|
150.2
|
172.5
|
168.8
|
170.8
|
144.5
|
128.1
|
121.6
|
136.8
|
157.9
|
144.1
|
145.6
|
1,792
|
出典:気象庁 (平均値:1991年-2020年、極値:1977年-現在)[12][13]
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陸別町
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雨温図(説明) |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
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気温(°C) |
総降水量(mm) | 出典:気象庁 |
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インペリアル換算 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
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気温(°F) |
総降水量(in) |
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人口
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陸別町と全国の年齢別人口分布(2005年)
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陸別町の年齢・男女別人口分布(2005年)
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■紫色 ― 陸別町 ■緑色 ― 日本全国
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■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
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陸別町(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
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6,839人
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1975年(昭和50年)
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5,474人
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1980年(昭和55年)
|
5,002人
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1985年(昭和60年)
|
4,466人
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1990年(平成2年)
|
3,902人
|
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1995年(平成7年)
|
3,429人
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2000年(平成12年)
|
3,228人
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2005年(平成17年)
|
2,956人
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2010年(平成22年)
|
2,650人
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2015年(平成27年)
|
2,482人
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2020年(令和2年)
|
2,264人
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総務省統計局 国勢調査より
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消滅集落
2015年国勢調査によれば、以下の集落は調査時点で人口0人の消滅集落となっている[14]。
歴史
経済
産業
農業、林業、酪農が盛ん。
組合
- 陸別町農業協同組合(JA陸別町)
- 陸別町森林組合
- 北海道農業共済組合(NOSAI北海道)陸別家畜診療所
- 陸別町山菜加工企業組合
金融機関
郵便局
宅配便
公共機関
警察
消防
姉妹都市・提携都市
海外
教育
- 高等学校
- 中学校
- 小学校
- 大学(研究施設)
交通
鉄道
町内に鉄道路線は通っていない。
廃止された鉄道
- 北海道ちほく高原鉄道
バス
道路
- 高速道路(高速自動車国道)
-
- 一般国道
-
- 主要地方道
-
- 一般道道
-
- 道の駅
-
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
文化財
史跡
町の文化財
- 網走本線開通記念成功記念碑
- 関寛翁碑
- 斗満遺跡出土の石器 - 陸別町公民館蔵
- 奥羽出張病院日記 - 関寛斎資料館蔵
- 関寛翁自筆漢詩 - 関寛斎資料館蔵
- 関寛翁自筆短冊 - 関寛斎資料館蔵
- 長崎在学日記 - 関寛斎資料館蔵
- 家日誌抄 - 関寛斎資料館蔵
- トラリチャシコツ群
レジャー
観光
祭り・イベント
陸別町が舞台(ロケ地)となった作品
- ドラマ
- 映画
- 小説
出身者
出身有名人
脚注
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
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